おいしい生活 とは、西武百貨店が1982-83年に広告で使ったキャッチコピーだ。高度経済成長期を経て、多くの人が衣食住に困るような状況でなくなり、これからは余暇を楽しむ時代で、物質的な豊かさだけでなく精神的・文化的に豊かな生活を、と提案したコピーだったそうだ。このコピーを用いた広告にはアメリカの俳優であるウッディ アレンが起用されていた。
Wikipediaのページ名称に(キャッチコピー)とあるのは、2000年に公開されたウッディ アレン監督/脚本/主演の映画、Small Time Crooks の邦題にも おいしい生活 が使われたからである。
時系列から言って、ウッディ アレンの映画の邦題の方が、西武百貨店の広告キャッチコピーありきでつけられたのだろうから、本来は映画の方を おいしい生活(映画)とすべきなんだろうが、多分Wikipediaのページが作成さえた順番が映画の方が先だったのだろう。
これは、西武百貨店の広告「おいしい生活」のパロディだ。昨日・6/26にNHKで放送された日曜討論の中で、自民党幹事長の茂木が、「消費税を下げると年金3割カットすることになる」という発言をしたそうである。この10年で消費税は5%から10%に上がったが、年金は減額されているし、生活保護費も引き下げられている。社会保障充実の為の消費税増税だったはずなのに、社会保障は悪化する一方だ。
少子高齢化によって社会保障費が増大していて、予算がカツカツで消費税を上げても社会保障の内容を下げざるをえない、というのが自民の言い分なんだろうが、自民は一方で防衛費を倍増させるとも言っている。日本は現在でも軍事費(防衛費)の規模で世界のトップ10に入っている。そこから更に増額、しかも倍増する、と言っているのだ。一体そんな余裕がどこにあるのか。そんな思いを込めた皮肉がこのパロディだ。
一応元ネタも紹介しておこう。おいしい生活というコピーを使った西武百貨店の広告は複数あるが、おそらく一番象徴的なのが、このウッディ アレンに習字でおいしい生活と書かせて、それを自ら掲げさせたものだろう。
最初は、顔の挿げ替えと”生活”を”利権”に置き換えるだけしか考えていなかったが、実際の広告を見ると、左上になにやら文句が書かれていた。全部消してしまうことも考えたが、読んで見たらパロディできそうだったのでこれも利用した。次の画像はその部分の拡大だ。
元の文章ありきなので不自然さは否定できないが、パロディとしては成り立っているのではないだろうか。自民政権が使った新型ウイルスの予備費のうち10兆円以上が使途不明/不明瞭だそうだし、自民党はこれからもずっと「おいしい利権」を確保したいんだろう、国民からピンハネしつづけるつもりなんだろう。
参考: