スキップしてメイン コンテンツに移動
 

粗悪品の意味で「中華○○」という表現を用いるのは差別/偏見

 ソニーとアップルの製品がもろいのは有名だった。最近はどちらの製品も買っていないから、今はどうかよくわからないが、少なくとも10年位前までは、実際にもろい製品が少なくなかった。

 ソニー製品は1年の保証期間が切れた途端に壊れる、という意味で、ソニータイマーなんて揶揄まであった。自分が買ったソニー製品の中にはハンディカムなど、比較的酷使したにもかかわらず長く使えたものもあったが、歴代プレイステーションは、どれも1年ちょっとでゲームの読み込み不良が始まり、2年経つ前に買い替えるのが常だった。ウォークマンやCDウォークマンも数台所有したが、それももろいソニー製品の例だったように思う。

 アップル製品ももろいものが多く、ノートパソコンのヒンジやキーボードに比較的早期に不良がでる、筐体が割れやすい、ケーブル類が断線しやすいなどがその典型的な例で、アップル製ノートパソコンの多くは、購入から比較的早い段階で問題が生じる個体が多かった。
 アップル製品の不良率が特に高かったのは初期のライトニングケーブルで、それ以前のDockコネクタケーブルも比較的脆弱ではあったが、ライトニング端子が初めて採用されたiPhone5/5Sのケーブルは、殆ど例外なくライトニングコネクタの根本でケーブルの被覆が破れていた。当時は被覆が破れていない純正ケーブルを使っている人を探す方が難しいくらいだった。

 ソニーやアップル製品がなぜもろいのか、それは耐久性よりもデザイン重視だから、という説が一般的だが、果たしてそれが本当かどうかは分からない。勿論個体差のようなものもあって、全てが全て早期に壊れるわけではないが、全体的な傾向から言って、それらのブランドの製品が、競合他社製よりも耐久性に劣る、というのは多くの人が感じていることだろう。



 中国製、と聞いてどんなイメージを連想するだろう。日本人の大半は、未だに安かろう悪かろう、粗悪品というイメージを持っているのではないだろうか。確かに10年くらい前までは、中国製品の多くが安かろう悪かろうだったし、粗悪品も決して少なくなかった。しかしそろそろ、粗悪品の意味で「中華○○」という表現を用いるのは差別や偏見の類だ、と誰もが気づくべきだ。 その大半が粗悪品だった頃ならまだしも、今や他国製品が太刀打ちできないような中国発の製品だって多いのだから。
 現在最も身近な先端技術と言えばスマートフォンだろうが、今やその大半、殆どが中国製である。2021年4-6月期のスマートフォンの世界シェアトップは韓国のサムソンだが、トップ5はサムソン/シャオミ/アップル/オッポ/ビボと、中華ブランドが多数派である。

世界のスマホ市場シェアでXiaomiがついに1位の座を獲得 - GIGAZINE

 しかも、米国が取引制限を課したことでシェアを急激に落としたが、これらに加えてファーウェイもある。更に言えば、iPhoneだってその殆どが中国製だ。アップル以外の非中華ブランドも、その大半は中国製である。

 確かに中国製品は今も玉石混交で、安かろう悪かろう、粗悪品もある。しかし、最早粗悪品の代名詞として中華製という表現を使うのは、実態にそぐわない。言い方を変えれば、粗悪品の意味で中華製という表現を使う人は、10年前の感覚を今も引きずっている。
 中国製の粗悪品を日本の企業が販売しているケースだって決して少なくないのだし、中華=粗悪という意味でその表現を用いるのは、たとえ傾向の話だったとしても適切とは言えない状況なのではないか。少なくとも自分にはそう思える。もし粗悪品という意味で中華○○という表現を使うのなら、その人は、粗悪品という意味で和製○○という表現が用いられることも許容しないといけない。今はもうそんな状況だ。なぜなら、日本政府が昨年配布した所謂アベノマスクは、感染症予防には殆ど役に立たないし、更には、衛生にかかわるものなのに、虫の死骸が付着したりカビが生えた個体が混ざっていたのだから。
 アベノマスクは東南アジアで製造されたものがその大半だったようだが、それを日本企業が輸入して日本政府が広く配布したのだから、つまり日本が主体的に成立させた粗悪品であることに疑いの余地はない。


 Youtube動画のタイトルやサムネイルを見ていると、徐々に安くてお得な製品という意味で「中華○○」という表現を用いるケースが増えているようにも感じるが、その一方で、未だに粗悪品という意味で「中華○○」という表現を使っているケースも少なくない。そのような認識をあらためないと、このままどんどん世界の標準的な認識からかけ離れていってしまうのではないか。逆に日本人は蔑視に無頓着だと言われてしまうのではないか。


このブログの人気の投稿

マンガの中より酷い現実

 ヤングマガジンは、世界的にも人気が高く、2000年代以降確立したドリフト文化の形成に大きく寄与した頭文字Dや、湾岸ミッドナイト、シャコタンブギなど、自動車をテーマにしたマンガを多く輩出してきた。2017年からは、頭文字Dの続編とも言うべき作品・MFゴーストを連載している( MFゴースト - Wikipedia )。

話が違うじゃないか

 西麻布に Space Lab Yellow というナイトクラブがあった。 一昨日の投稿 でも触れたように、日本のダンスミュージックシーン、特にテクノやハウス界隈では、間違いなく最も重要なクラブの一つである。自分が初めて遊びに行ったクラブもこのイエローで、多分六本木/西麻布界隈に足を踏み入れたのもそれが初めてだったと思う。

読書と朗読を聞くことの違い

 「 本の内容を音声で聞かせてくれる「オーディオブック」は読書の代わりになり得るのか? 」という記事をGigazineが掲載した。Time(アメリカ版)の記事を翻訳・要約した記事で、ペンシルベニア・ブルームスバーグ大学のベス ロゴウスキさんの研究と、バージニア大学のダニエル ウィリンガムさんの研究に関する話である。記事の冒頭でも説明されているようにアメリカでは車移動が多く、運転中に本を読むことは出来ないので、書籍を朗読した音声・オーディオブックを利用する人が多くいる。これがこの話の前提になっているようだ。  記事ではそれらの研究を前提に、いくつかの側面からオーディオブックと読書の違いについて検証しているが、「 仕事や勉強のためではなく「単なる娯楽」としてオーディオブックを利用するのであれば、単に物語を楽しむだけであれば、 」という条件付きながら、「 オーディオブックと読書の間にはわずかな違いしかない 」としている。

敵より怖いバカな大将多くして船山を上る

 1912年に氷山に衝突して沈没したタイタニックはとても有名だ。これに因んだ映画だけでもかなり多くの本数が製作されている。ドキュメンタリー番組でもしばしば取り上げられる。中でも有名なのは、やはり1997年に公開された、ジェームズ キャメロン監督・レオナルド ディカプリオ主演の映画だろう。

同じ規格品で構成されたシステムはどこかに致命的な欠陥を持つことになる

 攻殻機動隊、特に押井 守監督の映画2本が好きで、これまでにも何度かこのブログでは台詞などを引用したり紹介したりしている( 攻殻機動隊 - 独見と偏談 )。今日触れるのはトップ画像の通り、「 戦闘単位としてどんなに優秀でも同じ規格品で構成されたシステムはどこかに致命的な欠陥を持つことになるわ。組織も人も特殊化の果てにあるものは緩やかな死 」という台詞だ。