ハフポストが11/16に掲載した記事「「若い子はテレビを見る感じでもないでしょう」浜田雅功・矢部浩之がネット番組に本格進出、2人の思いとは?【独占インタビュー】」の中で、ダウンタウン・浜田 雅功さんの
時代はどんどんネットの方にいってしまう。ホンマにテレビ局、潰れますよというコメントが掲載されている。この記事は、ネットで映像コンテンツを配信するサービス・Amazon Prime Video が制作した番組・戦闘車 シーズン2に、これまでテレビを主戦場として活躍してきたベテラン芸人・ダウンタウンの浜田 雅功さん、ナインティナインの矢部 浩之さんが出演したことを受けて、芸能人の活躍の場がテレビから、スマホやPCで見るネットへ広がっている、若しくは移行し始めている、という論調で、前述の2人にインタビューを行った記事だ。
ハフポストは企業とのタイアップ記事に「Presented by どこどこ」と表記することがあるが、この記事にそのような表記はない。しかし、記事を読むとアマゾンプライムビデオ、又は戦闘車 シーズン2とのタイアップ記事のように見える。どのような基準でハフポストが「Presented by」という表記を用いるのかは定かでないが、記事を掲載すること自体で広告料が支払わている場合にそのような表記が用いられるのかな?と推測する。冒頭の記事を掲載したことについて、広告料等の直接的な見返りはなかったのかもしれないが、記事には
「お茶の間の顔」として、日本に笑いと元気を届けてきた浜田さんと矢部さんは、自らの「ネット進出」をどう感じているのか? ハフポスト日本版の独占インタビューに答えた。という表現があり、また、見出しにも「著名なタレント2名がハフポストの独占インタビューに答えた」旨の表記が用いられており、記事で使用されている写真には明らかに同番組のセットの前で、同番組用の衣装を身につけてインタビューに応える2人が写っており、有力・著名な芸能人がインタビューに答えることによる、記事やサイトのPVアップという見返りを期待した、実質的なタイアップ記事・番宣記事のように見える。
「そんな記事に信憑性は全くない!」なんて言うつもりは一切ない。ただ、ネット配信番組の番宣記事でのインタビューならば、出演している浜田さんが、やや極端なリップサービスとして、
いやぁ。テレビがヤバくなっていくんじゃないですか?こっち(ネット)の方で面白いことができるってなると、ねぇ。等と言ったとしてもそんなに不思議はない。要するにこのコメントある(笑)は、「潰れるんじゃないの?(嘲笑)」ではなく、「潰れるんじゃないの?(半分冗談だけど)」のようなニュアンスなんだろうと感じる。
どんどん「テレビ離れ」みたいなことが起きていくんじゃないかというか...どうなんですかねぇ。(笑)
テレビ局、潰れるんちゃいますか?(笑)極論はね。
Youtubeを始めとしたネット上の映像コンテンツが普及し始め、若年層を中心に人気を博している状況などを勘案して「テレビは斜陽」のようなことを言う人がいる。確かに映像コンテンツ等メディアに人が接する時間には上限があるので、人口減少が懸念されている日本でテレビ以外のコンテンツが台頭すれば、これまでより確実にテレビの規模は縮小するだろう。リーマンショックや東日本大震災などによる経済的な停滞があった影響もあるだろうが、既にテレビ番組の制作予算が減っているという話もしばしば耳にする。つまり規模縮小は既に進行していると言えそうで、そんな視点で考えれば「テレビは斜陽」は間違いではないのかもしれない。しかし、本当に「テレビ局は潰れる」、言い換えればテレビ業界は壊滅的に衰退するのか?と言われたら、自分は「そんなことはない、そんな話は極端だ」と言いたい。
テレビが新しいメディアとして登場し、台頭し始めた頃にも、それまで主要メディアだった「新聞や出版社は潰れる・なくなる」のような話があったようだが、テレビが主要メディアとなり、更にその次の主要メディアになりつつあるネットが登場しても、新聞も出版も消えて無くならず未だに存在し続けている。新聞とテレビの間に主要メディアになったラジオも同様だ。
