夏目 漱石と言えば、吾輩は猫である、坊ちゃん、三四郎、それから、こころなどの作者であり、千円札の肖像画にもなった、近代日本を代表する小説家の一人だが、彼は帝国大学で英文学を学び、大学を卒業後はまず英語教師になった。
夏目 漱石が英語教師をしていた頃、生徒が I love you を「我君を愛す」と訳したら、「日本人はそんなことを言わない。月が綺麗ですね、とでもしておけ」と言った、という話がまことしやかに語られているが、その根拠は不明で、創作の類ではないかとも言われている。
漱石が I Love You は 月が綺麗ですね と訳せと実際に言ったかどうかは別として、日本語における文学的な表現では、直接的な表現よりも比喩表現が粋とされる傾向が確実にあり、このような意訳は、使える文字数に制限のある洋画の日本語字幕翻訳などでもしばしば見かける。
しかし、英語の試験で I Love You を 月が綺麗ですね と訳しても確実に点はもらえない。つまり、この意訳は文法的、論理的な視点で見ればデタラメと評価されるレベルの解釈である。文学的な表現、芸術的な表現としては通用しても、実用的な翻訳・解釈としては基本的に通用しない、ということだ。言い方を変えると、I Love You を 月が綺麗ですね と訳せば、読解力が壊滅的な人とか、歪曲を厭わない人と認識される恐れがある、ということである。
どの国のどの政府も少なからず嘘はつくし、全く一切詭弁の類を言わないということもないが、2012年末に成立した安倍自民以降、日本の政府のレベルは本当に地に落ちた。嘘をつくことを厭わなくなって、公文書の改ざんや隠蔽、恣意的な表現が日常的に横行している。安倍が2020年夏に持病を理由に「正常な判断ができなくなる」と政権を投げ出した後、次に首相になった菅も、安倍政権時代の官房長官で詭弁の限りをつくしていた男だし、基本的に安倍政権の方針を続けるとも言っていた。その菅も1年足らずで自ら首相の座を降り、現在は、それらよりもいくらかマシな岸田が首相になっているものの、岸田政権でも恣意的な日本語の解釈によるはぐらかしは横行している。
学校で陽性者が出た時の検査実施を求められた末松文科大臣の答弁がヤバい
— 𝐄𝐌𝐈𝐋 (@emil418) March 8, 2022
(2022.3.8参院文部科学委員会・吉良よし子議員質問) pic.twitter.com/voneZog0eY
これは、書かれている通り2022年3/8の参院文科委員会における、共産党 吉良 よし子と岸田政権の文科大臣 末松 信介のやりとりである。
吉良:大阪の寝屋川市では、クラスで一人陽性者が出たら、保健所がキットを配ってクラス全員スクリーニングPCR検査受けられる体制にしていると聞くわけです。やろうと思えばできるわけですよ。
末松:えー… ご指摘をいただきまして、感染者が出た場合の検査っていうのは、あのー…(聞き取り不能、資料を見つめる)うーん… ま、それにつきましてはあの… 国として学校で定期的な検査を推進して、えー… ではどうか?っていうことかと思います。またその…
(外野から吉良の声?:保健所と)
末松: 保健所でね?
(外野から吉良の声?:学校で感染者が出た時に検査を)
末松:それは…(笑) ちょっと今のところは、そのことはちょっと想定してはございませんですね。
吉良:あの(笑)、そんなはずない想定してないはずないんですよね。あの、文科省がですね、あのこのー、学校で感染者が出た場合の対応ガイドラインというものを出されていてですね、判明した感染者が一人でも、感染状況によっては原則として、当該感染者が属する学級等のすべての者を検査の対象の候補とすることが考えられるって。だから寝屋川市でもそういう対応をしているわけですよね? そういう対応をもっと全国に広げられるように、国として積極的に周知していくべきじゃないですか?ということを申し上げているんです。
末松:あのー国として… あのー えー… 抗原検査キットはですね、あれですね… まあとにかく、保健所と連携しながら、ま効果的な検査の実証?を進めて努めつつ、まずは日々の健康観察や基本的な感染症対策の徹底というのをまず、これはやっぱり基本的に考えていきたいと思ってございます。だから、これはもう…、
(外野の声)
末松:うん、いやいや、ちょっと待っておかしいよ?
