スキップしてメイン コンテンツに移動
 

日本人にとっては、国政選挙もアイドルの選挙も大して違わない

 AKBの全盛期は2010年代前半だっただろうか。自分の周りでも、握手券などを目当てにCDを複数枚買うなんて人がちらほらいた。年に一回AKB48選抜総選挙なるものが行われていて、場合によっては握手券ではなく投票券がCDに付いてくるなんてこともあり、自分の好きなメンバーのランキングを押し上げる為に、投票券目当てでCDを複数買うなんてヤツもいた。

 そもそも、ここのところAKB自体の存在感が薄れている感もあるが、総選挙の話も全然聞かないな、新型ウイルスの感染拡大で自粛/中止になっているのか? と思って調べたら、2018年を最後にそれ以降は開催されていないようである。AKBの総選挙は2018年で終わってしまったようだが、ラジオ番組が ”女性アイドル顔だけ総選挙” なるものを催したり、週刊誌が ”美尻グラドル総選挙” を実施していたりと、日本では他にも似たような女性芸能人のランキングが行われているようである。


 アイドルと選挙といえば、現在は第26回参議院選挙の期間中で、4月に突如自民党からの出馬を表明した元おニャン子クラブの生稲 晃子のことを連想せずにはいられない。生稲は、2015年に乳がんを患いつつそれを隠して女優業を続けてきたことを公表、それが理由で2016年に政府の働き方改革実現会議の民間議員に選ばれているが、それ以外にはこれまで目立った政的治活動はなかったし、ブログやSNSで政治に関心を示していた様子もほとんどなかった。だから4月に参院選出馬を表明したことは唐突という感しかなかった。

 その唐突感、そして比例票獲得のためのお飾り候補感は、毎日新聞の候補者アンケートに如実に表れている。

生稲晃子|自民|東京|第26回参院選|毎日新聞

 生稲は25の設問のうち24について無回答で、唯一回答したのは「憲法改正に賛成ですか。反対ですか」だけで、賛成と回答している。憲法改正に賛成と回答したにもかかわらず、「憲法9条の改正について、考えに最も近いのはどれですか」には無回答だし、違憲か否かが問題になっている、緊急事態条項・核保有/各共有/敵基地攻撃能力、同性婚や選択的別姓などについても無回答であることから、ああ、この人は何も考えてないんだな、という感しかない。
 また、アベノミクスによる深刻な円安が起きていて、消費税減税/経済政策なども今回の選挙の争点の1つと言えるだろうが、それらに関する設問にも全て無回答であり、現首相岸田の言う「新しい資本主義」に関する設問にすら無回答なのだから、最早からっぽとしか言いようがない。これを比例票獲得のためのお飾り候補と言わずしてなんと言おうか。


 こんなからっぽの候補がもし当選するのだとしたら、日本の有権者は知名度や顔だけで議員選びをしている、と言っても過言ではないだろう。それは、多くの日本人にとっては国政選挙も、AKBの総選挙などと同じようなものでしかない、ということを意味する。
 しかし残念なことに、どこの序盤情勢を見ても、生稲が優勢であると伝えている。

三春充希(はる)⭐第26回参院選情報部 : 「第26回参院選情勢報道 東京都 https://t.co/SIk2wtKFX5」 / Twitter

東京選挙区の最新情勢発表!参院選2022を制すのは誰!?選挙ドットコムちゃんねるまとめ | 日本最大の選挙・政治情報サイトの選挙ドットコム

 選挙ドットコムの分析は朝日や毎日と違っていて、先行ではなく混戦としているが、それでも当選の可能性がある範疇にいる、ということにはなっている。これらの分析が実情と大きく乖離していないなら、生稲が政治家として何も考えていないことが明白でも、選ぶつもりでいる有権者がかなりいる、ということだ。


 生稲がどんな選挙活動をしているか、を検索してみても、出てくるのはこんな記事ばかりである。公式サイトにはいくつか公約のようなものもあるが、毎日の候補者アンケートにほぼ無回答だったことなどを勘案すれば、単なる美辞麗句に過ぎない、誰かの受け売りを載せているだけ、と考えるのが自然ではないだろうか。

これで、場合によってはトップ当選を果たしそうな勢いなのだから、日本人にとっては、国政選挙もアイドルのランキングを決める選挙も大して違わない、と言っても過言ではないだろう。


このブログの人気の投稿

話が違うじゃないか

 西麻布に Space Lab Yellow というナイトクラブがあった。 一昨日の投稿 でも触れたように、日本のダンスミュージックシーン、特にテクノやハウス界隈では、間違いなく最も重要なクラブの一つである。自分が初めて遊びに行ったクラブもこのイエローで、多分六本木/西麻布界隈に足を踏み入れたのもそれが初めてだったと思う。

マンガの中より酷い現実

 ヤングマガジンは、世界的にも人気が高く、2000年代以降確立したドリフト文化の形成に大きく寄与した頭文字Dや、湾岸ミッドナイト、シャコタンブギなど、自動車をテーマにしたマンガを多く輩出してきた。2017年からは、頭文字Dの続編とも言うべき作品・MFゴーストを連載している( MFゴースト - Wikipedia )。

読書と朗読を聞くことの違い

 「 本の内容を音声で聞かせてくれる「オーディオブック」は読書の代わりになり得るのか? 」という記事をGigazineが掲載した。Time(アメリカ版)の記事を翻訳・要約した記事で、ペンシルベニア・ブルームスバーグ大学のベス ロゴウスキさんの研究と、バージニア大学のダニエル ウィリンガムさんの研究に関する話である。記事の冒頭でも説明されているようにアメリカでは車移動が多く、運転中に本を読むことは出来ないので、書籍を朗読した音声・オーディオブックを利用する人が多くいる。これがこの話の前提になっているようだ。  記事ではそれらの研究を前提に、いくつかの側面からオーディオブックと読書の違いについて検証しているが、「 仕事や勉強のためではなく「単なる娯楽」としてオーディオブックを利用するのであれば、単に物語を楽しむだけであれば、 」という条件付きながら、「 オーディオブックと読書の間にはわずかな違いしかない 」としている。

あんたは市長になるよ

 うんざりすることがあまりにも多い時、面白い映画は気分転換のよいきっかけになる。先週はあまりにもがっかりさせられることばかりだったので、昨日は事前に食料を買い込んで家に籠って映画に浸ることにした。マンガを全巻一気読みするように バックトゥザフューチャー3作を続けて鑑賞 した。

敵より怖いバカな大将多くして船山を上る

 1912年に氷山に衝突して沈没したタイタニックはとても有名だ。これに因んだ映画だけでもかなり多くの本数が製作されている。ドキュメンタリー番組でもしばしば取り上げられる。中でも有名なのは、やはり1997年に公開された、ジェームズ キャメロン監督・レオナルド ディカプリオ主演の映画だろう。