ソフトバンクが最近放映しているCMが見る度にイラっとしてしまう。そのCMがこれだ。
ソフトバンク CM ギガ国物語「カラオケ」篇(30秒)
吉 幾三さんのヒット曲「おら東京さ行ぐだ」の替え歌がメインになっているCMで、以下のような歌詞になっている。
ハァギガがねぇ!ギガがねぇ!動画も漫画も映らねぇ!ギガがねぇ!ギガがねぇ!読み込みマークがぐーるぐる
Wi-Fiを探したら、2時間かかって脚は棒!見たかったあの動画、頭の3秒見れました!
俺らこんな国いやだ〜、俺らこんな国いやだ〜
ギガとは、データ量の単位・ギガバイトに由来する通信量を指す表現だ。この替え歌は、通信量制限のある契約プランでは、通信量が制限に達してしまうと速度制限が課されてしまい不便なのが嫌だ、ということを歌っており、ソフトバンクが昨年・2019年に受付開始した契約プラン・ウルトラギガモンスター+なら、YoutubeやアベマTVなど対象になるサービスの利用が通信量制限にカウントされないので、一般的な使い方であれば、実質的には通信量制限がないのと変わらないということをアピールするCMだ。
何にイラっとしてしまうのかと言うと、「俺らこんな国いやだ~」という歌詞だ。少し前まで日本の携帯電話・データ通信端末契約プランは、限定的なキャンペーン等を除けば通信量制限のあるプランしかなかった。このCMでは「通信量制限のあるプランしかない国は嫌だ」と歌っているのだが、これまで通信量制限のないプランが存在しない「こんな国」にしていたのは携帯電話会社でありソフトバンクもその1社なのに、つまり「こんな国」にしていた当本人が、「こんな国いやだ~」とは一体何を言っているのだろうかと思ってしまう。
携帯電話会社の広告に関する話といえば、日経新聞が「ドコモ値下げ 3400万人は4割下がらず」という記事を掲載している。
通信料で最大4割の引き下げをうたっているが、恩恵を受けられるのはスマートフォン(スマホ)を利用する契約者の4割にとどまる。と指摘し、「6月1日に始まるNTTドコモの新料金プランが分かりづらい」とまで言っている。内容はとても分かりやすく、携帯電話会社の謳い文句を鵜呑みにしてはならないということがよく分かる。前述のソフトバンクのウルトラギガモンスター+も、あたかも通信量無制限の契約プランかのように謳っているが、前述の通りYoutube等ソフトバンクが指定するサービスのみ通信量制限がないプランである。ただ、現在人気の動画配信サービス・NETFLIXやアマゾンプライムなどはその対象になっておらず、それらのヘビーユーザーである場合は恩恵が薄く、通信量制限に達して速度制限が課される恐れは従来と差がないので注意が必要だ。
そんな話以前に、前述の日経新聞の記事を読んで自分はまず、「他社を指摘するならまず自社の報道姿勢を見直せ」と感じた。何故そう感じたのかと言えば、5/11の投稿「「大学無償化法」という嘘をつくメディア各社」でも書いたように、日経新聞も「大学等における修学の支援に関する法律」の成立に関して「大学無償化」という見出しで記事化していたからだ。
その記事は「大学無償化、低所得世帯の75万人支援 20年4月から」という見出しである。この75万人という人数が一体学生全体に対してどの程度の割合なのかと言えば、 2/12の柴山文科相の会見(文科省)によると、全学生のおよそ2割程度なのだそうだ。ドコモが通信量最大4割値下げを謳っているが、恩恵があるのは4割のユーザーだけで分かり難いと指摘している新聞が、全体の2割しか支援を受けられない法案の成立を「大学無償化」と伝えたのだから、「他社を指摘するならまず自社の報道姿勢を見直せ」と思うのはごく自然なことだろう。
日経新聞に限らずこのような報道姿勢であれば、「政府に甘い」「忖度しているのではないか」と言われても仕方がないだろう。
昨日の投稿でも
メディア・特にテレビ各局の報道はバランス感覚を欠いている
と指摘したが、日経新聞のこのような姿勢を勘案すれば、「特にテレビ各局は」なんて注釈する必要ははなかったのかもしれないと感じてしまう。