(外野から吉良の声?:検査のことを伺ってます)
委員長:速記を止めて下さい
このやりとりを見て、適切な議論が成立している、と認識できるようなら、その人も日本語能力が著しく低いということになる。末松は聞かれたことに全く答えず、都合の悪い質問をはぐらかそうとするあまり、会話自体が成り立っていない。もしそのような意図で質問を歪曲しているとか、恣意的な意訳レベルの解釈をしているのではなく、純粋に質問の意味が分かっていないなら、それよりも更に悪い。つまりなんにせよ、ヤバイ奴が大臣になっている、ということには違いない。ハッキリ言って、日本語が通じない者が大臣になっていると言っても過言ではない。
このような事案は末松に限らない。次のツイ―トは、2022年3/9の午後の官房長官記者会見における、朝日新聞記者と官房長官 松野 博一のやりとりだ。松野も末松と同じくらいにヤバイ。
朝日「農水省が本日、輸入小麦を国内業者に売る価格を4月から平均17.3%引き上げると発表。過去2番目の高値となっており、政府の受け止めと、4月以降、緊急に対策を何か検討する可能性があるのか」
— SHIN∞1🌏 (@shin19infinity) March 9, 2022
松「…農林水産省において、背景を含めて国民の皆様に、丁寧に説明することが重要と考えている」
は? pic.twitter.com/qQRGw6xS2R
朝日:日本が輸入に頼っている小麦の高騰についてお伺いします。農水省が本日、輸入小麦を国内業者に売る価格を4月から平均17.3%引き上げると発表しました。過去2番目の高値となっており、小麦粉や麺類、パンなど、国民生活に、負担増は直結すると思われます。政府の受け止めと、4月以降、緊急に対策を何か検討する可能性があるのかについても教えてください。
松野:えー、輸入小麦の政府の国内事業所への売渡価格は、直近6ヶ月間の政府の買付価格をもとに年2回改定をしています。先ほど農林水産省が公表した本年4月期の価格は、直近6ヶ月における小麦の国際価格の上昇等の影響により、買付価格が高い水準で推移した為、トンあたり7万2530円、現行から17.3%の引き上げになると承知をしています。今回の引き上げについては主に、昨年夏の高温乾燥による米国産・カナダ産小麦の不作等の為、国際価格が高騰したことによるものであり、農林水産省において、背景を含めて国民の皆様に丁寧に説明することが重要と考えています。
「小麦価格の引き上げは国民の負担増となり、悪影響を及ぼすことは必至だが、緊急に何か対策するつもりがあるのか 」という質問に対して、聞かれてもいないことをだらだらと喋り、何をするのかと言えば「丁寧に説明する」だけ。それは対策とは言わない。なぜなら、丁寧に説明したところで国民生活への影響は緩和されないからだ。
簡単に言うと、国際価格が上がったんだから文句を言うな、と言っているにも等しい。もしそうでなく、純粋に質問内容が理解できていないなら、日本語の通じないバカが政府の広報官であり、首相に次ぐ実質的なNo.2とも言える官房長官をやっている、ということである。
連日触れているように、ロシアのウクライナ侵攻に乗じて、日本も核共有の検討を!議論もしないのは思考停止だ!なんて言っている者が少なからずいる。その人たちは、改憲について議論しないのは思考停止だ!とも言っている。果たして、こんな日本語が通じない人たちと議論が成立するだろうか。勿論議論など成立するはずはない。
今の日本はそんな人たちが政権与党となり、政治の中心にいる。日本のレベルはそんな程度でしかない。これでよくも「世界の真ん中で日本が輝く」なんてアホなことが言えたものだ。ロシアのプーチンに比べたらはるかにバカな人たちだから、今は日本語での議論が成立しないレベルで済んでいるが、もしここにプーチンのような狡猾な者が加わったら、日本はロシアの二の舞になる。今のうちになんとかしないといけない。