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難民を適切に認定している、とは口が裂けても言えないのに

 難民を受け入れている国の多く先進国ではない。難民が発生する地域の周辺に先進国と呼ばれるような国が少ない、というのもその理由だろうが、それでも、ドイツは、先進国の中で難民受けれに大きく貢献している。

 先進国は全般的に難民の受け入れが少ないが、その中でも日本は桁違いに少ない。最早異様、差別的、鎖国状態と言ってもいいくらいだ。

日本の難民認定制度|認定率の世界比較と認定以外の難民問題の解決法も|国際協力NGOワールド・ビジョン・ジャパン

 日本は難民の受け入れが差別的と言えるほどに少ないだけでなく、入管での非人道的対応も問題になっている。収容者を長期にわたって不当に拘束したり、職員が過剰な暴力を振るったり、必要な医療を受けさせなかったり、拷問が行われていると言っても過言ではないような状況だ。その状況は今も殆ど変わっていない。

 つまり日本はこれまで、少なくとも2010年代、シリア難民もアフガニスタン難民も、そしてミャンマー/ロヒンギャの難民も殆ど受け入れて来なかった。しかし、現首相の岸田は4/15の国会・参院本会議において、それを指摘された際に「難民は適切に認定している」と述べたのだ。

国会ウォッチャー @kokkaiwatcher1

 これは、ロシアのウクライナ侵攻によって発生した難民の受け入れに関する質疑応答なので、岸田は、ウクライナの難民については適切に認定しているが、そこからこぼれてしまう人を救う為に準難民制度の創設を目指す、と言っているとも解釈できるが、しかし、そもそも準難民制度自体が実質的に、ウクライナからの難民とそれ以外の地域からの難民を区別し受け入れなくても済むようにする為の制度で、つまりこれまでの非人道的な難民対応を正当化するために自民政府が創設を目論んでいる制度としか思えない。だから、「難民は適切に認定している」なんて話は全く容認しがたい。

 そもそも少なくともこの10年の日本の難民対応に鑑みれば、今の日本の状況で、難民は適切に認定している、なんて口が裂けても言えない。だが平然と公にそう言ってしまうのが、現在の日本の首相であり、与党総裁なのだ。ということはどういうことか、を日本人は本当によく考えた方がいい。湾岸戦争では、日本人は金だけで汗かかない、と言われたそうだが、今の日本の難民対応で「難民は適切に認定している」なんて言えば、それよりも更に厳しい批判にさらされるだろうとしか言えない。
 だが、岸田のこの発言は、大手メディアでは殆ど取り上げられていないし、SNSでもあまり話題になっていない。つまり、日本人は全般的に、困っている人たちに冷たいと言えるだろう。おもてなしの国なんて言ってオリンピックを承知した国なのに。


 岸田は、紛争地からの準難民受け入れ制度の創設を検討している件について、

条約上は難民に当たらないが、人道的な見地から難民に準ずる形で受け入れようと、法務省が仕組みの検討を進めている

ともコメントしている。

首相、「準難民」制度を検討 「人道的見地で受け入れ」:東京新聞 TOKYO Web

 準難民なんて、自分たちの都合に合わせた勝手な概念を作り出しておいて、何が人道的な見地か。こんな者を首相にしていたら、こんな者をトップに選ぶ党を与党に選んでいたら、日本の国際的な信用はどんどん下がっていくだろう。国際的な信用が下がれば、他の国に都合よく利用されるだけだ。日本の有権者はそんな未来を望んでいるのだろうか。



 トップ画像には、イラストストック「時短だ」 – 時短に役立つ素材サイト の素材を使用した。

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