スキップしてメイン コンテンツに移動
 

停電の懸念と言いつつ、積極的な対処をしない政府与党の思惑

 電力消費が供給量を上回って大停電が発生するかもしれない、深刻な大停電が発生する前に計画停電を実施することになるかもしれない。昨日、国や東日本の各自治体、東電などがそのような情報を発信した。

東電、今夕に停電の恐れ 「より踏み込んだ節電」要請―東北電管内も「逼迫警報」・経産省:時事ドットコム

 3/16に発生した、福島県沖を震源とする最大震度6強の地震の影響で、一部の火力発電所が停止しており、それに、東京でも雪が降るかもしれないという真冬並みの寒さが一時的に戻る気候条件が重なり、つまり暖房用の電力需要が増えて供給量を上回ることが予想され、電力供給が足りずに停電が発生する懸念が生じた。それで、国や自治体や電力会社が広く節電を呼び掛ける、という事態になったそうだ。

 でも、どこどこの工場が節電の為操業停止とか、そのような話は一切聞こえてこなかった。工場でなくても、急を要する職以外一切臨時休業して、オフィスの照明や暖房を止めるだけでかなりの電力を節約できるのではないか? それとも実際は、節電の為に広く操業停止や休業があったが、メディアが伝えていないだけか?到底そうとは思えない。大企業がもし節電の為に休業/操業停止をしていたら、それは社会活動としてのアピール材料になる為、一般的に考えたら大々的に広報するだろうし、メディアは広告主のそのような発表を無視できないであろうからだ。
 紹介した時事通信の記事の最後には「東電と経産省は不要な照明を消し暖房温度の設定を20度にしたり、使っていない機器の電源を落としたりするなど節電への協力を家庭や企業に求めている」とあるが、それはつまり、大企業などへ節電の為の大規模な休業や操業停止は求めていない、ということでもある。

 もし電力が足りずに停電が発生する懸念が突発的に発生したなら、大規模な休業や操業停止をするのは難しいかもしれない。しかし、地震が発生したのは3/16で、もう約1週間前のことだし、その時から火力発電所は停止しているわけで、また、天気だって先の条件は予報である程度分かっているのだから、決して急に懸念が生じたとは言えない。
 そして、停電に関する懸念が出てきたのは昨日・3/22が初めてではなく、地震発生の2日後、3/18日には既に、昨日3/22と同じ条件による停電の懸念が生じていた。つまりどう考えても、昨日の停電の懸念は突発的に生じた事態とは言えない

東日本で大規模停電の恐れ 18日午後9~10時、東電が節電要請 | 毎日新聞

 国や自治体、東電、そしてメディアは大騒ぎしているが、その一方で、国や自治体や東電は、この数日間指をくわえて何もせず、ただただ大騒ぎしているだけ、メディアはまんまとそれに乗せられている、とも言えるのではないだろうか。では、ただただ大騒ぎする理由は一体なんだろうか。

 ロシアのウクライナ侵攻をダシにして、敵基地攻撃能力と称した先制攻撃の正当化や核保有/核共有を叫ぶ人たちがいる。今回示された電力供給の懸念をダシにして原発再稼働を叫んでいる人たちもいる。現与党の自民は、新型ウイルス感染拡大をダシにして改憲を叫んでもいる。日本の新型ウイルス対策が充分に出来ないのは、憲法で緊急事態条項を定めていないからだ!なんて言っている政治家もいる。しかし実際は、政府与党なのに出来る対策やらずに政争の具にしているだけだ。諸外国では当たり前に行われている広範なPCR検査はいつまでもやらないし、感染拡大の懸念の中オリンピックを強行したりもした。そして実際に感染状況は大きく悪化した。
 勿論「電力供給が足りずに停電するかもしれない、という話は全くの嘘」とまでは言わない。しかし、深刻な停電が発生するかもしれない、と言いつつ、一方で大企業等に大規模な休業等を要請していないんだから、実はそれ程深刻でもないのかもしれない、とも邪推してしまう。または、政府や与党は、実際に停電が発生した方が「だから原発再稼働すべきだ!」という口実づくりには最適、と思っているかもしれない。だから積極的に休業を要請するなどの対処をしていないのでは?という懸念も、決して荒唐無稽ではない。

 もしそうでなければ、政府や東電はもっと積極的に対処しているはずだからだ。



 トップ画像には、group of people walking inside building photo – Free Energy Image on Unsplash を使用した。 

このブログの人気の投稿

話が違うじゃないか

 西麻布に Space Lab Yellow というナイトクラブがあった。 一昨日の投稿 でも触れたように、日本のダンスミュージックシーン、特にテクノやハウス界隈では、間違いなく最も重要なクラブの一つである。自分が初めて遊びに行ったクラブもこのイエローで、多分六本木/西麻布界隈に足を踏み入れたのもそれが初めてだったと思う。

マンガの中より酷い現実

 ヤングマガジンは、世界的にも人気が高く、2000年代以降確立したドリフト文化の形成に大きく寄与した頭文字Dや、湾岸ミッドナイト、シャコタンブギなど、自動車をテーマにしたマンガを多く輩出してきた。2017年からは、頭文字Dの続編とも言うべき作品・MFゴーストを連載している( MFゴースト - Wikipedia )。

読書と朗読を聞くことの違い

 「 本の内容を音声で聞かせてくれる「オーディオブック」は読書の代わりになり得るのか? 」という記事をGigazineが掲載した。Time(アメリカ版)の記事を翻訳・要約した記事で、ペンシルベニア・ブルームスバーグ大学のベス ロゴウスキさんの研究と、バージニア大学のダニエル ウィリンガムさんの研究に関する話である。記事の冒頭でも説明されているようにアメリカでは車移動が多く、運転中に本を読むことは出来ないので、書籍を朗読した音声・オーディオブックを利用する人が多くいる。これがこの話の前提になっているようだ。  記事ではそれらの研究を前提に、いくつかの側面からオーディオブックと読書の違いについて検証しているが、「 仕事や勉強のためではなく「単なる娯楽」としてオーディオブックを利用するのであれば、単に物語を楽しむだけであれば、 」という条件付きながら、「 オーディオブックと読書の間にはわずかな違いしかない 」としている。

あんたは市長になるよ

 うんざりすることがあまりにも多い時、面白い映画は気分転換のよいきっかけになる。先週はあまりにもがっかりさせられることばかりだったので、昨日は事前に食料を買い込んで家に籠って映画に浸ることにした。マンガを全巻一気読みするように バックトゥザフューチャー3作を続けて鑑賞 した。

敵より怖いバカな大将多くして船山を上る

 1912年に氷山に衝突して沈没したタイタニックはとても有名だ。これに因んだ映画だけでもかなり多くの本数が製作されている。ドキュメンタリー番組でもしばしば取り上げられる。中でも有名なのは、やはり1997年に公開された、ジェームズ キャメロン監督・レオナルド ディカプリオ主演の映画だろう。