ブラウザであるwebサイトを表示した途端に、急に何をクリックしてもパソコンが反応を示さなくなった。マウスカーソルを操作することはできるが、ウインドウやタブを切り替えることができない。
アプリケーションをいくつか同時に起動していたので、何かが大幅にメモリなどのリソースを食っていて、反応が遅れる所謂ビジー状態なのかな? と思い、しばらく放置したが変化がない。Ctrl + Shift + Esc でタスクマネージャーを立ち上げてみたが、何かが大幅にリソースを食っている様子はなかった。トップ画像でネタばらししているので、察しのよい人は既に気づいているだろうが、パソコンはフリーズしてもおらずビジー状態でもなく、ただ単にマウスのボタンが経年劣化を起こして接触不良になっていただけだった。でもPCの挙動的には、OSか又はアプリケーションのどれかのビジー状態なように見えたので、マウスのハードウェア的な問題には思い至らず、十数分の時間を浪費してしまった。
家電製品の説明書には大抵、故障かな?と思ったら、みたいな初歩的なトラブルシューティングのページがあって、最初の方に「電源が入らない」>コンセントが抜けていませんか? なんて書いてある。そんなのを見ると、バカにしてんのかコラ!とも思うのだが、メーカーもバカではないから、全く根拠もなくそんな項目を設けているのではなく、何かに基づいてそのような記述をしているんだろう。多分、電源が入らない、と相談センターに電話してくるケースにおいて、コンセントが入っていなかったという原因が何割かを占めるような状況なのだろう。
自分が、マウスのハードウェア的な問題が原因なのに、PC側のソフトウェア的な部分に問題があると思い込んだように、コンセントを差したと思い込んでいたが実際は差していなかったケースや、電気製品を動かすにはまずコンセントを差す必要がある、ということに思い至らない人が、相当数ある/いる、ということなんだろう。
何か問題が起きた際に、それを解決・解消する為のまず第一歩は、その原因を正確に把握することにある。マウスの接触不良が原因のなのに、ソフトウェアの欠陥、リソース消費量だけに目を向けて疑い続けていては、問題は絶対に解消しない。コンセントがつながっていないのに、どんなに電源ボタンを押そうが、他の操作を見直そうが、電源は絶対に入らない。
今の日本を見ていると、日本人は問題の原因を正確に把握できる人の方が少ないんだろうな、としか思えない。しばしば恣意的な設問設定や聞き方が指摘されるので、最早各メディアの世論調査も手放しに信用できるような状況にないが、それでも選挙では自民党が多数派となり与党であり続けているのだから、世論調査の数字は全くのデタラメとまでは言えない。
しかし一方で、増税や社会福祉制度の後退に対して異論のある人は少なくないし、物価上昇に対する不満がある人が多い、という調査結果もある。賃金が上がらないことへの不満がある人だって決して少なくない。でもなぜか日本の有権者は、それでも自民党を与党に選び、政権の座につかせるのだ。そのような不満の原因はどう考えても、この10年間政権を担ってきた自民党による政治にあるのに。
日本人の多くは、家電説明書の、故障かな?と思ったら、の「コンセントが抜けていませんか?」に対しては「バカにしてんのかコラ!」と思うはずなのに、それが政治や社会のことになると、コンセントが抜けているかどうかを確認しないで、暮らしが楽にならないことを不満に思うのだ。
繰り返しになるが、問題を解決・解消する為のまず第一歩は、原因を正確に把握することにある。
トップ画像には、びっくり サラリーマン コンピューター - Pixabayの無料画像 を使用した。