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IOCに権限があるのに、菅にとって中止は最も簡単?

 求人広告は大抵調子のいい話しか書いてない。実際に働いてみたら話が全然違うなんてことはザラにある。中には嘘しか書いてないんじゃないか?とすら思えるケースもある。よく言われるのは「アットホームな職場です」には騙されるな、だ。他に誇るべき要素がなく、定義も愛まないアットホームさをアピールしているのではないか? 家族経営にありがちなルーズな現場の言い換えではないのか? と疑え、などとよく言われる。


 コンビニが「誰にでもできる簡単なお仕事」を謳っている場合も怪しい。経営者がまともであれば、ワンオペなどにならないよう充分な人員を配置している店の、品出しなどに特化した店員を募集していることもあるんだろうが、コンビニ業務は多岐にわたる為、覚えることがかなり多く、コンビニ店員は、未経験がいきなりこなせる、誰にでもできる簡単な仕事じゃない。なのに決して給料はよくない。だから日本の若い人たちはやりたがらない。それで外国人労働者の割合が多くなっている。飲食店などにも同じことが言える。


 ウォールストリートジャーナル日本版が7/21に掲載した、首相の菅へのインタビュー記事にはこうある。

五輪開催でも日本は安全 菅首相、WSJに語る - WSJ

菅氏は、自身に近い関係者を含めた人々から五輪を中止することが最善の判断だと、これまで何度も助言されたと明かした。「やめることは一番簡単なこと、楽なことだ」とした上で、「挑戦するのが政府の役割だ」と語った

菅は4/23の記者会見で、東京新聞記者の「国民の命を守ることより、五輪開催が優先されていないか。開催を判断する具体的な基準を示すべきだ」という質問に対して、五輪の開催も中止も、権限はIOCにあるので政府は決められない、という趣旨の返答で中止を否定した。

 1年前の2020年3月に、同年7月に開催予定だった東京オリンピックが1年延期になったのは、各国の競技団体が延期を要請したからだと報じられている。しかし菅は、権限はIOCにある、と言うだけで、中止要請をしようとしなかった。

中止を決定する権限はIOCにあって、IOCが判断しないと中止できない、だから要請もしないのなら、菅にとって中止は決して簡単ではない。クリアすべきハードルがいくつもある。菅の主張からは、コンビニ求人における「誰にでもできる簡単なお仕事です」同様の嘘感、口からでまかせ感がとてつもなく伝わってくる

 更に付け加えれば、五輪担当大臣の丸川は、立憲民主党の議員らが、感染対策の不備、感染拡大の懸念から中止を要請したのに対して、

丸川五輪相 水際対策失敗もまるで他人ごと…五輪延期、中止要請に「もう選手が来ちゃったから」 | 東スポのスポーツ総合に関するニュースを掲載

もう選手が来ちゃたから(中止はできない or 難しい)

と開口一番に述べたそうだ。しかもその後は「〝安心安全〟の繰り返し」だったそうだ。もう選手が来ちゃってるから中止できない?一方で菅は、中止は一番簡単、と言っている。中止は簡単なのか?難しいのか?一体どっちなんだ?
 丸川は安心安全と繰り返したそうだが、新型ウイルス感染への懸念から、米国女子体操チームが選手村を脱出し、ホテルに宿泊することを決めたそうだ。毎日のように五輪関係者や選手から感染者が出たと報じられているので、そのような懸念が生じるのも当然だ。丸川は何を以て安心安全と言っているのか。丸川も菅同様に、明らかに口からでまかせの嘘を言っている


 菅の主張に話を戻して「挑戦するのが政府の役割」の妥当性を考える。なぜ大会開催に挑戦するのが政府の役割なのか。今政府が挑戦すべきは、如何に早く感染症を収束させるか、だ。オリンピック開催に挑戦するのはそれに反する行為でしかなく、つまり菅の言う挑戦とは、火に油を注ぐ、でしかない。
 菅はこれまで、如何に早く感染症を収束させるかに ”挑戦” してこなかった。緊急事態宣言を出したり引っ込めたりするだけだった。それは、感染が拡大している現状が物語っている。なのにオリンピックに関して急に「挑戦するのが政府の役割」なんて言い出している。それとも、無策でも運よく感染が収束するかもしれない、という挑戦をこれまでしてきたとでも言うつもりだろうか。それは一般的には挑戦と呼ばず、無責任な放置と呼ぶ。ことば遊び、というか日本語を次々と壊すのも大概にして欲しい。


 論理性に著しく欠け、情緒的でその場しのぎの姑息なことしか言わず、短期的にも矛盾が生じてしまう発言ばかりをしてしまう者が首相なので、日本における感染症の収束はまだまだ時間がかかりそうだ。



 トップ画像には、“コンビニ” の検索結果 – イラストストック「時短だ」 を使用した。

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