今では地上波テレビの24時間放送は当たり前だが、1980年代テレビは、深夜は放送を中断していた。今でもNHK Eテレは概ね1:00から5:00頃まで放送が止まる。当時は、他の局も平日はほぼ2-3時頃で放送が終わっていた記憶がある。
当時テレビが深夜放送していなかったのはオイルショックに伴う節電対策の名残だったようだ。オイルショックと言うと、1973年頃の第一オイルショックを連想する人が多いだろうが、1979年にも第二次オイルショックが起きていて、政府が深夜放送中止を各局に要請したようである。
どこの局も放送終了時のエンディング(クロージング)と、放送開始時のオープニング映像があった。今でもEテレではそれを見ることが出来るし、他の局でもテレビ放送における日付が変わる4時頃に、オープニングを流しているかもしれない。
トップ画像に使ったのは、1980年代にフジテレビがエンディングで放送していた覚醒剤乱用防止CMを元にした画像だ。
この「覚せい剤やめますか? それとも人間やめますか?」というフレーズを用いたCMは、1980年代頻繁に放送されていたのか、強く記憶に残っている。元CMプロデューサー 田原 節子考案のキャッチコピーだそうで、よく見かけたのはこちらのCMだった。こちらには民放連:日本民間放送連盟 のCMであることを示すクレジットもある。
2014年12/28に放送されたTBSの報道特番・報道の日によると、民放連がこのような覚醒剤追放キャンペーンCMを作った背景には、覚醒剤を常用していた犯人が、2人の通行人を刺したあと人質を取って中華料理店に立て籠もり、合計4人が犠牲になった通り魔籠城事件・深川通り魔事件があったそうで、その後警察による覚醒剤取締り強化もあって、検挙人数は減少に転じたのだそうだ。
しかし、このキャンペーンのフレーズは、覚醒剤をやった人=人間を止めた人・人間としてアウト のような認識も生んでしまっていて、それは強い偏見を生んでいるとも言える。現在では、人間やめますかのように依存症患者の人格を否定するような表現は用いないこと、などの薬物報道ガイドラインがあるそうだが、未だに芸能関係者等の薬物事案が報じられる際に、人としてアウト、のようなニュアンスが強調されるケースが少なくない。
この「覚せい剤やめますか? それとも人間やめますか?」というフレーズを思い出したのは、そしてそれをもじったトップ画像を作ったのは、このツイートを見たからだ。「同性婚を法制化した国とその時期」と、この画像と共にツイートしていた。
これを見れば、所謂先進国と言われる国が2010年代までに同性婚を制度化したことは明白である。日本(と韓国)を除いて。南米諸国や南アフリカは所謂先進国の部類ではなく、それに続いて発展を見せる新興国の部類であり、つまり、日本は先進国ではなく、そして新興国にも劣る状況である。少なくとも同性婚においては。
更に言えば、夫婦別姓が許されないのは、2021年時点で世界で日本だけだそうだ。つまり、選択的別姓制度においては世界でビリである。
「世界で日本だけ」の夫婦同姓 四半世紀前に分岐点:朝日新聞デジタル
最早説明不要だろうが、同性婚を認めないのも、夫婦別姓を認めないのも差別以外の何ものでもない。否定する人たちが認めない合理性を何かしら示せるなら差別とは言えないかもしれないが、彼らからは、生殖機能がどうとか伝統がどうとか、全く非合理的な話しか出てこない。
日本国憲法は、というか現代の民主国家・自由国家ではどこでも、万人の法の下の平等を定めている。同性婚を否定することも夫婦別姓を認めないのも、自由主義や法の下の平等に反する明確な差別でしかない。同性愛については、2010年以前は世界中で偏見が酷く、認められてこなかったが、多くの国でその間違いが改められた。しかし、日本は未だに間違い続けている。果たしてそんな国が先進的と言えるのか。
同性婚で新興国にも遅れ、選択的別姓では世界でビリの国のどこが先進的だろうか。差別を厭わない国の何が先進的だろうか。
トップ画像では「覚せい剤やめますか?それとも人間やめますか?」というフレーズをもじって、「先進国やめますか? それとも差別やめますか?」としたが、実際は、日本はもう既に先進国をやめてしまっている状態なのだ。今のままではG7から追い出される日もそう遠くはないだろう。