自民党が、男女格差解消でも男女平等実現でもなく、女性活躍というスローガンを掲げるのは、そういうことなんだろう、という感しかない。なぜなら、7年も政権を担当していたのに202030を達成せず、目標の達成時期を10年も先送りし、候補者男女均等法も成立後最初の選挙から無視しっぱなし、選択的別姓も頑なに認めようとしない、そんな政党だからだ。
ちなみに202030とは、2003年の小泉自民党政権時に設定された、2020年までに「指導的地位」における女性の割合を30%にする、という男女共同参画政策の目標で、候補者男女均等法とは、2018年に成立した、国会や地方議会選挙で男女の候補者数をできる限り均等にするよう政党や政治団体に求める法律だ。選択的夫婦別姓については最早説明の必要もなく、世界で唯一日本だけが認めていない制度だ。
こんな状況なのだから、自民党は人気取りの為に女性活躍というスローガンを掲げてはいるが、男女格差を解消するつもりも男女平等を実現するつもりもなく、だから明確に男女格差解消とか男女平等実現とは言わずに、女性活躍という見せかけだけのスローガンを掲げて有権者を騙している、ようにしか見えない。
女性活躍というスローガンには、もしかしたら「(あくまでも現状維持の範囲内で)女性に活躍させてやる」みたいな意味が込められているのではないか? のようなことまで想像してしまう。
政治家のセクハラ・マタハラ防止へ 地方議員の被害をもとに政府が動画作成 野田聖子担当相「私も酒席で体中触られた」:東京新聞 TOKYO Web
だからこのような記事を見ても、ああ、参院選が近いから、男女平等/女性の権利向上を私たちは気にかけています!とアピールしているだけなんだろう、男女格差の問題を、政争の具、選挙で票を集めることを目的に政治カード化しているんだろう、としか思えない。本来であれば、政府がこのような啓蒙を行うことは歓迎すべきなのだろうが、前述のような美辞麗句/羊頭狗肉に塗れた与党による政府なのだから、素直を歓迎することができないのだ。どうせ選挙前にやってる感演出したいだけだろ? というふうに。
名前が上がっている野田 聖子も、政治家ではなく政治屋という印象しかなく、お前が言うな、という思いばかりが募る。
東京新聞の記事は、関連記事として2021年6/10の「セクハラ・マタハラ対策は新設も…女性候補者数の目標義務化は盛り込まず 政治の改正男女共同参画法が成立:東京新聞 TOKYO Web」という記事も紹介している。この件も、自民党が、男女格差解消でも男女平等実現でもなく、女性活躍というスローガンを掲げるのは、そういうことなんだろう、ということを裏付けている。
英語では政争の具のことを Political football と言うそうだ。政争に勝つための目的で利用される事柄を、両陣営からあちらこちらに蹴飛ばされるサッカーやラグビーなどのボールに見立てた表現なのだそうだ。
日本の場合、少なくとも現時点では、男女格差解消/男女平等実現は両陣営から好き勝手に蹴飛ばされているわけではなく、一方の陣営が都合によって前に蹴ったり後ろに蹴ったりしている状態だ。なのに何故、日本の有権者はもう一方の陣営にボールを蹴らせてみようと思わないのか。
こんな状況なのに、選挙前だけ前に蹴り、それ以外は後ろでボール回しをするチームばかりを日本の有権者は応援するのだから、恐らく日本人の大半は男女格差解消したいとも男女平等を実現したいとも思っていないのだろう。日本とはとんだ先進国である。