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NHKの果たすべき役割


 「NHKへの不信感」と題した10/1の投稿で示したように、自分は、今現在のNHKの報道姿勢に不信感を持っている。この投稿の結論部分で、ドラマやドキュメンタリー等、評価に値する見たいと思う番組もあるが、と前置きした上で、
 公共放送の報道姿勢が不適切なものであるのならば、自分は一切受信料を支払いたくない。局の存在意義自体が著しく失われてしまうと考えるからだ。娯楽番組だけしか魅力がないなら、受信料の支払いを強制される程の価値を見出せない。
とした。 しかし実際にはCATVを契約してテレビを見ている関係上、受信料はCATVの視聴料と共に徴収されており、受信料の支払いのボイコットをすればCATVも解約せざるを得ない状況なので、それは自分にとっては現実的ではないし、実際にボイコットを実行しようとまでは今のところ思っていない。ただ、10/1の投稿で示した理由によって、現状での視聴料の実質的な強制徴収に不満があるのも事実だ。では何故実際に受信料支払いボイコットを実行に移すことを今のところ考えていないのかと言えば、娯楽コンテンツ以外にも、NHKには評価すべき番組があるからだ。


 NHK eテレ(教育:2ch)で放送している「アクティブ10 公民」という番組がある。放送しているチャンネルや番組タイトルからも分かるように、社会科の公民分野に関する毎回10分の教育番組で、一応中高生向けの番組のようで、アイドルグループなどにも楽曲提供している事でも知られるミュージシャン・岡崎 体育さんが出演している。
 ただ、中高生向けの教育番組というのは建前で、実際は社会人に向けた番組であるようにも思える。理由は取り扱っている内容の時事性とその放送時間である。内容については後述する。同番組は毎週木曜深夜(金曜)AM1:15から初回放送される。再放送は翌週木曜の15:30からで、深夜の初回放送は教材として授業で使う先生の予習向け、再放送は授業時間に合わせてという番組の利用法を想定しているかのようにも思えるが、教育番組ということで番組Webサイトで番組を無料公開しており、先生の予習も授業での活用も、放送時間に合わせなくとも柔軟に行う事が出来る状態なので、自分には、深夜にチャンネルを回している大人に番組と出会って欲しい、見て欲しいという意味合いで、初回放送を木曜深夜に設定しているように思える。

 公民分野の教育番組なので、時事性のある問題を扱う事は当然なのだが、自分が25年前くらいに学校で習った公民の授業とはかなり違っているように感じる。自分が中高生だった当時の公民・現代社会の授業でも社会問題等を取り扱う場合はあったが、それでもまさしく「今」の問題等を扱うことは少なく、あっても先生が余談程度に話すぐらいで、授業の主体は日本の憲法や政治制度等の基本的な仕組みと、10-20年程度前に起きた社会問題が授業の主なテーマだった。
 番組は全20回の放送予定で現在6回、
がこれまでに放送された。自分が知らないだけで、現在はこのくらいタイムリーな社会問題を学校の授業で扱うのが当たり前なのかもしれない。また憲法や人権については自分たちの頃も当然授業での取り扱いはあったが、憲法も人権も、現在は25年前に比べて時事問題的な側面が強まっている。
 このような時事性のある話を中高生向けに分かりやすく解説する10分という尺の番組は、実は社会人にとっても目を通す必要な番組である、と言えそうだ

 自分が特に、ネット・SNSを利用する人全て、というか日本人全員、日本人だけでなく全ての日本語話者に1度は見て欲しいと感じたのは 「“人権”ってなんだ?」の回だ。
 昨今、表現の自由や言論の自由を過剰に主張し、他人の基本的人権を蔑ろにする主張をすることも自由の範疇であるかのような事を言う人をしばしば見かける。他人の人権・自由を侵害する言動・行為は自由の範疇に含まれない。日本国憲法では様々な行動・活動の自由が認められているが、他人に暴行を加えたり殺したり、他人のものを盗んだり壊したりする自由は認められていないのと同じことだ。他者の人権・自由を侵害する自由を認めると、侵害した側の権利・自由が侵されることも認めざるを得なくなる。それでは社会の秩序を維持することは到底出来ない。
 そのような事を理解せずに暴論を恥ずかしげもなく披露してしまう人をしばしば見かける、しかも一般市民だけでなく政治家でもしばしば見かける。だからこの人権の基本的な概念を紹介する回を誰もが見て、適切な前提の元での議論が行われるような社会の状況になって欲しい。

 最後にNHKにお願いがある。放送時間を、木曜深夜なんて場末ではなく、21時のニュースの最後10分等、もっと多くの人の目に触れる時間帯での放送をして欲しい。勿論深夜帯の再放送はそのままで。また、現在この番組をシェアする際、サイトはシェア出来るがムービーを直接シェアすることが出来ない。多くの人に見てもらう為にはムービーを直接シェアできるようにするべきだ。
 そんな観点から、著作権的に問題のある行為かもしれないが動画を直接ここに貼る事にする。少しでも多くの人にこの番組を見て欲しい。

 

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