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随所に滲み出る政府の「改ざん癖」2


 「随所に滲み出る政府の「改ざん癖」」と題した投稿を11/14に書いた。詳しくはそちらを読んで欲しいが、今年前半に発覚した、森友学園問題に関する公文書の財務官僚による改ざんを筆頭に、防衛省・自衛隊で日報が複数回に渡って隠蔽されたり、厚労省が働き方改革・裁量労働制に関するデータをいい加減な方法で作成していたり(意図的な改ざん・捏造の懸念が強い)、中央省庁等が障害者雇用者数について明らかな水増しを行っていたのが発覚したことを勘案して書いた投稿だ。
 政府や行政機関は、これらの件について概ね「意図的な改ざん、隠蔽・捏造ではなく、あくまでもミス」という見解を示している。財務省の件については流石に改ざんだったと認めてはいるものの「政権の利益を勘案した組織的な改ざんではない」と言い張っている。


 このようなことは本来はミスでもあってはならない事だ。例えば障害者雇用の水増しに関して、11/4の投稿で紹介したように、厚労省は違法性がないからと処分なしを決め(共同通信の記事)、その後総務省、経済産業省、国税庁も同様の理由で処分を行わないと公表した(共同通信の記事)。各官庁の役人たちは、障害者雇用に関して、私企業に対しては目標を達成できなかった際に実質的な罰則が科せられる事をどう考えているのだろうか。このような対処・姿勢を中央省庁が示せば、今後「目標達成できなかったのは採用担当者の判断ミスで、意図的ではないので罰則には応じない」と言い出す企業が出てこないとも限らない。そしてそのような言い分を認めざるを得なくなる。「ミスだから、意図的ではないのだからお咎めなし、責任はない」というのは明らかにまともな判断ではない
 しかし、中央省庁の役人らがどんなに優秀であっても、彼らも人間であり完全な存在ではないことも確かで、ミスが起きない仕組みを積極的に設ける責任は当然あるが、一方でミスが絶対おきないとは言えず、「ミスだった」という話が全くの嘘とまでは言えない案件もあるのかもしれない。しかし、直近発覚している数々のミス(厳密に言えば、改ざん・捏造・隠蔽が疑われる事態)は、概ね政権に都合よく働く方向性でミスが起きている。まずミスが頻発していること自体が非常に不味いし、本当にミスだとしても、これ程ミスが頻発するのなら、中には政権に都合の悪い方向性のミスもあって然るべきだ。しかしそのような状況にはなっていない。これから推測できるのは、万が一本当に行政機関内でミスが頻発しているのだとしても、政権や与党にとって都合の悪いミスだけを指摘して改めさせ、政権や与党にとって都合の良い内容のミスはしれっとそのままスルーしているということなのだろう。この推測が概ね間違っていないのだとしたら、ハッキリ言ってそれはミスを装った改ざん・捏造・隠蔽以外の何ものでもない。

 そんな中、政府・行政の自称・ミス案件がまたしても浮上した。政府は、今国会での成立を目指している入管難民法改正案に関連して、法務省によって公表された外国人技能実習生に関する聞き取りデータに誤りがあったと11/16に認めた(朝日新聞の記事)。入管難民法改正案が示された当初、関連データは公開されておらず、野党らの要求に応じて政府がまとめたデータの一部で、”自称・集計・データ作成上のミス”が発覚するという事がまたしても起きた。今回発覚した自称・ミスも、政権に与する内容のミスなので、政府・行政機関に「改ざん癖」が染みついている懸念は更に深まったと言わざるを得ない。

 入管難民法改正案は11/16に衆院法務委員会で審議入りする段取りだったようだが、この事態を受けて野党側は「議論の前提がなりたたない」という見解に基づいて反発し、自民・葉梨 康弘委員長の解任決議案を提出し、16日に予定されていた法改正案の提案理由説明と質疑は取りやめとなった(読売新聞の記事)。
 この件を今朝のMXテレビ・モーニングCROSSでも取り上げていたのだが、画面に表示されていた視聴者ツイートの中に次のようなものがあった。




これらは「データに間違いがあっても野党が審議拒否するのはおかしい」という主張だ。興味深かったのは、自分が1つ目のツイートを批判して引用リツイートしたのに対して示された別の人のリプライだ。



彼曰く、何につけても議論をする事が重要で、議論をしない事は税金の無駄遣いなのだそうだが、まず、間違っている事が明らかなデータを基にしても審議は適切に進まないだろうし、1つ間違いが発覚してしまえば、他にも間違いがないか確認せざるを得ず、審議も止めざるを得ないだろう。つまり間違ったデータを前提にして議論を進めても、結局正しいデータに基づいて議論をし直す必要が出てくるので、間違ったデータに基づいた議論は確実に重要ではない。それこそ時間の無駄遣いである。議論が進まない元凶は間違ったデータを公表した政府・法務省であり、時間・税金の無駄遣いの要因を野党側に求めるのは、「贔屓の馬に有利な情報だけを集めて競馬予想をする評論家・予想屋」のようなものだ。審議が進まない原因が間違ったデータが公表された事であることから目を背ける・無視するのは、確実に合理性を欠いている。

 また、このデータを訂正すればそれで話が済むのかと言えば、自分はそんな事はないと考える。例えばこれが誤ったデータ公表のほぼ初めての案件であれば、訂正だけで話は済むのかもしれない。しかし今年だけでも裁量労働制拡大法案、森友学園問題に関する財務省の改ざん案件に続いて既に3件目だし、その他にも政府や行政機関による改ざん・捏造・隠蔽が強く懸念される案件が頻発していることを勘案すれば、この入管難民法改正案の他のデータに限らず、今国会、というか今国会に限らず今後政府・行政機関が公表する全てのデータ、というかこれまで公表してきたデータ等についても全て強い疑いの目を向ける必要が出てきてしまい、それでは全ての議論が停滞することにもなりかねない。つまり国会全体が機能不全に陥る恐れを孕んだ深刻な事態だと自分は感じる。要するに今優先すべきは、政府・行政の改ざん癖を如何に正すかという議論ではないだろうか。
 先程、「贔屓の馬に有利な情報だけを集めて競馬予想をする評論家・予想屋」という、適切とは言えない論法の例を挙げたが、政権に都合の良いミスがこれほど頻発するということは、言い換えれば「政府や行政機関が、贔屓の馬に有利な情報だけを集めて競馬予想をする評論家・予想屋のようなことをあからさまにしている」(政府や行政機関が都合の良い情報だけを集めている、集めているどころかでっち上げている)とも言えそうだ。政府との一体感が強い為にこの状況を見て見ぬふりする与党・自民党/公明党も同じ穴のムジナだ。

 ここ数年の政権支持率の世論調査では、どのメディアでの調査でも「支持する」という人が選ぶ理由で最も多いのは「他の政権より良さそうだから」だが、もしこのような事を勘案してもまだ現政権は「他の政権より良さそう」と思えるのだとしたら、それこそ日本自体がオワコン(終わってるコンテンツ)の塊であるということなのだろう。少しでも積極的に政治状況を見れば、現政権が「他の政権より良さそう」とは思えないのではないか。現政権に関して「他の政権より良さそう」と答える人は、現政権と同様に都合の悪いことに目を向けないタイプの人たちなのだろう。

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