スキップしてメイン コンテンツに移動
 

ゲスい政治家、ゲスい政党

 げす(下種・下衆・下主・下司)とは、もともとは卑しい身分の者、下賤の人間、のような、身分制度に基づく差別的なニュアンスの強い言葉だが、現在では身分差別的なニュアンスは薄まり、品性が下劣であるとか下品であるとか、主に人間性の低さに注文した表現に変わっている。

 こんな書き出しでこの投稿を始めたのは、勿論何かを下衆だと思ったからなのだが、それは何かと言えば、自民党の幹事長 茂木 敏充だ。

自民 茂木幹事長 “『ゼロコロナ』は中国と北朝鮮と立民だけ” | NHK | 新型コロナウイルス

 茂木は、5/15に水戸市で講演し、その中で「どうにか全国レベルの感染状況は落ち着きを見せている。これまでの経験や知見を踏まえると、治療薬やワクチンを確保し、地域の医療体制も充実させながら『ウィズコロナ』のもと経済社会活動や日常生活を取り戻していくことに尽きる」「どう考えても『ゼロコロナ』は現実的ではなく『ゼロコロナ』をやっているのは、中国、北朝鮮、そしてわが国の立憲民主党だけだ。政策は、現実的に進めていかなければならない」などと発言したそうだ。
 感染状況は落ち着きを見せている?となぜ言えるのか。そもそも日本では現在も充分な検査体制がない為、実際の感染状況はよくわからない。しかし、自治体等が発表する数値だけで判断しても、現在の感染状況は決して落ち着いているとは言い難い。単に最悪だった今年の2月頃よりはいくらかマシな程度でしかない。

第1波~第6波 感染者数グラフ(全期間を1画面表示)|NHK

 茂木は、この状況で「どうにか全国レベルの感染状況は落ち着きを見せている」と言っている。ハッキリ言って、茂木は数字/グラフが読めない、もしくは自民政府の対応がうまくいっているという印象操作をやっている、かのどちらかだ。前者なら政治家にしてはいけないような人物だし、後者なら下衆と言ってもいいだろう。なぜなら、そこには人の健康や生命が関わっているのに、それを害された人のことをなかったことにしようとする行為以外のなにものでもないからだ。

 また、ゼロコロナは中国と北朝鮮と立民だけ、というのもよくわからない。中国の政策の是非は別としても、新型ウイルスの被害ゼロを目指して何が悪いのか?あたかもゼロを目指すのは間違いかのような言い方だ。たとえば、いじめも殺人を始めとした犯罪も、どうやってもゼロにはできない。しかし、それは非現実的だからWithいじめが正しい、With犯罪が正しい、なんて言う政治家がいるか?それは果たして ”現実的” と言えることなのか。
 更には、立憲民主党が中国や北朝鮮と同じような政策をやろうとしている、と言える根拠はどこにあるのか。自分には全くそれが分からない。自民党というのは、こんな男が幹事長をやっている政党である。それで内側からは異論が全然聞こえてこないんだから、党全般がこれと似たりよったり、と言っても間違いではないんだろう。


 自民党の下衆は他にもいて、たとえば自民から参院選出馬を予定している漫画家の赤松 健もそうだ。赤松は何かにつけて表現の自由の重要性を訴えるのだが、彼の表現の自由に関する概念はかなり異様だ。それは、既に自民党の参院議員となっている 山田 太郎との共著の「表現の自由」の闘い方にあるマンガを見ればとても良くわかる。当該マンガは、試し読みで読める。

 赤松はオタクを自称しており、彼が描くマンガも所謂狭義のオタク層に受ける内容のものが多いのだが、その界隈の人には、赤松の主張に共感したり賛同するような者、同様の主張を繰り広げている者も少なくない。しかし赤松や彼同様の姿勢で表現の自由の重要性を訴える者の多くは、現在国会で審議されている侮辱罪の法定刑引き上げには、殆ど懸念も異論も示さない

侮辱罪の法定刑引き上げは「表現の自由を脅かす」 日弁連が反対する意見書発表 - 弁護士ドットコム

 表現の自由とは、民主主義政治を支える基盤として、権力、主に国家権力から表現活動や言論活動を不当に制限されない為の概念である。赤松や山田たちは、表現の自由の重要性を訴えているというスタンスなのに、何故か言論活動に国家権力が介入することを強めようとする自民党に身を置き、そのような党の姿勢には一切異論を呈さない。また、赤松や山田と同様の主張をする者には自民支持者も多く、彼らも同様に自民党に異論を呈さない。
 また彼らは、フェミニズム/フェミニストが自分達の表現活動を弾圧しようとしている!とは言うが、国家権力・主に警察が、どんな出版物がわいせつで、どこまでがわいせつでないかを一方的に判断し、更には性器などを描いたり撮影した作品を、それだけでわいせつとして違法とするこの国の状況にも異論を呈さない。彼らが如何に表現の自由という概念を理解できていないかは、彼らの矛先が権力には向かず、寧ろ権力側に立っていることからもよく分かる

