スキップしてメイン コンテンツに移動
 

「組のもんじゃ!」はNGだが、「自民/維新/スギ薬局のもんじゃ!」はOK

 岡山県倉敷市の保健所に、「倉敷市の病院はいっぱいだから岡山の町の病院に入院させてあげると(職員が)言った。組のもんじゃ。わし一人の体じゃねんじゃ。みな入院できるのを待っとんじゃ。もう引かんからな」と電話し、優先して入院させろと迫ったヤクザが、強要未遂の疑いで警察に逮捕されたそうだ。

「組のもんじゃ」保健所に電話、入院を迫った疑いで逮捕:朝日新聞デジタル

 記事を読んでも、ヤクザの男性が新型コロナウイルスに感染していたのか、感染が疑われる症状があったのかは定かでないが、「市保健所の「新型コロナウイルス感染症関連業務部門」に直接電話し」とあるので、恐らく感染したか感染が強く疑われる状況だったのだろう。しかし入院先が見つからずに自宅療養を強いられていたのだろう。
 因みに、政府や自治体、メディアは平気で自宅療養という表現を使っているが、実態は放置にほかならない。感染が発覚したり強く疑われるが入院先が見つからない場合、ホテル等を借り上げた隔離施設への入所となる場合もあるようだが、SNS上には最近、それすらさせてもらえずに放置されるケースを訴える声が決して少なくない。5/31には、新型コロナウイルスへの感染によって68歳の父を亡くした自民所属の大阪府議員が、

保健所に200回以上電話したがつながらなかった

と、府議会で知事に迫った。

保健所に200回電話つながらず 父亡くした府議が質問 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル

 新型コロナウイルスへの感染が発覚しても、感染が強く疑われるような症状を起こしても、受け入れてくれる病院が見つからずにたらい回しにされ、結局自宅に戻される、それ以前に電話も繋がらない、のような話は決して大阪特有ではなく、少なくとも緊急事態宣言やまん延防止等重点措置(蔓延防止と称しているが、実質的には蔓延してから行われる蔓延宣言)が出されている地域はどこも同じのようだ。

 前述のヤクザ逮捕の件は、記事には「保健所の担当者は年齢や体調、基礎疾患の有無などから入院の必要性を判断し、この申し出を断った」とある。果たしてそれが妥当な話だったのか、本当は入院させた方がよいのに、受け入れ先が見つからない為に用いられた方便だったのか、その真相は分からない。だが一方で、自民党の国会議員に感染が発覚すると、すぐに入院できるという状況がある。但し大阪では、自民ではなく府政与党の維新議員だと即入院が可能だ。
 典型的な例は、多くの感染者、感染が疑われる者が自宅に放置される中で、無症状なのに即入院できた石原 伸晃だ。

石原伸晃氏の入院に疑念の声「なぜ無症状で」 野党議員:東京新聞 TOKYO Web

 「【吉村洋文】大阪維新府議がコロナ感染で“優先入院”!上級国民優遇か|日刊ゲンダイDIGITAL」と、府政与党である維新についても同じ様な話がある。


 このような状況を皮肉ったのが今日のトップ画像だ。自民や維新がヤクザのように、露骨に「自民のもんじゃ!」「維新のもんじゃ!」とはやらないだろうが、実質的には同じことが行われていると言えるのではないか。なぜなら一般市民が放置される中で優先的に入院・診療・治療して貰えるのだから。
 そう言えば「「何とかならないのか」愛知県西尾市の副市長、スギ薬局創業者夫妻の新型コロナワクチン予約枠の優先確保を指示:東京新聞 TOKYO Web」という話もあった。愛知県西尾市では「スギ薬局のもんじゃ!」がOKなようである。恐らく他の地域でも、ヤクザがやると強要容疑で逮捕されるが、自民や維新、そしてスギ薬局のように、特権的に同じことをしても許される人達がいるんだろう。

 この国のおかしなところは、1年前には国民に対して、「お前ら、今自粛要請に従わないと医療崩壊が起きるぞ! 補償云々言ってる場合か!」と、政治やメディアが躍起になって脅していたのに、いざ実際に医療崩壊が起きると、政治は医療崩壊の話を遠ざけ、忖度傾向の著しいメディアも医療崩壊という言葉を使わずに目を逸らそうとすることだ。その責任から逃れたいが為に。
 また、医療資源の不十分さからせざるを得なくなる患者の選別、所謂トリアージが行われてしまう恐れについても、それが始まる前は散々脅しの材料に使ったくせに、いざ実際にそれが起きると、政治もメディアもその種の表現を避け、それから目を逸らすことに躍起になる

 政府や自治体与党の政治家やその関係者、コネクションのある者、地域等の有力者は優先的に入院/診療/治療/ワクチン接種が提供され、その他大勢の一般市民は放置される状況は、間違いなく医療崩壊であり、トリアージである。



 トップ画像には、因縁をつける兔 – ダ鳥獣戯画 を使用した。

このブログの人気の投稿

話が違うじゃないか

 西麻布に Space Lab Yellow というナイトクラブがあった。 一昨日の投稿 でも触れたように、日本のダンスミュージックシーン、特にテクノやハウス界隈では、間違いなく最も重要なクラブの一つである。自分が初めて遊びに行ったクラブもこのイエローで、多分六本木/西麻布界隈に足を踏み入れたのもそれが初めてだったと思う。

マンガの中より酷い現実

 ヤングマガジンは、世界的にも人気が高く、2000年代以降確立したドリフト文化の形成に大きく寄与した頭文字Dや、湾岸ミッドナイト、シャコタンブギなど、自動車をテーマにしたマンガを多く輩出してきた。2017年からは、頭文字Dの続編とも言うべき作品・MFゴーストを連載している( MFゴースト - Wikipedia )。

読書と朗読を聞くことの違い

 「 本の内容を音声で聞かせてくれる「オーディオブック」は読書の代わりになり得るのか? 」という記事をGigazineが掲載した。Time(アメリカ版)の記事を翻訳・要約した記事で、ペンシルベニア・ブルームスバーグ大学のベス ロゴウスキさんの研究と、バージニア大学のダニエル ウィリンガムさんの研究に関する話である。記事の冒頭でも説明されているようにアメリカでは車移動が多く、運転中に本を読むことは出来ないので、書籍を朗読した音声・オーディオブックを利用する人が多くいる。これがこの話の前提になっているようだ。  記事ではそれらの研究を前提に、いくつかの側面からオーディオブックと読書の違いについて検証しているが、「 仕事や勉強のためではなく「単なる娯楽」としてオーディオブックを利用するのであれば、単に物語を楽しむだけであれば、 」という条件付きながら、「 オーディオブックと読書の間にはわずかな違いしかない 」としている。

あんたは市長になるよ

 うんざりすることがあまりにも多い時、面白い映画は気分転換のよいきっかけになる。先週はあまりにもがっかりさせられることばかりだったので、昨日は事前に食料を買い込んで家に籠って映画に浸ることにした。マンガを全巻一気読みするように バックトゥザフューチャー3作を続けて鑑賞 した。

敵より怖いバカな大将多くして船山を上る

 1912年に氷山に衝突して沈没したタイタニックはとても有名だ。これに因んだ映画だけでもかなり多くの本数が製作されている。ドキュメンタリー番組でもしばしば取り上げられる。中でも有名なのは、やはり1997年に公開された、ジェームズ キャメロン監督・レオナルド ディカプリオ主演の映画だろう。