すかす、という表現がある。すかした奴、のように使う。言い換えるとしたら、気取る、格好をつける、などが適当だろうか。コトバンクには他に、すまし込む、という解説もある。澄ます、にも気取った様子という解説がある。すかす、は、すます、よりも少しアクティブな気取り方を表現するように思う。
政治の話をするとスカして、自民党もアレだが野党もね(笑)みたいなことを言う奴がまだまだ少なくない。そのようなことを言う人に突っ込んだ話をしても大抵暖簾に腕押しで、ゆるゆるのフワフワだ。
そもそも、もはや世界的スタンダードになりつつある同性婚制度や選択的別姓制度を否定しつづけ、女性活躍!と言うだけで、候補者男女均等法が成立してもそれを全く無視し続ける党を、つまり万人の法の下の平等という憲法の理念に反して人権軽視をする党を、自民党もアレだが野党もね(笑)と消極的にでも擁護できるのなら、その人も同じ穴の狢だということだ。
すかして、自民党もアレだが野党もね(笑)みたいなことを言う、つまり格好つけて、気取って、そのようなことを言うことが、どんなに愚かで無知で馬鹿げているか、いちいち細かいことを批判・指摘せずとも、人権軽視という時点で明白だ。
昨日こんなツイートを見た。
「選挙に行ったことがない(しこれからも行く気がない)」という方に、お仕事を一緒にはできない(音楽と思想は不可分なので)とお伝えしたところ、「海外セレブに影響されてそういうこと言ってるなら恥ずかしいからやめたほうがいいですよ」というクソほど見当違いなマンスプを受けたことがあるが、(続)
— 春 ねむり HARU NEMURI (@haru_nemuri) October 16, 2021
自民党もアレだが野党もね(笑)、政治なんて誰がやっても同じ。だから選挙なんて行ってもいかなくても同じ(笑)、みたいなのもまだまだいる。「海外セレブに影響されてそういうこと言ってるなら恥ずかしいからやめたほうがいいですよ」と言った人は、誰に影響されてそんなこと言ってるんだろう。恥ずかしいから止めたほうがいいのはどっちだ?
もしその人が誰かに影響されてそう言ったのではないとしても、「選挙に行ったことがない(しこれからも行く気がない)人とは一緒に仕事できない」という主張に対して「海外セレブに影響されてそういうこと言ってるなら止めた方がいい」と皮肉る方が絶対的に恥ずかしい。なぜなら、私は、選挙に行く=海外セレブに影響された奴(笑)がやること、という認識である、という告白に等しいからだ。そんな告白の方が間違いなく恥ずかしい。
VOICE PROJECT 投票はあなたの声 (秋元才加 安藤玉恵 石橋静河 小栗旬 コムアイ 菅田将暉 Taka 滝藤賢一 仲野太賀 二階堂ふみ 橋本環奈 前野朋哉 ローラ 渡辺謙) - YouTube
首相の岸田は10/14に衆議院を解散させた。よって近く衆院選が行われる。現在の見通しでは10/19公示、10/31投開票の予定である。
それを受けて公開されたのがこの動画で、若者を中心に著名人有志が出演し、投票へ行くことを促している。動画を見れば一目瞭然だが、この動画にはいかなる党派性もイデオロギー性もなく、ただただ投票率の低さ、特に若年層における投票率の低さにどんな問題があるのかだけを強調し、投票を促している。
ツイッターのタイムラインに、この動画に出演している一人・秋元 才加の、この動画を紹介して投票を促すツイートが流れてきた。秋元は、政治や社会問題に関する主張をしばしばするが、以前は彼女のそのような主張に対しては心無い中傷が多くあって、今はどうなっているのか、と思って彼女のツイートへのリプライを眺めてみた。
先人が苦労して得た権利、大切な1票を私は大事にしたいです。
— SAYAKA AKIMOTO (@akimotooo726) October 16, 2021
今年はハロウィン選挙ですね。
私達の未来の為にも、選挙にいこうね。
良かったらYouTubeでフルバージョンもご覧下さい。
皆で色々考えていけたら。#わたしも投票します@tohyo_koehttps://t.co/UYCYQAGYJ4 https://t.co/4mZPBSXzPC
以前と違って、その大半はまともなコミュニケーションだったので安心した。しかし、おかしなリプライも未だにゼロではなかった。
どんな主張をする自由もある。しかしおかしなことを言えばおかしいと言われて当然だろう。投票を呼びかけことが左翼活動? 投票を呼びかけるとイデオロギーの色がつく? 投票を呼びかけると芸能活動で差がつくからやらない方がいい? どう考えてもこれらはまともなコミュニケーションではない。はっきり言って嫌がらせの類だ。レッテル貼りとも言えるだろう。
2015年くらいまで、同性婚に関する記事や主張に対して、同性愛は病気、性的倒錯、色狂い、みたいな中傷を平気でやる人達が大勢いた。しかし今はそのような反応はほとんど見られない。SNSの運営等がその手の差別や偏見を許さなくなった、という側面もあるだろうが、そんな話は馬鹿げている・無知で恥ずかしい、という共通認識が社会に広がったからだろう。
政治や男女同権、人種や民族性の問題など、どんなことでも同じことで、的外れな主張は馬鹿げている・無知で恥ずかしい、という共通認識が広まれば、恥ずかしくてそんなことを言えなくなるだろう。選挙に行かないのはカッコ悪い、恥ずかしい、という認識が広がれば、「海外セレブに影響されてそういうこと言ってるなら恥ずかしいからやめたほうがいいですよ」などと皮肉る人もいなくなるだろう。いたとしても、共通認識が広がっていれば、単にバカが馬鹿なことを言っている、というだけで気にもならなくなるだろう。
1+1は2というツイートに、1+1は3でしょ?海外セレブに影響されて2とか言ってる(笑)、というリプライがあってもそんなには気にならないはずだ。それは、1+1=2が社会の共通認識であり、そんなのは、単にバカが馬鹿なことを言っている、としか思わないからだ。
同性愛に対する認識が5年程度で変化したのだから、政治や他の社会問題に関しても同じくらいの期間で社会問題の共通認識を変えられるはずだ。おかしいことをおかしいと指摘していけば社会は変わるし、指摘しなければ社会は変わらない。今の社会に不満があり、それを変えたければ意思表示しなくてはならない。投票も確実に意思表示の1つである。投票しないことは意思表示しないと同義、若しくは、今の政治や社会に一切不満はない、という意思表示である。