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随所に滲み出る政府の「改ざん癖」


 今日・11/14、内閣府が7-9月の国内総生産を発表した。NHKは「7~9月GDP 年率換算でマイナス1.2%」(NHKはかなり早く記事を削除するので投稿の最後にスクリーンショットを付けておく)という記事で、
 ことし7月から9月までのGDP=国内総生産は、物価の変動を除いた実質の伸び率が前の3か月と比べてマイナス0.3%、年率に換算してマイナス1.2%となり、2期ぶりにマイナスに転じました。相次いだ自然災害の影響などで個人消費や輸出が振るわず、景気が再び足踏みした形です。
としている。 これが内閣府の意向をそっくりそのまま示した広報的な表現なのか、NHKの記者が感じたままに記したものなのかは定かでない。しかしどちらにせよGDPがマイナスに転じた理由を自然災害に求めていることには違いない。確かに自然災害による経済への悪影響があったことは否めないし、決して何か間違った、若しくは恣意的な解釈が含まれる表現とは言えないだろう。しかしそれは、自然災害があってもマイナスに転じるような事のない経済状況を、現政府が実現できていないということでもある。これは、消費増税に関する経済対策に関する投稿「いつまでアベノミクスはまだ道半ばと言い続けるのか」でも指摘した事だ。


 現政府や安倍首相はアベノミクスの成果を自賛し、「民主党政権から安倍自民政権に交代してから経済が良くなった、それはアベノミクスの成果だ」と強くアピールする。しかし当初から掲げている物価上昇率2%達成は未だに見通しが立っていない。戦後有数の首相在職期間を誇るかなりの長期政権にも関わらずだ。幾度も目標達成時期を延長し、今はもう期限すら設けておらず、恐らく彼自身も目標達成を諦めているのだろう。そして景気回復をアピールしているにも関わらず実質賃金は寧ろ下がっており、好景気感を感じられていない人は決して少なくない。
 政府や一部のメディアが7-9月期のGDPのマイナス転落は自然災害の所為だと言うのなら、政府が景気回復とアピールする際に用いる株価等の数値も、アベノミクスの成果ではなくアメリカ等諸外国の好景気の影響によるものなのではないだろうか。政府が景気が良いと過剰に成果を誇っていない状況であれば、「自然災害による悪影響があった」を単なる分析として受け止めれらたのかもしれないが、前段の話を勘案すると、GDPがマイナスに転落した理由を都合よく自然災害に求めているように見えてしまう。
 自然災害がGDPに悪影響を与えるのはある意味で仕方ないし、その通りだと思う。しかしそのように分析するならば、民主党政権時はリーマンショックの多大な悪影響に加えて東日本大震災が起こるという最悪に近い状況だった。だからその頃の経済が最悪だったのはある意味では必然だし、その頃と比べて現在の景気が回復しているのはある意味当然だ。底に近い状況と現在を比べた際に、果たしてそれを勘案しても充分に誇れる政策の成果が出ているのかと言えば、個人的にはそれ程でもないと思える。勿論、景気は社会のマインドに左右される部分も多く、意図的に「回復している」と表現する傾向を全否定する気はないが、現政府は自画自賛傾向が強く、胡散臭いとすら思える。

 その内閣府が試算しているGDPの数値について、日経新聞は「政府統計、信頼に揺らぎ GDPなど日銀が不信感」という記事を昨日・11/13に掲載した。日本銀行というある意味での身内が内閣府の発表しているGDP値の信憑性に疑義を呈しているという内容だ。しかもそれを政府の経済政策には寄り添った論調の記事も多い日経新聞が報じている。しかも記事によれば、GDPデータを独自に算出する為に日銀側が元データの提供を求めているにもかかわらず、内閣府は業務負担などを理由に一部拒否しているそうだ。GDPが実際の景気を判断するのに有効性の高い指標なのかに関しては、自分はこれまでも疑念を感じていたが、これではそもそも発表される数値自体に信憑性があるのかどうかすら怪しい。これは内閣府がGDP値を捏造・改ざんしている疑念があるということだ。
 同じく11/13に共同通信は「厚労省、障害者水増し処分せず 違法行為ない」という記事を掲載している。
 中央省庁の障害者雇用水増し問題を巡り、厚生労働省は12日、同省職員の処分を見送る方針を固めた。制度を担当する官庁として他省庁に対する実態把握が行き届いていなかったことや、厚労省自体の不適切計上いずれの面でも、同省は「道義的な責任はあるが、処分に値する違法な行為はなかった」としている。
 厚労省以外で不適切計上があった27の行政機関で、12日までに関係者の処分を公表している機関はなく、今後、厚労省に追随して処分しない可能性もある。長年にわたりずさんな運用が行われたことへの責任が一切不問にされれば、野党や障害者団体からの批判は必至だ。
という内容の記事だ。 この記事を読んだ自分の第一印象は「もう政府内には改ざん癖が付いちゃってる、当たり前になっているんだろう」だった。度重なる自衛隊の日報隠蔽問題、今年3月に発覚した財務省内で行われた森友学園問題に関する公文書の改ざん、また2月に発覚した厚労省の裁量労働制に関するデータの捏造・改ざん・隠蔽問題、前述の内閣府のGDP値捏造・改ざん疑惑、また財務省の公文書改ざん問題が不起訴となり、厚労省も「違法行為はない」と水増し行為に関する処分をしない。これはもう改ざん癖と言っても過言ではないと個人的に断定している。
 特に厚労省に関しては年金問題でもデータの杜撰な管理がこれまでに指摘されており、もう既に信頼に足る機関・組織とは思えない。この組織が労働問題の裁量を握っているのかと思うと、適切な労働環境の実現は夢のまた夢だろうし、少子化に関しても大きな裁量を持っている事を考えれば、必要な対策が実行されるのは何十年も先なのだろう。

 現政権は、韓国最高裁が所謂徴用工訴訟で新日鉄住金に賠償を命じる判決を下した事(11/3の投稿)を受けて、これまでは「旧民間徴用者等」や「旧民間人徴用工」と呼んでいたのを「旧朝鮮半島出身労働者」に統一すると発表した(日経新聞の記事)。確かに韓国最高裁の判断が正しいとは思えないが、それを受けて歴史的事実を矮小化するような言い換えを行うのは馬鹿げている。これは政府が歴史的事実を改ざんしようとしているとすら言える深刻な事態で、これも政府内に蔓延する「改ざん癖」 の現れの一つだろう。
 何よりこれまで「丁寧な説明」をすると言いながら、時間さえ割けばそれで充分という態度を示したり、「沖縄県民に寄り添う」と言いながら辺野古移設を強行するような姿勢を見せたり、首相はこれまで数えきれない「日本語表現の改ざん」をしてきているのだから、こんな状況になるのはある意味必然だったのかもしれない。

 日本は既に、先進国などとは到底言えないような状況に陥ってしまっているのではないだろうか。


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