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お断りしたい上司の典型例 2選


 昨日・3/16の衆議院・財務金融委員会で麻生財務大臣は、

昨日・3/15ですか、事務次官等々・局長等々幹部を部屋に呼んで、この本件についての真摯に反省する必要がある。大きな大人・いい歳こいた大人に対してこんなことを、俺に言わせるというところがそもそもふざけた話

などと発言していた。本件とは、森友学園に国有地が不正な価格で払い下げられたことに関連して、財務省が決裁文書を改ざんした件だ。3/14の投稿の中でも如何に麻生氏が他人事と認識しているように感じられるかを書いたが、昨日も、というか、これまで一貫して彼は相変わらずだし、会見で記者に対する横柄とさえ思える態度も、更に拍車がかかっているようにすら感じられる。本人は「無能な官僚や、揚げ足ばかりとる記者が俺の足を引っ張りやがって」と思っているのかもしれないが、彼が不祥事を起こした組織の責任者であることは誰の目にも明らかで、一般的に、このような態度のことを「逆ギレ」と言うのだろう。
 3/14の投稿でも書いたが、もう一度言う。彼は記者やカメラの反対側で国民が見ていることを理解出来ていない。


 昨日、3/9-12にかけて行った最新の世論調査結果を時事通信が発表したが、内閣支持率は前月比で9.4ポイント減の39.3%だったそうだ。3/9-12に実施した調査ということは、財務省が改ざんを認める以前、3/2に朝日新聞が改ざん疑惑として報じてはいたが、政府や財務省が捜査中であることを理由に見解を示すことを避けていた時点での調査で、この結果ということだ。
 明言を避けたハッキリしない態度だったから、この結果が出たと考え、その後認めて一応謝罪したことを評価する者もいるであろうことを考えれば、もしかしたら今後の調査結果では支持率が持ち直すこともあるかもしれないが、自分にはその可能性が高いとは思えない。麻生氏を筆頭に政府や与党幹部の一部が、まるで他人事・深刻な問題だと認識していないような態度を示していることを考えると、今後は更に支持率が下がるのではないかと予想する。

 冒頭の麻生氏の発言に話を戻すと、自分から見れば、最低最悪の上司でしかない。確かに、彼が財務省のトップであることは事実で、省内を律する為には部下に説教をする必要はある。しかしそれをまるで「言ってやったぜ?」的に部外者に自慢げに話している様子は全く尊敬できない。「事務方のトップらを呼んで厳重注意した」くらいの表現なら理解もできるが、「こんなことを俺に言わせるというところがそもそも”ふざけた”話」なんて言ってのける感覚は全く理解出来ない。絶対にこんな上司の下で働きたくない。

 昨日の財務金融委員会では、自民党の義家議員が、麻生氏が辞任した佐川・元理財局長を「佐川、佐川と呼び捨て」にしていることに関して、こんな発言をしていた。

麻生大臣が「佐川、佐川」と呼ぶのはいかがなのかと、呼び捨てにするのはいかがなのかという話を聞きますけど、私だって11年間たって「義家」って呼び捨てにしていただけませんから。私は呼び捨てにして頂けるくらい信頼されたいと思ってますよ。

義家氏が麻生大臣に呼び捨てにされたいかどうかは彼個人の自由だろう。しかしそれを強調されたところで、「だからどうしたの? 信頼されたいかどうかの話ではない」としか思えない。
 麻生氏が「佐川、佐川」と呼び捨てにすることが、なぜ一部のマスコミなどから批判を浴びるのかと言えば、彼の態度が他人事感に溢れ、佐川さんだけに責任を押し付けようという思惑があるように見えるからだろう。彼に、今回の件、というか昨年来ずっと続いている一連の件を深刻に受け止めている様子が覗えているならば、呼び捨ては信頼感や親近感によるもので、横柄な態度とは言えないと受け止められたかもしれないが、そんな風には全く見えない。
 そして何よりもまず、同じく昨日の財務金融委員会の中で、麻生氏は、佐川さんの証人喚問の必要性を野党議員に投げかけられたことに対する答弁で、「(佐川氏は)もう退官(国税庁長官を辞任)しておりますので、そうすると、この人に対してどの程度のことが聴けるのか、また、本人としては当然何も喋らないという権限も向こうに有している」と発言している。佐川さんへの信頼なんて微塵もないとしか言えず、義家氏がどれだけ説得力の薄い話をしたかを裏付けている。

