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親公認の結婚とは

 吉田 豪がリツイートしていたので、「彼女が両親に「遺産全てやるからアイツだけはやめておけ」と説得されてる中で元旦に記事にして16いいねは勘弁してくれ…」という、お笑いコンビ・鬼越トマホーク 坂井 良太のツイ―トが目に付いた。

 日刊スポーツが、坂井がまもなく結婚しそうだ、と書いた記事の、同紙アカウントによる紹介ツイートを引用して、その記事・ツイートへの世間の反応があまりにも薄いことを嘆いている、若しくは自虐的にネタにしたツイートだ。その記事がこれだ。

鬼越トマホーク坂井が真剣交際中恋人と結婚意思固める、相方金ちゃんも公認 - 結婚・熱愛 : 日刊スポーツ

 見出しには「相方金ちゃんも公認」とある。だが、坂井の「彼女が両親に「遺産全てやるからアイツだけはやめておけ」と説得されてる」という話が本当であれば、相方公認だが相手の親の公認は得られていない、ということになりそうだ。


 この見出しを見て、公認という表現は適当か。婚姻は当事者の合意でのみ成立するのだから、他が認めるとか認めないとかはない。「相方金ちゃんも応援」などの表現の方がより相応しいのでは、と思った。前段で親公認かどうかという話を持ち出したのは、それを連想したからであって、実際は結婚に相方”公認”も親”公認”もないだろう。
 このようなことを言うと、親公認とは、親が結婚を認めるとか認めないのような意味ではなくて、自分の子どもの結婚相手として相応しい相手と認めるか否かであり、そのような意味では、親公認の結婚とは、親に応援してもらえる結婚、という意味だ、と言われそうだが、確かにその通りだとも思う。しかし、そうも読めることは確かだが、決してそうとしか読めないわけではない。つまり親公認の結婚とは、親が結婚することを許可した結婚、とも読める。そしてドラマやマンガなどのフィクションだけでなく、実際にも「そんな(相手との)結婚は認めない、許さない」と言う人は存在しており、決して少なくない人が、親公認の結婚とは、親の許しを得た上での結婚、と解釈しているだろう。

 そもそも公認とは、辞書には「一般に、親、世間などが認めること」という解説もあるが、元の意味は「おおやけの認定。国家、社会、政党などが正式に認めること」である。

結婚は当事者の合意でのみ成立するものであって、たとえ親であってもそれを許さないなんてことは出来ないのであって、おおやけが認めるかどうかなんて全く関係ないのだから、公認なんて表現はやはり適さない。勿論結婚に限らず、交際やその他の選択だって、成人した者の個人的な選択について、他人が認めるも認めないもない。

 なぜ、結婚に公認という表現を用いるのは相応しくない、ということを連想したのか考えてみたが、それは多分、昨年、というかこの数年、皇室関係者の婚姻に関して、親でもなければ友達でもなく、知り合いですらない全くの赤の他人が、好き勝手にあれこれ言い、場合によっては皇室関係者の女性が選んだ相手を中傷するような事態が続いていたからだろう。
 相変わらずこの国では、結婚とは個人のものではなく、家と家の問題だ、と思っている人が多いのだろう。日本は人権意識が低い国なので、そんな古い因習が根強くても不思議ではない。いや、古い因習が根強いから相変わらず人権意識が低いのか、とにかくそれらに密接な関係性があることは間違いなさそうだ。そんな意味で言えば、伝統なんてクソくらえ、だ。


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