 また、今日はこんな赤松のツイートもタイムラインに流れてきた。

 赤松は、ヒットしたアニメやマンガなどに還付金を出すことで、現場のアニメーターやその他のスタッフなどの待遇が良くなる、のようなことを言っているが、この10年、アベノミクスとやらで自民政府が大企業を優遇し、大企業が潤えばそれがそれ以下に流れていく、と主張したが、結局大企業が内部留保を肥え太らせただけで、それ以下は殆ど潤わなかったのは、労働者の賃金は横ばいどころか寧ろ下がっているというのは、誰の目にもあきらかだ。つまり、彼の主張は既知の失敗を繰り返そうとしているだけでしかない。
 また、赤松が添付したマンガのタイトルに ”実績7” とあるのも気になる。これは、彼のWEBサイトにある「赤松健のこれまでの取り組み」というページから引用しているものだが、これは既に実現したものではないから、実績ではない。なのに彼はそれを実績としている。実績でないものをあたかも既に実現した実績かのように言うのはなんともゲスい。
 更に、同ページに彼が実績として上げている1-9は、どれも決して赤松の実績ではない。中には既に実現したこともあるが、自分が主体的に実現したわけではないことを、あたかも自分の手柄であるかのように実績としてWEBサイトに掲載し宣伝するのもゲスいとしか言えない。そして、こんなのを公認する自民党もゲスいと言えるだろう。赤松のWEBサイト自体も、自民が漫画家として名が売れただけの赤松を公認したのも、どちらも現在の主なニュアンスであるおかしな政治宣伝という意味での、プロパガンダだ。


 今日は維新のこんな話も出てきたが、自民も維新も、顔や名前で投票してくれればそれでいい、だから公認候補の中身なんて重要でない、くらいにしか考えていないんだろう。

「顔で選べば1番」維新石井氏が発言 女性5人出馬の参院選栃木選挙区巡り|県内主要,政治行政,社会|下野新聞「SOON」ニュース|下野新聞 SOON(スーン)



 トップ画像には、You searched for ugly - Artvee を使用した。

このブログの人気の投稿

話が違うじゃないか

 西麻布に Space Lab Yellow というナイトクラブがあった。 一昨日の投稿 でも触れたように、日本のダンスミュージックシーン、特にテクノやハウス界隈では、間違いなく最も重要なクラブの一つである。自分が初めて遊びに行ったクラブもこのイエローで、多分六本木/西麻布界隈に足を踏み入れたのもそれが初めてだったと思う。

マンガの中より酷い現実

 ヤングマガジンは、世界的にも人気が高く、2000年代以降確立したドリフト文化の形成に大きく寄与した頭文字Dや、湾岸ミッドナイト、シャコタンブギなど、自動車をテーマにしたマンガを多く輩出してきた。2017年からは、頭文字Dの続編とも言うべき作品・MFゴーストを連載している( MFゴースト - Wikipedia )。

読書と朗読を聞くことの違い

 「 本の内容を音声で聞かせてくれる「オーディオブック」は読書の代わりになり得るのか? 」という記事をGigazineが掲載した。Time(アメリカ版)の記事を翻訳・要約した記事で、ペンシルベニア・ブルームスバーグ大学のベス ロゴウスキさんの研究と、バージニア大学のダニエル ウィリンガムさんの研究に関する話である。記事の冒頭でも説明されているようにアメリカでは車移動が多く、運転中に本を読むことは出来ないので、書籍を朗読した音声・オーディオブックを利用する人が多くいる。これがこの話の前提になっているようだ。  記事ではそれらの研究を前提に、いくつかの側面からオーディオブックと読書の違いについて検証しているが、「 仕事や勉強のためではなく「単なる娯楽」としてオーディオブックを利用するのであれば、単に物語を楽しむだけであれば、 」という条件付きながら、「 オーディオブックと読書の間にはわずかな違いしかない 」としている。

あんたは市長になるよ

 うんざりすることがあまりにも多い時、面白い映画は気分転換のよいきっかけになる。先週はあまりにもがっかりさせられることばかりだったので、昨日は事前に食料を買い込んで家に籠って映画に浸ることにした。マンガを全巻一気読みするように バックトゥザフューチャー3作を続けて鑑賞 した。

敵より怖いバカな大将多くして船山を上る

 1912年に氷山に衝突して沈没したタイタニックはとても有名だ。これに因んだ映画だけでもかなり多くの本数が製作されている。ドキュメンタリー番組でもしばしば取り上げられる。中でも有名なのは、やはり1997年に公開された、ジェームズ キャメロン監督・レオナルド ディカプリオ主演の映画だろう。