向いている方向が全く見当違いであることを、明後日の方向を見る、とか、明後日の方向を向く などと言う。明後日の方向=見当違い、の由来は諸説あるようだが、明日のことは多少見通しがついても、明後日のことを見通すのは難しいことから、明日のこともよく考えずに明後日のことばかり考えている、のような意味合いなのではないだろうか。
現状認識力に欠ける人は、見当違いのことをやりがち/言いがちだ。人の話をよく聞かない人もまた同様である。人の話を聞かないことは、状況の把握を怠る行動の1つであり、つまりそれも現状認識力に欠ける性質だろう。
トップ画像で示したように、明らかに分かりやすく進む方向が示してあり、ほぼ全ての人が正しい方向に進めるのに、なぜかそれができない人が必ずいる。組立家具などを説明書を読まずに組み立てて失敗し欠陥品だと言い始める人、都会の感覚ですぐに次が来るもんだと高を括って時刻表を見ずに、場合によっては夕方で最終になる田舎の鉄道やバスを乗り逃す人なども、それと似た存在である。
神奈川県知事の黒岩がこんなことを言っている。
<新型コロナ>神奈川県内全域 カラオケ店に休業要請 緊急事態宣言来月2日から 県、対策に手詰まり感も:東京新聞 TOKYO Web
記事本文には、黒岩が掲げているフリップに関する記述はない。もしかしたら、
黒岩祐治知事は「県民にメッセージが届きにくくなっている。救急で行き先がなくなりますよ、などのメッセージの出し方で危機感を共有してもらうことが大切だ」と述べた。
がそれに該当するのかもしれない。神奈川県の公式サイトの「知事メッセージ(令和3年7月30日) - 神奈川県ホームページ」を見れば、黒岩が何を考えて何を言っているのかがよく分かる。
県民の皆さん一人ひとりが、今まさに、医療崩壊目前の緊急事態にあるという、強い危機感を持ち、感染拡大防止の行動を徹底していただくしかありません。
「コロナを甘く見ないで」
県は、感染の激増を受け、中等症・軽症の患者を受け入れる病床を最大のフェーズに引き上げることを、医療機関に要請しました。人流を抑制し、人との接触機会を徹底的に減らすため、県民や事業者 の皆さんのご理解、ご協力をお願いします。
「コロナを甘く見ないで」
東京新聞の画像の印象通り、黒岩は県民に向けて、コロナを甘く見るな、と言っているのである。
本当にバカも休み休みにして欲しい。新型ウイルスを甘く見てきたのは誰か。それは黒岩本人であり、地方自治体としての神奈川県であり、そして都知事や自治体としての東京都、更には首相や政府、オリンピックを強行した日本の組織委やIOCだ。
感染拡大を懸念する声が半年以上前からあったのにも関わらず、オリンピックを強行したのは誰か。それは都知事や東京都、そして首相や日本政府、更には組織委やIOCだ。そして黒岩は、競技が予定される自治体の首長であるにも関わらず、それに反対しなかった。それどころか、積極的に馬鹿げた国の方針に追従してきた。つまり同類である。なぜそんな愚か者に「コロナを甘く見ないで」なんて言われないといけないのか。
黒岩はそもそも「コロナを甘く見ないで」なんて言える立場ではないが、もし言うのだとしたら、県民に向けてその言葉を発するのではなく、都知事や都、組織委やIOC、首相や政府に向けるべきだ。勿論、自分も甘く見ていたことを認めた上で。
黒岩は、県民に対して「お前らが新型ウイルスを甘く見ているから感染拡大するんだぞ!?」と言っているようなものだ。オリンピックを強行した都や大会関係者、そして首相や政府を棚に上げて。責任転嫁とはまさにこのことである。神奈川県民はこんな知事でよく恥ずかしくないな、と思う。神奈川県は今、都に次ぐ新規感染者の多い自治体だが、こんなのを知事に選んでいるのだから、そうなるのも当然の成り行きだ。
<新型コロナ>2日から埼玉県全域で緊急宣言 酒、カラオケの全面停止を 結婚式は人数制限を「お願い」:東京新聞 TOKYO Web
神奈川県同様に都との間で人の往来の多い埼玉も、都や神奈川同様に新規感染者が過去最高レベルであり、神奈川と同じく酒・カラオケ全面停止、結婚式まで人数を減らせと言っているそうだ。しかし、オリンピックを強行しているのに、一体どれだけの人がこれを真に受けて従うだろう。個人的には、人が集まることは出来る限り止めるべきだと思うが、オリンピックを政府や自治体などが強行している中で、これに従わない人がいても責める気にはなれない。
政府や与党、都や組織委やIOCなどは、感染拡大、いや感染爆発とも言える状況は、オリンピックとは無関係だと言い張るが、どう考えて無関係ではない。それらに限らず、オリンピックお祭りムードを煽りに煽っているテレビや新聞も同罪である。
緊急事態拡大 緩みは五輪のせいではない : 社説 : 読売新聞オンライン
こんな社説を平然と書き、そして掲載する新聞は、
媚売新聞
と、実態に合わせて改称してもらいたいものである。