スキップしてメイン コンテンツに移動
 

我慢を最高の美徳とするマゾヒスト、不幸自慢・自虐が好きな国民性

 緊縛は日本文化なのだそうだ。確かに、日本のポルノでは結構よく見かける表現だが、海外ポルノでは殆ど見かけない。拘束衣や手錠を使った表現はあるが、縄で縛りあげる表現は、近年日本のポルノに影響を受けてかゼロではないものの、殆ど見かけない。海外ではエロというよりもアート的な受け止めの方が強いように感じる。


 緊縛文化と関係があるのか、と言われたらそれは定かではないが、日本人は自分を自分で縛るのが好きな国民性と言えるだろう。自分だけでなく人のことを縛ることが好きな人も少なくない。キリスト教国でありながら、フランスやドイツのように浮気や不倫に寛容な国もあるが、日本ではかなり過剰に嫌悪する傾向がある。少なくとも有名人の浮気や不倫に対して。

但し、男女関係に関する話はネタのようなもので、この投稿の本題はそこではない。

世界に挑戦する池松壮亮とオダギリジョー。韓国ロケで実感した、日本映画の課題 | ハフポスト

 ハフポストのこの記事は、全編韓国で撮影が行われ、95%のスタッフ・キャストが韓国人、という映画「アジアの天使」に関する内容だ。この記事の中に

韓国は映画の資金が循環するシステムや、映画人のための組合があり、日本にはそれがありません。大作だからと言って、末端のスタッフまでお金が行き渡っているのかというと、そうでもないですし。昔のシステムのまま一部の人が総取りするシステムになっていると感じます

という、出演した俳優・池松 壮亮のコメントがある。

 ここで指摘されている日本映画界の問題は、決して映画界・映像界隈だけの問題ではない。これは日本社会全般にも言えることだ。誰かが今だけ自分だけで総取りする社会はいずれ破綻する。それは、ここ10年の日本を見れば明らかだ。大企業の業績が回復すれば、そこから増えた利益が下流にも流れていく、という所謂トリクルダウンを目論んだ、アベノミクスなる経済政策は、確かに日本の大企業の業績は良くしたが、庶民には殆ど影響がなかった。いや影響はあった。賃金が上がらぬまま、物価だけが上昇、見かけ上はデフレのままだが、食料品などを中心に、金額据え置きで内容量が減るシュリンクフレーションが顕著で、且つ消費税は5%から倍の10%にアップした。つまり、実質的に多くの人の生活は以前よりも厳しくなっている。しかし一方で、毎年のように大企業の内部留保は過去最大と報じられる。
 これはどう見ても、池松の言う「末端のスタッフまでお金が行き渡っているのかというと、そうでもないですし。昔のシステムのまま一部の人が総取りするシステムになっている」だ。庶民には大きなツケが回ってきていて、コロナ危機も相まって生活が厳しい人も多い。今のままでは、状況は間違いなく悪化するばかりだ。

 安倍自民政権成立から2015年頃まで、株価が上がった、円安が進んで輸出が好調などと政府は喧伝し、政権を支持する人の多くがその理由に経済政策を上げていた。しかしその後景気回復は虚像であることが徐々に分かり、それでも政府は2019年頃まで喧伝を止めなかったが、その頃には誰もがおかしさに気付いていた。そして今、政府の経済政策を支持するという声は流石に殆ど聞こえない。いや、皆無と言っても過言ではない。
 現在、コロナ対応に関する失政が続いており、内閣支持率は30%台であるが、安倍/菅自民政権が目玉政策としてきた経済政策に関して、その失敗は明らかだったのに、安倍政権は終盤でも50%の支持率があり、菅政権発足時には70%もの支持率があった。この数字が適正な調査で出た数字ならば、日本人は、末端までお金が行き渡らない、一部の人が総取りするシステムを変えようとしない政府、というか寧ろ強化しようとする政府を、支持していたということだ。

 このツイートを見て、こう思った

日本人の大半が、我慢を最高の美徳とするマゾヒストなので、苦しい想いを率先してやりたがっているのです。不幸自慢・自虐が好きな国民性でもあります。

多くの人は、学生時代に理不尽な校則に違和を覚えるのに、大人になると、下の世代に「そういうもんだ」と言い始めてしまう。学生時代も、自分が最下級生の時には、先輩から受ける理不尽な仕打ちに憤るが、いざ自分が上級生になると下級生に同じことをやる。更には「若い内の苦労は買ってでもしろ」なんて話が今もまことしやかに語り継がれている。勿論、全く合理性のない話とまえは言えないが、理不尽に対しても我慢を強いる社会の一端が、そこに強く滲んでいるとも言える。

