オリジナルのマンガの連載が昨年・2021年4月に終了し、アニメ版も現在ファイナルシーズン2期が放送されている進撃の巨人には、複数のスピンオフ作品/サイドストーリーがある。トップ画像に使ったのは、そのうちの1つの英語版のカバーアートだ。
これは、英語版のサブタイトル No Regrets からも分かるように、同作品の主要キャラクターであるリヴァイと、調査兵団分隊長のエルヴィン スミスとの出会いが描かれている、進撃の巨人 悔いなき選択 というスピンオフ作品のカバーアートだ。進撃の巨人 悔いなき選択 はアニメにもなっている。
進撃の巨人「悔いなき選択」予告編 【新作オリジナルアニメーションDVD付き限定版コミックス15巻 12月9日発売!】 - YouTube
ロシア人は悔いの残る選択をした。勿論、ウクライナへの侵攻を決めたプーチンを大統領に選んだ、容認/黙認してきた、という選択のことを言っている。たとえば、ロイターがこんな記事を掲載している。
Thousands of Russians stuck in Thailand as sanctions kick in | Reuters
ロシアがウクライナ侵攻に侵攻したことによって、航空機の運航がキャンセルされたり、ルーブルの価値が暴落したことや、ロシアの銀行からのクレジットカードなどの決済方法も制限されたことで、つまり、ウクライナ侵攻に対する制裁措置の影響で、タイを旅行中だった約7000人のロシア人観光客が、現地で立ち往生しているという内容だ。
こんなことに巻き込まれてしまったロシア人観光客を気の毒だと思う一方で、為政者はしっかりと選ばないと、こんなことになってしまう、という反面教師にすべき事案だとも思う。ロシアでは現在、プーチンによる恐怖政治があるとも言える為、そしてロシア人は全員プーチン支持者というわけでもない。だからロシア人の自業自得とまでは言わないが、プーチンは全く非民主的な方法で為政者になったわけでもない。つまり、政治家をしっかりと選ばないといけない、という教訓を示していることには違いない。
ナチやヒトラーも民主的な方法で選ばれてしまった。2016年大統領選では米国民はトランプを大統領に選んでしまった。つまり日本でも同じことが起きる恐れは大いにある。いや、もう既に同じことが起きているとも言える。
ロシアのウクライナ侵攻に乗じて非核三原則を軽んじ、核共有を検討せよ!と言っている者を、戦後最長期間首相として選び、そしてそれから続く現首相や政府、そして与党も、自衛の為の敵基地攻撃能力と称して先制攻撃を正当化しようとしており、そんな政治を日本の国民がずっと容認しているのだから。
しばしば、選挙で選ばれた政府や政治が嫌なら日本から出ていけばいい、のようなことを言うバカがいるが、選挙とは絶対的に正しい者、正しい政治を選ぶ仕組みではない、ということは、ヒトラーやプーチン、そしてトランプが選挙によって選ばれたことが証明している。日本だけを見ても、もし選挙や民主主義が常に正しい選択を下すのであれば、バブル崩壊後の失われた30年なんてのは説明がつかない。国外からの影響もあるかもしれないが、それでも、先進国の中で日本だけが約20年も賃金が上がっていないのは異常で、それは、選挙や民主主義によって正しい経済政策を講じる政治が選ばれてこなかった、ということを示している。
大臣など政府関係者の不祥事が発覚すると、首相の任命責任が問われる。2012年末に成立した安倍自民党政権以来、「任命責任は私にある」と言うだけで責任はとらない、という状況が状態化しているが、それでも自民党は選挙で勝ち続けている。それは、有権者が、首相は責任をとらなくてもよい、と言っている状況とも言える。
閣僚不祥事:「任命責任」取ったことあるの? 閣僚不祥事で首相、幕引きに利用か | 毎日新聞
政治なんて誰がやっても同じ、そんなことを平気で言う人がいるが、それは、自分が政治に対して真剣に考えなくて済むようにする為の呪文でしかない。政治なんて誰がやっても同じなら、どこの国もロシアのように、いやプーチンのように、平和維持という詭弁による武力による現状変更・侵略を行っているのではないだろうか。しかし実際はそんなことはない。つまり、政治は誰がやっても同じではないし、為政者を真剣に選ぶことはとても重要なことだ。
政府関係者の不祥事の責任が、その任命者である首相にも及ぶなら、民主的な方法で選ばれた政府の不当な行為の責任が、その国の有権者にも及ぶのは当然である。つまり、ロシアのウクライナ侵攻に乗じて核共有だの言う国会議員や、自衛と称して先制攻撃を正当化しようとしている政府によって、もし現在のロシア、というかプーチンのような行動がなされたら、日本にも現在ロシアに課されているのと同じ様な制裁が科されて当然なのだ。
だから、政治なんて誰がやっても同じ、なんてアホなことを言っていないで、為政者はしっかりと選ばないといけない。いい加減に選べば、そのツケは確実に回ってくる。それは他国への武力行使・侵略に限らない。有権者が維新を府政与党、首長に選び続けてきた大阪府が、新型コロナウイルスの感染拡大で全国的にワーストな状況であることも、それを見事なまでに証明しているし、自民を与党に選び続けている国政レベルでも同じことが言える。
日本では先人の努力によって参政権が確立されている。政治に参加し為政者を選ぶ権利があるということは、同時に為政者を選んだことの責任も負っているということだ。その責任は、自分達の世代に対する責任だけでなく、自分達の次の世代、つまり子や孫の世代に対する責任でもある。今だけ自分だけは許されない。
この10年で日本は責任者が責任をとらずに済む社会になってしまったが、有権者は、おかしな政治を選んだ責任から目を背けることは出来ても、逃れることはできない。悔いのない選択を慎重に行うことは子や孫の世代に対する責任でもある。