失敗は成功の基、と言うが、それが成立する為には、失敗した理由を考え、それを何か別の方法などに変更しなければならない。失敗した理由を考えずに同じやりかたを繰り返すだけでは、結局同じ失敗が繰り返されるだけだ。つまり検証と改善が伴わなければ、失敗は失敗の基、になるだけだ。
コロナ、全国で新たに673人 東京大神宮でクラスター、参拝中止に | 毎日新聞
これは、日本全国・1/3の新型コロナウイルス新規感染者が673人だった、と伝える毎日新聞の記事だ。媒体によっては700人超の数字を報じている記事もある。また、初詣シーズンに東京の有名な神社で集団感染が発生し、参拝受け入れを取りやめた、ということも報じている。
オリンピックで感染爆発を起こした後、日本の新規感染者は一応抑制されていることになっている。日本は他国にくらべて検査数が異様に少ない為、果たしてその数字に信憑性があるのかは疑問だが、その少ない検査数でも、既に先月・2021年12月から、東京などを中心に新規感染者は明らかに増加傾向にある。しかし、多くの自治体や政府は、具体的対策に乗り出さない。
世界的な流行が始まってから、世界的にずっとよい状況を保ち続けている台湾やニュージーランドでは、数件の市中感染が観測されると予防措置が取られている。だが、日本ではそれをやらない。現在世界的に広まっているオミクロン株が確認されてからも、PCR検査ではなく抗原検査を用いるなど、明らかに緩い検疫・水際対策しか行われていない。その一方で外国人の入国だけを禁じる措置を講じて、WHOから合理性に欠ける対応と批判されたりもしている。一方で在日米軍には何の措置も講じずに、沖縄をはじめとした各地の米軍基地で感染拡大が深刻になっている。
このままでは、これから数ヶ月でまた昨夏のような感染爆発を起こすのではないだろうか。もしそうなったとしたら、それは明らかに政府の怠慢による人災だ。
なんで政府がこのタイミングで積極的・具体的な対策を行わないのか。それは、感染拡大当初から日本では検査抑制論・PCR検査への懐疑論が根強く、その過ちを認められないから、そして、昨夏の東京オリンピック強行前も、同様に新規感染者が増加傾向だったにもかかわらず、開催は問題ないとした間違いを認めたくないから、また、積極的具体的な対策と言えば、行動制限を行う必要が生じるだろうが、そうするとその影響を受ける人たちへの生活保障が必要になるが、それには予算を割きたくないから、などがその理由だろう。
そうやってこれまでの間違い・失敗を認められなければ、また同じ過ちを繰り返すことになる。つまり再び感染爆発が起きる。失敗は多かれ少なかれ生じるものだが、面子にこだわって、若しくは保身の為に、その失敗を失敗と認めず、認められないから検証せず、漫然とこれまでと同じ対応を繰り返すだけでは、そこに進歩や改善などあり得ない。
それは新型コロナウイルス対応に限った話ではない。東京オリンピックの総括や合理的評価をせずに、札幌オリンピックを招致するのも、結局また赤字塗れの施設を増やすことになるんだろうし、国交省の統計データ改ざんを書き換えと矮小化すれば、再び同様の不正が繰り返されてしまうだろう。また、その不正な統計をもとにした経済政策だって間違いなく改めねばならない。前々首相の安倍が、未だに自身が行った経済政策・アベノミクスの方針を変えてはならない、などと言っているようだが、そもそも2年で物価上昇率2%達成という当初の目標は、およそ9年経った今でもまだ達成されておらず、明らかに失敗しているのだから、その失敗にこそ目を向けるべきだ。
全ての人間に、自分にとって都合の悪い情報を無視したり過小評価したりする認知の特性、バイアスがある。
そのような性質は誰にでもあるものであり、ある程度は仕方のないことだが、重要なのは、自分にもバイアスがある、という前提で物事を考え、行動することだ。それを忘れてしまうと、失敗を失敗と認めず、認められないから失敗を検証せずに、何度も同じ失敗を繰り返す、というパターンに陥ってしまうだのだろう。
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