 前述の想いを示した自分のツイートに対して、

というリプライがあった。1現場いくらの職人の場合、働けば働くだけ金になるので、寝てない=稼いでる、で自慢するケースもあるが、サービス残業の長さ・過重労働をこなしていることを誇る人も確実にいる。  少し痛い感じの大学生などがやる、○○日不眠不休で遊んだ、趣味に費やしたなどの自慢話ならまだ分かるのだが、不適切な労働環境をまるで武勇伝のように語るのは、日本人以外には定時で仕事を終わらせられない効率の悪さにしか見えないだろう。しかし日本では必ずしもそうは受け止められない。寧ろ、凄いね、頑張ってるね、のように肯定的な反応を示す人も少なくない。
 自分を犠牲にしたい人が自分を犠牲にするのはその人の自由なので、どうぞご勝手に、という感しかないが、周りがそれを褒めるなんてのはかなり滑稽だ。だから前述の「日本人の大半が、我慢を最高の美徳とするマゾヒストなので、苦しい想いを率先してやりたがっているのです。不幸自慢・自虐が好きな国民性でもあります」という皮肉に満ちたことも言いたくなる。
 自分の経験上、労働者なのに経営者ぶりたがる人が日本人には多い。また、経営者が、出世したかったら経営者の視点を持て、などと経営者の立場に立つことを推奨する、というか押し付けてくる。それにまんまと引っかかって労働力を搾取される人があまりにも多い。だから低賃金長時間労働、無駄な長時間拘束がまかり通ってしまう社会になってしまっているんだろう。


 そのような意味で、日本人は無駄に自分を縛ること、他人を縛ることが好きな国民性だと言っている。そんな傾向が、所謂ブラック校則やパワハラなどが一向になくならないことの、かなり大きな要因であることは間違いない。



 トップ画像には、図面 緊縛 女性 - Pixabayの無料画像 と 富士山と日の丸のイラスト を使用した。

このブログの人気の投稿

話が違うじゃないか

 西麻布に Space Lab Yellow というナイトクラブがあった。 一昨日の投稿 でも触れたように、日本のダンスミュージックシーン、特にテクノやハウス界隈では、間違いなく最も重要なクラブの一つである。自分が初めて遊びに行ったクラブもこのイエローで、多分六本木/西麻布界隈に足を踏み入れたのもそれが初めてだったと思う。

マンガの中より酷い現実

 ヤングマガジンは、世界的にも人気が高く、2000年代以降確立したドリフト文化の形成に大きく寄与した頭文字Dや、湾岸ミッドナイト、シャコタンブギなど、自動車をテーマにしたマンガを多く輩出してきた。2017年からは、頭文字Dの続編とも言うべき作品・MFゴーストを連載している( MFゴースト - Wikipedia )。

読書と朗読を聞くことの違い

 「 本の内容を音声で聞かせてくれる「オーディオブック」は読書の代わりになり得るのか? 」という記事をGigazineが掲載した。Time(アメリカ版)の記事を翻訳・要約した記事で、ペンシルベニア・ブルームスバーグ大学のベス ロゴウスキさんの研究と、バージニア大学のダニエル ウィリンガムさんの研究に関する話である。記事の冒頭でも説明されているようにアメリカでは車移動が多く、運転中に本を読むことは出来ないので、書籍を朗読した音声・オーディオブックを利用する人が多くいる。これがこの話の前提になっているようだ。  記事ではそれらの研究を前提に、いくつかの側面からオーディオブックと読書の違いについて検証しているが、「 仕事や勉強のためではなく「単なる娯楽」としてオーディオブックを利用するのであれば、単に物語を楽しむだけであれば、 」という条件付きながら、「 オーディオブックと読書の間にはわずかな違いしかない 」としている。

あんたは市長になるよ

 うんざりすることがあまりにも多い時、面白い映画は気分転換のよいきっかけになる。先週はあまりにもがっかりさせられることばかりだったので、昨日は事前に食料を買い込んで家に籠って映画に浸ることにした。マンガを全巻一気読みするように バックトゥザフューチャー3作を続けて鑑賞 した。

敵より怖いバカな大将多くして船山を上る

 1912年に氷山に衝突して沈没したタイタニックはとても有名だ。これに因んだ映画だけでもかなり多くの本数が製作されている。ドキュメンタリー番組でもしばしば取り上げられる。中でも有名なのは、やはり1997年に公開された、ジェームズ キャメロン監督・レオナルド ディカプリオ主演の映画だろう。