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隠そうとしたことによって余計に目立たせる、という矛盾


 最近ツイッターでよく見かける「このツイートは表示できません」の表示。詳しく調べた訳ではないが、一説によるとフォロワー以外に対してツイートを非公開にしているアカウント、南京錠のアイコンが付いている事から通称・鍵アカなどと呼ばれる状態のアカウントによるツイートが、公開範囲外の人にはこのように表示されているらしい。この話が事実であれば、以前はこの表示は殆ど見かけなかったので、これまで非公開ツイートの存在自体を表示していなかったのをツイートの存在だけは表示するような仕様変更がなされたのだろう。


 本当にそう思う。表示できないならそもそも「表示できません」という表示すら必要ない。「お前にだけ教えてあげない」的なことをされた時に感じるのと同じ阻害感を煽っている。隠した事が分かる隠し方をするのなら、なぜ分かるように隠したかぐらいは説明するべきだ。ツイッター上でもどんな意図がある仕様変更なのかについて、前述の見解以外にも複数の見解が示されている。ツイッターの運営もどんな意図による仕様変更なのかを明示していないようだ。


 BuzzFeed Japanは4/6に「生理用品を黒い袋に入れるのは日本だけ? 世界の友達に聞いたらなんかスゴイことに!」という記事を掲載した。日本では生理用品を買うと、ドラッグストアでは黒い袋に、コンビニでは紙袋に入れた上でレジ袋へ入れて商品を渡されるが、他の地域ではどうなのか、日本のこの慣習は外国人の目にはどのように映るのか、などに関する記事だ。地域によって日本と同じ様な対応があるかどうかも異なるし、そして個人によっても、これを配慮と感じるか、生理を目を覆うべきもののように扱うという差別と感じるか、どちらの側面もありどちらとも言い難いと感じるかは様々のようだ。
 生理へのタブー視、生理を不浄と扱う価値観などについては2018年2/15の投稿「恥と恥じらいの差」でも書いた。その中で自分は、
 生理用品だけ紙袋に入れるなら、女性が紙袋入りのコンビニ袋を提げていたら一発で生理用品であることが想像でき、全く意味がないと思う反面、単に不要に他人の目を惹く恐れに対する配慮に過ぎないとも考えられる
とした。当時の自分はコンビニの件は認知していたが、ドラッグストア等の黒い袋という対応は知らなかった。コンビニ等で行われている生理用品だけを紙袋に入れて、レジ袋にさらに入れる2重包装は、生理用品だけ紙袋に入れるなら、女性が紙袋入りのコンビニ袋を提げていたら生理用品であることを容易に想像できるが、紙袋自体が異様に目立つ存在とは言いきれず、人の目を不要に惹かないようにする為の配慮とも思える。しかし、生理用品のパッケージがレジ袋にそのまま入っていても紙袋に入れて入っていても、それ程大きな差はないようにも思うし、他人のレジ袋の中身を気にするような人は、紙袋入り=生理用品やコンドームということを知っている場合の方が多いので、配慮になっていないようにも思う。
 これが黒い袋ならそれは配慮でも何でもない。何故なら、生理用品を入れた通常の白っぽいレジ袋よりも、黒い袋の方が確実に目立つからだ。つまり、黒い袋は生理用品を隠そうとして余計に目立たせてしまう。配慮するというのなら全てのレジ袋を黒い袋にしないと意味がない。隠している事が分かる隠し方、しかも隠してますよ!と大々的にアピールするような隠し方は本末転倒だ。

 このブログ最初の投稿は2017年1/13で、「テレビ番組の画面」という投稿だった。掻い摘んで説明すれば、テレビの画面に余計なテロップやボカシが多くてげんなりする、というような内容だった。その中で自分はこう書いた。
 自動車のエンブレムやペットボトルのラベルなど、ぼかしがかかっていても、それがどこのメーカーか、どの商品か簡単にわかってしまうものに加工する意味があるのだろうか? ぼかすことによって逆に悪目立ちして「何がぼかされてるのか」考えてしまうのは自分だけだろうか。スポンサーのライバル商品を隠したいのなら逆効果と考えることもできる(中略)どうせ隠すなら”視聴者に隠していることを感じさせない”ようにしないと意味がない。それとも”隠してますアピール”をどこかに向けてする必要があるということなのだろうか。
更に言えば、「ここまでの提供は…」のようなスポンサー表示をするカットは、以前は企業や商品名のロゴや文字が目立つようにブルーバックだったが、最近は番組の映像にそれらのロゴ等の表示を被せる。ロゴや文字と映像内の文字が被って読みにくくなることを避けるという意図なのだろうが、映っている演者の衣装や看板等の文字にボカシをかけることが多い。ここでもぼかしが悪目立ちして、自分はどうも「何が隠されているのか」の推測をしてしまう。その為提供スポンサーのロゴや文字列には全然意識が向かない。つまり雑なボカシなど、隠している事が分かる隠し方の所為で、逆にスポンサーロゴや文字列から視聴者の意識を遠ざけてしまっている側面があるという事だ。つまり、スポンサーロゴや文字列を目立たせたいなら映像にボカシを施すのは逆効果で、 ロゴや文字をグラデーションで縁取るとか、写真で対象物を強調したい場合に、被写界深度を浅くして周辺のピント外すという手法で撮るように、映像の一部だけでなく全体のピントを甘くしてロゴや文字を際立たせる等の加工の方が効果的だろう。


 勿論、全てにおいて隠した事が分かる隠し方に妥当性がないわけではないが、隠し方が分かる隠し方をすると、逆に隠したものを目立たせるという側面が確実にある事を忘れてはならない。本来は隠す事が目的のはずなのに、逆に目立たせてしまうようでは目的を達成していないどころか逆効果すら生む場合がある事を、何かを隠す際にはよく考えるべきだ。

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