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変な日本。異様な日本。

 御堂筋線が Midousuji Muscle Line、堺筋線が Sakai Muscle Line と、大阪メトロの公式サイトで表記されていた、という件が2019年にあった。このような誤植や誤訳は、昭和から平成初期までは至る所に見られたが、21世紀になって20年も経つのに、未だにそのようなことが、公共交通機関のような大きな組織でも起きる、ということに愕然とした。この国の体たらくさ加減を実感した。


 大阪メトロの英語版サイトは、他にも天神橋筋六丁目を Tenjin bridge muscle 6-chome、天下茶屋は World teahouse、太子橋今市は Prince bridge imaichi、3両目付近を near Eyes 3 とするなど、おかしな英訳だらけだった。

こんなことが起こった原因は、自動翻訳ソフトの出力をそのままサイトに掲載したことだった。サイト管理運営を社内で行っていたのか、外注していたのかは分からないが、どちらにせよ杜撰な管理の結果でしかない。零細企業のWebサイトならまだしも、公共交通機関のサイトがこんな状況であるというのは、まさに日本が貧しくなった象徴だろう。何故ならこれは、相応の予算・手間を割かずにWebサイトをつくろうとしたから起こった事案にほかならないからだ。
 しかも、大阪メトロは元大阪市交通局であり、維新府政/市政の下で2017年に民営化されて誕生した会社なので、現時点では準公営と言っても間違いではないだろう。そのような組織でこんなことが起きる、というのは、今の大阪、そして日本のヤバさの象徴だ。

 なぜこの件から”日本の”ヤバさに飛躍できるのかと言えば、現自民政権下では、度々おかしな英語による発信がなされ、その度に自動翻訳ソフトの出力結果をそのまま使っているのではないかと指摘されてきた。また FTA:Free Trade Agreement / 自由貿易協定 を勝手に TAG と言い換えたりもしている。昨年、感染拡大の懸念を無視して行った Goto トラベル/イートも、英語として変な表現だ。和製英語を全て否定する気はないが、今更おかしな英語表現を、しかも政府が政策で用いるなんて、日本はそんなレベルかwと、バカにされるに違いない。


 当時はそれもかなり日本のおかしな部分だと思えたが、最近の異様さ加減に比べればかすんでしまう。昨日、首相の菅が4度目の緊急事態宣言を行うことを発表したことを受けて、新聞にこんな記事が出た。

 これらは日本のメディアのレベルの低さを痛感させられる見出しだ。市民は自粛することに疲れているんじゃない。その側面が全くないとはいえないが、市民には自粛を暗に強制するくせに、オリンピックは何が何でもやる、と整合性に欠ける政治家、自粛を暗に強制するだけで、お前らが自粛を徹底しないから感染が収まらない、と責任転嫁してくる無能な政治家らにほとほと疲れ果てているのであって、活動自粛するのに充分な支援と環境があれば、自粛もやぶさかでない人の方が多いだろう。
 このような記事・見出しは、政治の責任をあやふやにするものであり、忖度報道の最たる例としか言いようがない。

 暗に自粛を強制してくる、と書いたが、

命令応じぬ飲食店には金融機関からも働きかけ 西村担当相 - 産経ニュース

オリンピック開催は強引に正当化しておいて、このような強権発動を平然と庶民にはやってくる。政府のこのような動きを知りながら、新聞はよくも”自粛疲れ”なんて書けるものだな、という感しかない。
 因みに、このようなことをやる政府が、緊急事態宣言・国家緊急権創設の為に改憲が必要だと言っている。こんな政府が国家緊急権を手に入れたら何を始めるだろうか。中国共産党化、ナチ化していくことは容易に想像がつく。

 テレビ朝日がこの件に関して次のように続報している。

西村大臣 酒類提供“金融機関への働きかけ”で釈明|テレ朝news-テレビ朝日のニュースサイト

西村大臣は8日、酒の提供を続ける飲食店の情報を金融機関と共有し、働き掛けるよう要請する考えを明らかにしました。
 西村大臣は9日の記者会見で「金融機関は飲食店など多くの事業者と接点があり、日頃からコミュニケーションを取る一環として、感染防止を働き掛けてもらいたいという趣旨だった」と述べ「融資を制限するということではなく、優越的地位の乱用にはあたらない」と釈明しました。

 これを釈明という見出しで報じるテレビ朝日も、結局のところ忖度報道をやっている。西村は釈明しているつもりなのだろうが、果たしてこれは、充分に自分の立場や事情などを説明していると言えるだろうか。釈明になっていると言えるだろうか。全くそうは思えない。
 言い訳にもならない戯言を言っているにすぎず釈明なんて言えない。そもそも西村はもう1年以上、新型コロナウイルス対応担当をやっているが、状況は一向によくならない。つまり結果が出ていないのだから、言い訳なんてしなくていいからさっさと辞めてくれ。無能な指揮官は敵よりも怖い。


 前段で、忖度報道をやっている、とした東京新聞は、一方でまともな指摘もしている。

緊急事態宣言で「異例の五輪」と菅首相 「安全安心」と矛盾だらけ 野党「夏祭りも中止なのになぜ?」:東京新聞 TOKYO Web

 この記事は、画像にまとめられているように、菅のこれまでの発言が如何に無責任か、いい加減なことを言い続けてきたか、を批判する内容だ。中見出しには「説得力なし」とまで書いている。
 同じ様な記事を朝日新聞も掲載した。

(時時刻刻)首相裏目、宣言下の五輪 「ワクチンで抑制」崩れたシナリオ:朝日新聞デジタル

 会見など公の場で首相が、大臣が、政府関係者が、何を言ったのかを漫然と伝えるだけでは、ハッキリ言ってコピペ記事/コタツ記事と変わらない。一応現場で取材をしている記者がいるんだろうが、言ったことをそのまま書いて終わりなら、Web中継を見るだけでも同じ記事が書ける。

 報道機関の役割は、政治家や政府関係者が言ったことに妥当性があるかを解説すること、これまでの発言を加味して整合性があるのかを提示することだ。そして、会見に参加しているのだから、事前に以前の主張、整合性を判断する為の材料を頭に入れておいて、質問の際に、それを指摘批判することだ。事前に決められた質問をただただ行うだけでは、報道機関を名乗るに値しない。


 これらの記事だけでも、日本の首相・政府・政治のおかしさ、異様さは一目瞭然だ。首相がいい加減で場当たり的なことばかり言っているし、質問にも答えないのだから、異様であることに間違いはない。

記者:(首相が質問に答えないので)最後の宣言になるのか確認しているんですが
司会(内閣広報官):追加の質問はお控えください
首相:常に私自身は今まで感染対策を行ってきたが、ワクチンというのは今回初めてです。世界はこのワクチンによって、且つての日常を取り戻している国が増え始めてます。ですからワクチン接種を最優先で行っているところであります


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