スキップしてメイン コンテンツに移動
 

どちらに進んでいるか分からないのは危険な状態

 錯視とは目の錯覚のことで、動いていないのに動いているように見えたり、同じ色なのに違う色に見えたり、同じ大きさなのに違う大きさに見えるなど、錯視には様々な種類がある。日常生活の中にも錯視は存在するが、それを分かりやすくしたのが幾何学模様などで表現した錯視で、それらは作品のように扱われることもある。

 錯視に関連した表現や作品には、静止画でなく動画/アニメーションを用いたものもあり、その中でも有名なのがシルエット錯視だ。このシルエット錯視はスピニングダンサーとも呼ばれ、回転している女性のシルエットが時計回りに回転しているようにも見えるし、反時計回りに回転しているようにも見える、というものである。

シルエット錯視 - Wikipedia


 このシルエット錯視と似た、錯視を用いた映像が、昨日自分のタイムラインに流れてきた。

 これは、駅を通過する列車の動きをループさせて、永遠に通過し終わらないように加工したGIFアニメーションで、自分には、画面の手前側を注視していると列車が手前から奥へ、画面奥側を注視すると奥から手前に列車が進行しているように見える



 この進行方向が分からない錯視を見て、日本人には、自民や維新などがどこに向って進んでいるか、どんな社会を目指しているのか分からない、という錯覚に陥ってしまっている、そんな人が少なくないのではないか、という仮説が頭に浮かんだ。

 それはこんなツイートが数日前に話題になっていたからだ。

これは、岸田 文雄は自民党総裁選で「小泉改革以降の新自由主義的政策を転換する」と言っていたのに、岸田政権の成長戦略の一環であるデジタル田園都市構想の会議に参加する者の中に、小泉政権以降の新自由主義的政策の推進に主体的に関与してきた竹中 平蔵の名があったことによる。

 岸田が新自由主義的政策を転換と言ったから自民党に投票したのに、竹中が登用されるなんて… と言っている人は自分の周りにはゼロだし、その種のツイ―トも数件しか確認していないので、本当にそんなことを言っている人が大勢いるのか、は自分にはよく分からない。だが、もしそんな人が大勢いるんだとしたら、その人達は危険な錯覚に陥っているか、もしくは政治家や政党を精査もせずに、いや政治家や政党に限らず誰かれ構わずに安易に信用してしまう人達としか言えない。言い換えれば、詐欺師に騙されやすい人と言えるかもしれない。

 高速道路などを逆走する高齢ドライバーがしばしば話題になるが、彼らは、自分以外全てのクルマが自分に向って走ってきても、正しく走行しているのは自分だ、と思い込んでしまうことで逆走を続け、最悪重大な事故を起こすのだろう。自分が間違った方向に進んでいる、逆走していると認知できれば、少なくとも停車するのではないか。

 つまり、厳しいようだが、岸田が新自由主義的政策を転換と言ったから自民党に投票したのに、竹中が登用されるなんて… と言っている人は、逆走する高齢ドライバーと同程度の認識力しかない、ということである。



 トップ画像には、レンプレート 刺激 効果 - Pixabayの無料写真 を使用した。

このブログの人気の投稿

同じ規格品で構成されたシステムはどこかに致命的な欠陥を持つことになる

 攻殻機動隊、特に押井 守監督の映画2本が好きで、これまでにも何度かこのブログでは台詞などを引用したり紹介したりしている( 攻殻機動隊 - 独見と偏談 )。今日触れるのはトップ画像の通り、「 戦闘単位としてどんなに優秀でも同じ規格品で構成されたシステムはどこかに致命的な欠陥を持つことになるわ。組織も人も特殊化の果てにあるものは緩やかな死 」という台詞だ。

マンガの中より酷い現実

 ヤングマガジンは、世界的にも人気が高く、2000年代以降確立したドリフト文化の形成に大きく寄与した頭文字Dや、湾岸ミッドナイト、シャコタンブギなど、自動車をテーマにしたマンガを多く輩出してきた。2017年からは、頭文字Dの続編とも言うべき作品・MFゴーストを連載している( MFゴースト - Wikipedia )。

優生保護法と動物愛護感

 先月末、宮城県在住の60代女性が、 旧優生保護法の元で強制不妊を受けさせられたことに関する訴訟 ( 時事通信の記事 )を起こして以来、この件に関連する報道が多く行われている。特に毎日新聞は連日1面に関連記事を掲載し、国がこれまで示してきた「 当時は適法だった 」という姿勢に強い疑問を投げかけている。優生保護法は1948年に制定された日本の法律だ。戦前の1940年に指定された国民優生法と同様、優生学的思想に基づいた部分も多く、1996年に、優生学的思想に基づいた条文を削除して、母体保護法に改定されるまでの間存在した。優生学とは「優秀な人間の創造」や「人間の苦しみや健康問題の軽減」などを目的とした思想の一種で、このような目的達成の手段として、障害者の結婚・出産の規制(所謂断種の一種)・遺伝子操作などまで検討するような側面があった。また、優生思想はナチスが人種政策の柱として利用し、障害者やユダヤ人などを劣等として扱い、絶滅政策・虐殺を犯したという経緯があり、人種問題や人権問題への影響が否定できないことから、第二次大戦後は衰退した。ただ、遺伝子研究の発展によって優生学的な発想での研究は一部で行われているようだし、出生前の診断技術の発展によって、先天的異常を理由とした中絶が行われる場合もあり、優生学的な思考が完全にタブー化したとは言い難い。

日本の代表的ヤクザ組織

  ヤクザ - Wikipedia では、ヤクザとは、組織を形成して暴力を背景に職業として犯罪活動に従事し、収入を得ているもの、と定義している。報道や行政機関では、ヤクザのことを概ね暴力団とか( 暴力団 - Wikipedia )、反社会勢力と呼ぶが( 反社会的勢力 - Wikipedia )、この場合の暴力とは決して物理的暴力とは限らない。

敵より怖いバカな大将多くして船山を上る

 1912年に氷山に衝突して沈没したタイタニックはとても有名だ。これに因んだ映画だけでもかなり多くの本数が製作されている。ドキュメンタリー番組でもしばしば取り上げられる。中でも有名なのは、やはり1997年に公開された、ジェームズ キャメロン監督・レオナルド ディカプリオ主演の映画だろう。