麻生太郎が小樽での選挙応援演説の中で「温暖化のおかげで北海道のコメがうまくなった」と発言した。仮に温暖化でコメが美味くなったが正しかったとして、温暖化の深刻な影響を考えたら美味くならない方がいい。
この発言は、前後を見れば更に酷い。
「温暖化のおかげで北海道の米がうまくなった」麻生氏発言→専門家「温暖化の影響はほとんどない」と指摘 | ハフポスト
#麻生太郎 副総裁 小樽市の演説「平均気温が2℃上がったおかげで北海道の米はおいしくなった。昔は北海道米は厄介道米というほど売れない米だった。今はその北海道がやたらとうまい米を作るようになった。(これは)農家のおかげですか?農協の力ですか?違います、温度が上がったからです」 pic.twitter.com/UwcbpoC7tk
— 国会ウォッチャー@総選挙まで安倍・菅政権振り返り中 (@kokkaiwatcher1) October 26, 2021
麻生は元首相、直近8年間副首相の座にいた人物だ。しかも今も与党自民党の副総裁という立場である。麻生のどうしようもない発言は、これまでも何度も繰り返されてきたので驚きはない。しかしこのような暴言・放言・他人を平気で蔑む発言や振舞いを何度も繰り返しても、福岡の有権者はこれを議員に選んできたし、自民党は政府や党の要職に起用し続けてきた。
それは一体どういうことか。麻生の選挙区の有権者の過半数が偏見によって他人を蔑む行為を厭わないということだし、暴言・放言・他人を平気で蔑む発言や振舞いを何度も繰り返す麻生を政府や党の要職に起用し続ける自民党が与党である、ということは、麻生の選挙区のみならず、日本の有権者、つまり日本人全般に偏見に基づく発言や差別的な発言に無頓着で、容認傾向がある、ということだ。
今日のトップ画像には、法務省の人権イメージキャラクター 人KENまもる君・人KENあゆみちゃん、というのを用いた。法務省には人権擁護局という部署があるそうで、法務省のWebサイトによれば、
人権擁護局は,人権相談やその後の救済手続を行っています。 また,皆様に人権への理解を深めてもらうため,各種人権啓発活動などに取り組んでいます
その名の通り人権を擁護する活動を行っているそうである。
しかし、法務省の管轄下に出入国在留管理庁、通称 入管があり、この数年入管における収容者に対する人権無視が何度も強く指摘されてきた。名古屋出入国在留管理局に収容されていたスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんが死亡した事件に対する法務省の対応は、その中でもかなり酷かった。そんなことをしておいて、よくも人権擁護局だのなんだのと言えたものだ。
スリランカ人女性死亡事件に見る「入管の闇」の深さ【コメントライナー】:時事ドットコム
このようなことの責任はどこに、誰にあるのか。勿論現場にも責任はある。しかし日本の制度上、法務省内の問題の最終責任は法務大臣にある。更に言えば、法務省は行政機関の1つであり、行政機関内で起きた問題の最終責任は内閣総理大臣にある。この責任の追求をメディアや有権者が怠れば、充分な反省と対策がなされず同じようなことが繰り返される。つまり責任を追求しない、ということは消極的に容認することになってしまう。
衆院選が正式に始まる直前に日本記者クラブで行われた与野党9党首による討論会で、「選択的夫婦別姓、LGBT法案に賛成の方は挙手を」との質問に対して、現首相で自民党総裁である岸田だけが挙手しなかった。
選択的夫婦別姓、LGBT法案に賛成なら挙手を ⇒ 自民党の岸田文雄総裁だけ挙手せず。理由は?【党首討論会】 | ハフポスト
G7参加国の中で同性婚かそれに準ずる制度、選択的夫婦別姓制度がないのは日本だけだ。日本がどれだけ同性愛者や女性の人権を軽視しているかがよく分かる。そして同性婚や選択的別姓の法制化に反対しているのが自民党と現政府である。そんな政府に人権擁護局がある?馬鹿馬鹿しいにも程がある。
10/31投開票の49回衆議院で自民党が再び与党になったら、「日本人の過半数は同性婚・選択的別姓を認めない党を支持する・容認するレイシスト・準レイシスト」だと落胆せざるをえない。そうすると一部が、「選挙の結果だ嫌なら出てけ」と言うだろう。選挙で勝てば差別もOKということなら、ここは相当ヤバイ国だ。日本国憲法では万人の法の下の平等を定めている。何人もそれを犯すことは許されないし、選挙に勝っても犯すことを正当化できない。ましてや嫌なら出ていけという直球の差別発言なんて許されるはずがない。