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「井の中の蛙大海を知らず」を自覚しないと大変なことになりかねない


 昨日の投稿でも触れたが、世間はG20の話題に溢れている。Webにはフィルターバブル/エコーチェンバーなどと呼ばれている、自分の主張/好みに近い情報が多く表示される傾向が確実にあるので、あくまで自分から見えているWebが、ということなのだが、テレビ・特にNHKがあたかも安倍首相が「世界をリードしている」かのように伝えている反面、Web上には如何に安倍氏が、各国から軽視されているかを強調した情報が多いように思う。





 こうやって見ると、安倍自民党非支持者が強調したいことだけを殊更に強調している側面もあるかもしれない、とも思える。例えば、フォトセッションで他国の首脳から殆どハグや握手・会話を求められていない映像は、もしかしたらそのような部分が一部カットされている恐れもある。実際にはもう少し握手していたが、カメラのスイッチングによって写っていないということも考えられる。しかしそれでも、多くの首脳が安倍氏の前を素通りし、安倍氏が視線を送ってもそれに応えていないのは間違いない。
 他のツイートに関しても、個人の憶測もそれなりに含まれており、それぞれの主張にとって都合の良い部分が強調されている面が全くないとは言えないが、どれも全く見当違いで事実と正反対の主張をしているようには思えないし、つまり全くのデタラメではなさそうだ。

 個人アカウントだけでなく、ブルームバーグも次のようなツイートをしている。


個人のツイート程露骨ではないが、単に安倍氏が律儀で早め早めの、いかにも日本人的な気質を発揮したという認識だとしたら、それを示唆してツイートするのが自然だが、どう見てもそんな示唆はこのツイートには含まれていない。ブルームバーグが示唆したのは、G20の中で孤立間を強めている日本の首相、と考えた方がはるかに自然だろう。


 これも昨日の投稿でも触れた話だが、6/25の衆院本会議で自民・萩生田氏が、野党が提出した内閣不信任決議案に反対する演説を行った。彼は、自分が所属する政党の総裁でもある安倍総理を積極的且つ一方的に賛美する演説を行い、その中でこう述べた。「これだけ世界を動かした総理大臣が、かつていたでしょうか?
 彼がそう安倍氏を称賛した根拠は、G20の開催、TPPの成立を主導したこと、トランプ氏と密接な関係にあり日米貿易交渉を対等な関係で行っていることなどだった。しかしG20に関しては前述の通りだし、TPPについては成立を日本が主導したのは確かだが、交渉参加国の中で最大の経済規模を有していたアメリカをTPP交渉に引き留めたわけでもないのに、「世界を動かした」は言い過ぎだ。しかも日米貿易交渉で「TPP以上の条件は認められない」とする日本側に対して、アメリカ側は「TPPは我々には関係ない」 という態度を示している。

 6/25にブルームバーグが「トランプ米大統領が最近、日本との安全保障条約を破棄する可能性についての考えを側近に漏らしていたことが分かった」と報じた事が話題になったが、米ホワイトハウスはこれを否定した(「トランプ大統領、日米安保破棄の考え側近に漏らしていた-関係者」)。しかしトランプ氏は翌日・6/26に、FOXのインタビューの中で、
 日本が攻撃されれば、米国は第三次世界大戦に参戦し、米国民の命を懸けて日本を守る。いかなる犠牲を払ってもわれわれは戦う」とした上で、「だが米国が攻撃されても、日本にはわれわれを助ける必要がない。ソニー製のテレビで見るだけだ
と述べたそうで(ブルームバーグ「トランプ大統領、日米安保に不満表明-米国が払う犠牲大きい」)、前述の記事の件も含め、明らかに日本に対して揺さぶりをかけている。貿易交渉や他の交渉に対するプレッシャーでもあるだろうし、日本・安倍氏がどんな反応を示すのかを試すある種の踏み絵のような側面もありそうだ。
 G20の期間中には勿論日米首脳による会談も行われたが、共同通信によれば、
 安倍首相はトランプ米大統領との会談で、日米安全保障条約に基づく防衛義務は一方的だとしたトランプ氏の発言について、真意をたださなかった。
そうだ(「米大統領の同盟不満発言、真意たださず」)。実際は選挙等諸所の理由の所為で「ただせなかった」のかもしれない。「これだけ世界を動かした総理大臣が、かつていたでしょうか?」と安倍氏を称賛した萩生田氏は、このような一連の状況を一体どのように受け止めているのだろうか。都合の悪いことはなかったことにするのが今の政権と与党の常套手段なので、それに倣って無視しているのだろうか。だとすれば、政権を監視する立場にある立法府の議員として著しく資質に欠けていると言わざるを得ない。


 日本語には「井の中の蛙大海を知らず」という慣用句がある。そんな傾向の与党議員や一部のメディアにつられて国民も同じ様な認識でいると、どんどん他国からの信用が失われていくだけだ。そんなことをしていると、他国から、援助してくれる都合の良い財布ぐらいにしか思われなくなることに気付くべきで、今ならギリギリまだ間に合う。
 現政権下で「改竄/隠蔽/捏造/不適切廃棄/そもそも記録を取らない」などのケースや、強引な言い逃れで話を有耶無耶にするケースが頻発していることを、他国が知らない筈はない。前者のようなことに積極的に関与してなかったとしても、そんな事を何度も許してしまう首相や、その挙句強引に有耶無耶にしようとする首相を、まともな交渉相手と認識するお人好しが一体どれ程いるだろうか。
 自分に都合の悪い事を「フェイクニュースだ!」と罵るトランプ氏が、他国でどのように捉えられているかを反面教師にして考えるべきなのだが、一部のメディアと日本人はそれをせずに、安倍氏が他国の首脳から同様に扱われていることから目を背けてしまっている。

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