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"ビデオはビクター" の終焉

 ビクター/JVCブランド民生用ビデオカメラの生産は2021年10月に終了していた、と2/1にJVCケンウッドが発表した。VHS普及期を経験した世代の自分には、ビデオはビクターが終わった、と感じられた。

 トップ画像のような広告は存在しない。ビクターと言えば蓄音機に耳を傾けるニッパー犬だろうと思って、そのパロディとしてVHSビデオ版を作った。

 トップ画像に使ったビデオデッキは、1976年10月31にビクターが発売したVHSビデオデッキ第1号の HR-3300 である。自分はこの投稿を書くまで知らなかったのだが、そもそもVHS規格はビクターが開発した家庭用ビデオの規格だったのだそうだ。

小学生の頃、実家が初めて買ったビデオデッキもビクター製だった。父親がビデオは「ビクター」と言っていた記憶があって、それでそのフレーズが頭に残っていたのかもしれない。ちなみに、現在ビクターはケンウッドと経営統合してJVCケンウッドとなっているが、自宅に幼い頃からあったステレオはトリオ(ケンウッドの旧ブランド名)だったし、初めて買ってもらったオーディオシステムコンポーネント、所謂ミニコンポもケンウッド製だった。確か一世を風靡 ROXY だったと思う。

 だが、今やケンウッドの主力製品はドライブレコーダーを始めとしたカー用品だし、ビクターがラインナップする映像関連商品はプロジェクターだけだ。

KENWOODブランド製品情報|株式会社JVCケンウッド

Victorブランド製品情報|株式会社JVCケンウッド

 音楽コンテンツや映像コンテンツの楽しみ方が、CDやVHS、DVDなどのメディアを使う方法ではなく、ネットを介してダウンロードしたりストリーミングで楽しむ方法に変わったことで、必要とされる機器にも変化が生じた。2000年代初頭、ビクターやケンウッドも携帯電話(PHS)やパソコンを手掛けていた。ビクターは2010年代前半には、今スマートフォンと並ぶ映像機器の主力商品であるアクションカムも手掛けていた。だが、ビクターやケンウッドだけでなく、その分野における日本ブランドのシェアはもうほとんど残っていない。つまり、日本のオーディオビジュアルブランドは変化についていけなかった、と言っても過言ではない。
 現在辛うじてソニー/キャノン/ニコンのレンズ交換式カメラが世界的な存在感を維持しているが、それらも確実に新製品投入のスパンが鈍化していて、風前の灯火感は否めない。1990年代の、オーディオビジュアル分野における日本ブランドの世界的隆盛を知っているだけに、何とも寂しい限りだ。



 ビデオはビクターというコピーはいつ頃使われていたんだろう、と思って調べてみたら、まずこのCM動画が目に付いた。

菊池桃子 ビデオはビクター CM - YouTube

 映像の雰囲気、使用されているコピーのフォントなどから判断すると、これは多分1990年代のCMだろう。自分のイメージでは、1980年代後半に父親が「ビデオはビクター」と言っていたので、1970年代か1980年代初頭の頃にそんなコピーが広告に使われていたイメージだった。もう少し検索してみたら、HR-X5という、1995年に発売されたVHSビデオデッキの箱の画像が出てきて、そこにデカデカとビデオはビクターと書かれている。また、菊池桃子がビクターの広告をやっていたのもその頃のようで、1994年8月のビクター ビデオデッキ総合カタログの表紙も飾っており、同時にビデオはビクターのコピーも使われている。

 1970年代から80年代初頭に…というのは、単なる自分の思い込みだったのか?とも思えたが、前述のVHSビデオデッキ第1号機・HR-3300 のことを調べていたら、こんなツイートがヒットした。

 ツイ―トによれば昭和53年、つまり1978年の広告だそうで、VHS第1号デッキ発売の2年後の機種/広告で、既にビデオはビクターのコピーが使われている。つまり、自分がビデオはビクターのコピーに対して持っていたイメージは間違いではなかった。ただし、1990年代もビクターがそのコピーを使っていた、という印象は抜け落ちていたのも事実だが。


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