 また、義家氏はこうも言っていた。

一部では軽々に麻生大臣の政治責任を問う声が上がっておりますが、(中略)麻生大臣にしか、真相の究明、並びに信頼回復の為の、必要な抜本的な改革を成し遂げることはできない

義家氏は麻生大臣のような上司が好みなんだろう。それは義家氏の自由だから何も悪いことではない。しかし、政府を上げて働き方改革を掲げ、昨年来#MeTooタグで、基本的にはセクハラ関連だが、パワハラへの問題視も強まっているのに、パワハラ上司的な振舞いをしている者を必要以上に持ち上げて、彼は一体何がしたいのだろうか。彼は麻生大臣に心酔しているから「麻生大臣にしか、真相の究明、並びに信頼回復の為の、必要な抜本的な改革を成し遂げることはできない」と思っているようだが、自分には「麻生大臣の下での調査なんて全く信用ならないし、信頼回復・抜本的な改革なんて夢物語」としか思えない。
 ただ、昨夜のテレビ朝日・報道ステーションで、現職の財務省職員数名に対するインタビューが放送されており、その中の一人は、

(麻生氏の)進退に関しては、今のまま頑張って信頼を回復していただけたらな、とは思ってます

と話していた。これを考慮すると、麻生氏が言語道断の全くの悪人とまでは言えないだろうとも感じた。

 似たような事を、レスリング伊調選手に対するパワハラ疑惑に関して、一昨日・3/15に突如会見を開いた谷岡郁子・至学館大学長にも感じた。彼女が会見を開いた理由は、一連のパワハラ疑惑事案に関連して、至学館大学のレスリング部員やOGが誹謗中傷を浴びせられていることを公表し、非難する為だったようだが、途中から、まるで彼女もパワハラ上司であることを自ら公言するような内容になっていた。中でも最も酷いと思えたのは、

そもそも伊調馨さんは選手なんですか? そもそも彼女は東京五輪を目指しているんですか?

という発言だった。伊調選手は引退表明していないのだから「選手なんですか?」という発言は明らかに不適切だ。彼女が「東京オリンピックを目指していません」と公言したという話も聞いたことがない。彼女は何を根拠にこんなことを言ったのだろう。彼女はレスリング協会の副会長でもある。この会見の冒頭で「協会の副会長としてでなく、志学館学長として会見を行う」としていたが、協会副会長を辞した上で発言したわけではないのだから、その立場は確実にわきまえる必要がある。協会関係者でなくても同様だが、副会長なら余計に、引退表明していない選手に「選手じゃないでしょ?」なんて扱いをしていいはずがない。
 そして彼女は会見の中でレスリング部員やOGへの誹謗中傷だけでなく、告発状の内容・内閣府の調査なども含めて、全く根拠のない・訳の分からないなどとバッサリ切り捨てていた。誹謗中傷にそのような見解を示すことは理解できるが、告発状の内容や調査はまだ結果が出ておらず、逆に、彼女が何を根拠に「全く根拠がない」と言っているのか理解できなかった。報道されていないことを彼女は知っているのかもしれないので、彼女の言っていることが大きな間違いとは言えないかもしれないが、少なくとも昨日の会見ではその見解が適切であることを裏付けるような話は何もなく、”単なる彼女の個人的な思い込み”にしか見えなかった。
 自分が彼女の会見で感じたのは、「こんなことを言っている人が副会長を務めているようなレスリング協会、学長を務めているような学校・創設したレスリング部ではパワハラが横行していたとしても不思議ではない」ということだった。