昨今何かにつけて「マスゴミは偏向している」と既存メディアに対する極端な評価を示す人達などが、「新聞はオワコン(終わってるコンテンツ)」のような主張をしているのをしばしば目にする。彼らは彼らにとって都合の良い記事を掲載する大半がネットメディアであること、様々な理由で主要メディアに取り上げられない者がSNSやブログ等で情報発信していることから、ネットこそが最も信頼できるかのような事を言いがちだ。しかし、主要なネットメディアもテレビ番組も、そしてSNSでの情報発信に関しても、新聞や週刊誌等の記事に一切頼らないものがどれ程あるだろうか。キー局のテレビ番組もネットメディアの記事も、SNSで情報を発信している個人に関してもそのほとんどは新聞や週刊誌等の記事がなければ成り立たない。
つまり、新聞を紙面で読むケースは確実に減っているだろうが、新聞記事自体は読まれなくなっているわけでもないし、必要とされなくなっているわけでもない。 要するに「新聞はオワコン」という見解は確実に短絡的で現状を見誤っていると言える。
今後ネットがメディアの主体になったとしても、映像コンテンツ制作のノウハウを持っているのは今でもやはりテレビ業界だし、テレビは規模縮小や形態を変えて残るだろう。ただ、今後テレビがどの程度縮小するかは、テレビ局がこれからどのような舵取りをするかにかかっているとも思う。
総務省が発表している平成30年版 情報通信白書の、主なメディアの利用時間と行為者率を見れば、ここ数年でネットの利用時間が延び、テレビの視聴時間は減少傾向にあり、しかも10-20代でその傾向が顕著であることが分かる。11/14の投稿でも触れたように、現在の政府・行政機関にはどうも改ざん・捏造癖があるようだし、この投稿を書いた直後にも入管難民法改正案について政府が提示したデータの誤り(恣意的な操作の懸念が強い)が発覚し(東京新聞の記事)、11/14の投稿で触れた厚労省だけでなく、総務省、経済産業省、国税庁も、障害者雇用水増しに関して処分を行わないそうだから(共同通信の記事)、総務省の発表も手放しで信用できるような信憑性があるかどうか疑問だ。しかもこれまでミスとされてきたデータ等は、政府に都合のよい方向での誤りばかりが発覚しており、現在の政権(特に副首相)に、既存メディアを一括りにして、誤認(というか偏見)に基づいて批判を示す傾向がある事を勘案すれば、既存メディア筆頭であるテレビの印象がよく見えないような調査方法・算定方法でデータが作成されている恐れがないとは言えない。
総務省の発表が示した、若年層でテレビ放送の視聴時間が減り、ネットの利用時間が増えているという傾向が間違っていると言うつもりはない。しかしここ数年で、テレビ朝日が大きく関わるネット放送局・Abema TVが登場し、日テレはHuluで番組を配信し、テレビ局各社が立ち上げた見逃し配信サービスTVerや、更にそのサービスを向上させた有料版と言えそうなParavi、日本での無料映像コンテンツ配信サービスの元祖的な存在のGyao等でもかなり多くのテレビ番組が配信されている。つまりテレビ放送で番組を見ずにネット経由でテレビ番組を見ている場合も往々にしてあり、テレビの視聴時間が減り、ネットの利用時間が増えたことは、テレビ番組の視聴が減ったこととは必ずしもイコールとは言えないだろう。
前段の冒頭をなぞるようだが、既にテレビ局も状況に合わせたシフトを始めているし、「新聞がオワコン」という話が明らかに誤認であるのと同様に、「テレビ局が潰れる」も適切な見解とは言えないだろう。確かにいくつか淘汰されてしまうテレビ局が出るかもしれないが、テレビ業界が壊滅的に衰退するような事態が訪れるとは思えない。CDの登場で消えてなくなったかのように見えたアナログレコードもカセットテープも、確実に規模は縮小したが今でも一定の需要がある。デジカメが主流になってもフィルムを使った撮影が消えて無くなったわけではない。しかも、昨今は災害対策の視点で考えれば、ネットが使えなくなった際にそれを補完するメディアが必要だ(最近の災害で有効性が再評価されたのはラジオだったが)という話もある。どう考えても、将来的にテレビが消えて無くなるとは到底考え難い。