NHKニュースの記事に「たばこ吸うため離席440回で職員を処分 大阪府」よると、
たばこを吸うために、2年間でおよそ440回にわたって勤務中に職場を離れたのは地方公務員法で定められた職務専念義務に違反するとして、大阪府が40代の男性職員を訓告の処分にしていた
のだそうだ。 率直に言って、禁煙ファシズムとすら揶揄される、過剰な喫煙嫌悪がいよいよ極まってきたとしか言いようがない。4/23の投稿で触れた奈良県の生駒市役所の、喫煙後45分間エレベーター使用禁止も似たような話だし、最早マイノリティになりつつある喫煙者を、役所が率先して必要以上に排除・弾圧しているようで強い不快感を覚える。
単純に440回離席と聞くとサボりまくっているというイメージを連想するだろうが、2年間で440回とは一体どの程度の割合なのか。それは1日当たりに置き換えた方が正確に程度を認識しやすいだろう。 週5勤務、祝日、盆休み・正月休みを計算すると、年間の労働日数は、
1年間の日数(365日) - 52週分の土日(106日) - 祝日16日 - 盆・正月休み(各5日・計10日と仮定)=235日
なので、2年間では470日ということになる。470日に対して440回だと、割合的には1日1回にも満たない。記事によると当該職員は
聞き取り調査に対して職員は「1日に2、3回行っていた。ストレスで吸いたくなったときに我慢できなくなった」などと話していた
と言っているようなので、2年間でおよそ440回、合わせて100時間以上という数字をどうやって計算したのかには大きな疑問を感じる。勿論、喫煙は基本的には休憩時間に行うべきなので、1日1回以下でも休憩時間以外の離席は問題であるという見解の人がいることも理解できるが、このようなことで地方公務員法で定められた職務専念義務に違反しているとする訓告処分が必要であるならば、喫煙以外の理由でも、休憩時間以外の業務上の理由以外での離席は厳密に一切認めないなんてことにもなりかねない。訓告を受けた当該職員は、依願退職ではあるが、実質的には内部の空気などで退職に追い込まれたのかもしれない。それはある意味では適切な規則の遵守かもしれないが、別の視点ではブラック企業的でもある、ように自分には思える。
10年前、当時の橋下知事の方針で庁舎の敷地内が全面禁煙になったから、わざわざ近隣のビルの喫煙所まで行かなくてはならない状況だったのだろうし、休憩時間が適切に設定されていたのかにも疑問が残る。自分の経験上、工場や建設現場や大手小売り業の店舗などでは、午前と午後にそれぞれ15分程度の休憩、昼食に1時間程度の休憩が設定されていることが多いが、しかしその一方で、ホワイトカラー的な職場ではそのような休憩が実施されていないことが多い。もしそのような状況だったのなら、休憩時間を個人が適宜設けても、職務専念義務に違反しているとまでは言えないのではないだろうか。
そもそも、敷地内を全面喫煙不可として物理的に喫煙出来ない環境に追い込んだり、喫煙者を席に縛り付けておくことで仕事の効率が上がるのだろうか。確かに、喫煙者の中には仕事しているよりも喫煙所にいる方が長いんじゃないか?と思ってしまうような人もいるだろうが、適切な配分・タイミングで喫煙している人も確実にいる。そして非喫煙者でも他の理由で必要以上に離席している場合もあるだろう。
どうも今回の大阪府の処分は、残業・長時間労働至上主義的な、兎に角席にいることが最も重要・若しくは評価の大きな要因という、旧態依然としたブラック企業・ブラック上司的な判断の下で下された処分であるような気がしてならない。