最後に麻生氏に不信感を抱く理由を二つ。まず、麻生氏は昨日の参院予算委員会で、このような発言もしている。

朝日(新聞)も信用できるところありますよ。滅多に読んだこともない新聞ですから、よく分かりませんけれども、時々当たったりすることもあるんだと思っております。

麻生氏は滅多に読んだことがない新聞の傾向をどうやって把握しているのだろう。滅多に読まないのに「時々当たったりする」なんて言うのは、大した根拠もない誹謗中傷になるのではないだろうか。誰かから「朝日新聞は出鱈目ばかりですよ」と言われて、確認もせず鵜呑みにしているということだろうか。この発言からも麻生氏には適切な判断能力がないと思えてしまい、「麻生大臣にしか、真相の究明、並びに信頼回復の為の、必要な抜本的な改革を成し遂げることはできない」なんて話には信憑性がないと再確認させられた。
 また、3/14の投稿でも紹介したように、3/12の、改ざん明確化後最初の会見で「改ざんの事実をいつ知ったのか」と記者に問われた際に、お付きの者に「3月のいつだっけか?」と聞き、お付きの者が「11日です」と答え、麻生氏も「11日だ」などと答えていたが、11日とは会見の前日だ。3/14の投稿では、前日のことを「いつだっけか?」と確認したり、前日のことを「昨日」と言わず「11日」と言っていたことに強烈な嘘臭さを感じたと書いた。その後、国交省が3/2の朝日新聞の報道を受けて省内で文書を確認し、財務省が国会に提出していた内容と異なる(要するに改ざん前の文書)が見つかり、3/5、遅くとも3/6までに、財務省と内閣官房にその旨伝達していたことが明らかになっている。麻生氏は財務大臣であり副総理という立場だ。こんなに重要な事案に関する、これほど強烈な情報が彼に伝達されていなかったとは考えにくい。また、万が一11日まで彼に一切伝達されていなかったのが事実なら、財務省内でも内閣でも彼は信用されていないということになりそうだ。「改ざんの恐れを感じさせる情報を3/5(若しくは3/6)に知っただけで、”改ざんの事実”言い換えれば改ざん確定を知ったのは、厳密には3/11」という風に捉えることが出来ないわけではないし、彼に問い質してもそのように答えるのだろう。しかしそれでも発言に誠実さが全く感じられないことには変わりない。  こんな発言をする人に義家氏は未だに心酔しているようだが、彼にとって麻生氏は絶対的な存在の教祖様か何かなのだろう。若しくは弱みか何かを握られている、若しくは逆らうと何をされるか分からないような、強烈なパワハラ上司的な存在なのだろうか。


 一応、”まだ”副総理という立場でもあるのだから、感情に任せて余計なこと、辻褄合わせでいい加減なことを言わないようにするべきだろう。副総理は日本のNo.2という立場で間違いなく、現在の日本を代表する人物の1人だ。こんなことを言ってしまう人には日本の代表であって欲しくない。
 国外からどう見えるかという点で捉えれば、既にこの行政による公文書改ざんは世界中で報道されており、日本の行政への評価・信頼感は確実に下がっている。この事態を軽んじれば、慰安婦問題や南京事件、北方領土問題に関する日韓・日中・日露間の事実認識の違いに関しても、「日本は公文書を改ざんするような国で、歴史認識も都合よく書き換えた情報を基に主張しているに過ぎず、信用出来ない」と言われてしまいかねない。そして、これまで政府は特定秘密保護法を成立させ、国連などから「自由な報道を委縮させる」と警告を受けているのに、「そんなことはない」とつっぱね続けてきた。報道の委縮が起きているかどうかとは別に、公文書の改ざんを許してしまうような政府の下では、都合の悪い情報を特定秘密に指定して、日本国内で報道出来ないようにした上で、書き換え・改ざん・隠蔽が横行する、というか既にしているんじゃないかと、他の国は認識する、というか既にしているんじゃないだろうか。国内では「役人が勝手にやったこと」という言い分がある程度通用するかもしれないが、国外からは、役人を統率することすらままならない政府としか思われないだろう。
 今議論されているのは、国有地払い下げに関する不正という内政の問題だが、今後似たような事が外交に関することでも起きるかもしれない、と他国に認識されてしまったら、北朝鮮程のレベルではないにせよ、日本は国際的な信用を失うことになる。ということは、この問題に厳正せず、現在のような消極的で他人事のような対処を続ければ、現政権は確実に日本全体に損害を与えることになる。  

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