スキップしてメイン コンテンツに移動
 

さようなら、モーニングCROSS。今までありがとう。


 MXテレビの朝の報道系番組で、ジャーナリストの堀 潤さんがMCを務めている モーニングCROSS。以前はこの番組で放送されたことについて、ちょくちょくこのブログに書いたりもしていたが、ここ最近は同番組のことを取り上げる気分にはなれなくなっていた。その転機は今年の5月頃だった。
 5/21の投稿「MXテレビ・モーニングクロスは信用に足る番組か」で書いたように、同番組は、放送中に視聴者がハッシュタグ・#クロス で呟いたツイートを画面に表示している。しばしば誤った内容のツイートや、差別や偏見を助長する内容のツイートも表示され、そんなツイートへの番組内での注釈が充分とは決して言えない為、「結果的に番組が誤った情報を拡散したり、差別や偏見を助長することになる」と、これまでも何度もこのブログに書いて、その都度リンクを当該タグや番組アカウント堀 潤さんのアカウントへのリプライとしてツイートしたり、番組Webサイトへ直接意見として投稿したりもしてきたのだが、何年も改善の様子がない為「無駄なことをしている」気分になった。


 更に、7/7の投稿でも書いたように、堀 潤さんが日本のジャーナリズムについて、彼も日本のジャーナリストの1人であるのに、どこか他人事のような視点でいるように見え始めてしまった為、それに伴って彼がMCを務める同番組への興味も薄れ始めた。それでも、この番組は自分が唯一チェックしていたTV報道でもあり、興味は薄れ始めたものの、それでもほぼ毎朝の視聴は続けていた。同番組だけを見て「TV報道は、」とするのは妥当とは言えないだろうが、全くTV報道をチェックせずにTV報道の傾向を知ることは出来ない、という思いもあった。
 因みに、日時等は失念したが数週間程前に、堀 潤さんは「分断や対立を出来る限り避ける為に、自分は自分と異なる主張に直面しても、とりあえず「そうか」と応答するように心掛けている」という旨の話を同番組でしていた。ということは、彼が「そうか」と言っていても、それは単に相槌を打っているだけで、肯定とも否定とも言えないということであり、それを聞いてから彼が番組内で「そうか」と言う度に、「あー、この人は適当に相槌を打ってるだけなんだな」としか思えなくなってしまい、それによって彼がどこかいい加減な人に見え始めてしまった。
 決して彼のそんなスタイルを全面的に否定するつもりはない。そのような自分の主張を明確に示さないことによるメリットも確実にある。しかしそのスタイルは自分には合わないし、どうしても風見鶏・日和見的に見えてしまう。

 こうやって書くと、彼と同番組への不満ばかりが募っているようにも思えるだろうが、彼や同番組の素晴らしい点も決して少なくない。多様なコメンテーターを招き、勿論中には「え?この人をまだ呼ぶの?」と感じるような人が出演する場合もあるが、在京キー局では取り上げないようなことを取り上げる点は確実に同番組の魅力だ。
 また、堀 潤さんは現場取材にも積極的に取り組んでおり、熊本の地震等の際にも現地に足を運んでいたし、9月/10月の台風被害発生後もすぐに現地を取材したり、混迷深まる香港にも度々足を運んで現場の状況を伝えてくれたりもする。特にデモ隊の若者が至近距離で警察官に撃たれ、大学内にまで警察が入り込んだ今週は、毎朝同番組の生放送があるにも関わらず、2度も日帰りで香港を取材しており、その行動力にはただただ脱帽する。だから以前より興味が薄れても同番組を見続けている側面もあった。


 しかし今朝の同番組の放送を見て、今後は基本的には同番組を見るのを止めることにした。その理由は明快で、同番組が再び韓国蔑視の疑いが強い視聴者ツイートを画面に表示し、それに対して何の注釈もなかったからだ。
 5/21の投稿を書いてから今日までの間にも、同種の視聴者ツイートが画面に表示されることがあったのかもしれないが、胸糞が悪くなるのを避ける為に、出来るだけ画面を見ずに音声だけを聞き、画面に表示される視聴者ツイートが目に入らないようにしていたのだが、今日は残念なことにそれが目についてしまった。
 次の動画は、今日放送された、その日のコメンテーターが設定したテーマに沿って持論を展開するオピニオンクロスのコーナーだ。


大学生兼リサーチ/マーケティング会社代表の椎木 里佳さんは、韓国の人気オーディション番組「PRODUCE」シリーズに浮上した視聴者投票数の不正操作疑惑(IZ*ONEが活動危機に。人気投票の不正操作に揺れる韓国の『PRODUCE』シリーズ、何が起きたのか? | ハフポスト)について語った。画面に表示された、それを踏まえた視聴者ツイートの内の2つが、民族差別にしか見えない内容だった。

自分には、これらのツイートはテレビ画面で無批判に取り上げるべき内容だとは到底思えない。
 百歩譲ってこれが韓国の現政権に対する揶揄であれば、まだ風刺などとして捉えることも出来るかもしれない。しかし、今日番組で取り上げられたのはあるテレビ番組の内容についてだし、「国全体が不正実」というのはどう考えても言い過ぎだ。しかも昨今、というか今までもずっと、日本国内で在日朝鮮人・韓国人への差別や偏見がある中で、このような雑な主張をすることは差別や偏見を助長しているとも言えるだろう。そんなツイートをテレビ番組で無批判に取り上げることが適切だとは到底思えないし、朝からとても残念なというか、胸糞の悪い気分にさせられた。

 前述したように、同番組やMCの堀 潤さんには確実に素晴らしい部分もある。しかし自分は、朝からこんな胸糞の悪い思いをさせられるような番組はもう見る気になれない。どんなに素晴らしい部分があろうが、これは番組としての主張ではなく、あくまで視聴者の個人的主張だから大目に見ようとか、「それはそれ、これはこれ」と切り分けて考えようとは思えない。そのような主張の問題点を指摘しつつ画面に表示するならまだしも、それをしないならメディアとして無責任であり、番組は台無しである。
 素晴らしい部分もあるにはあるので、「番組を打ち切りにすべきだ!」なんてことは言わない。しかし自分はもう毎朝同番組を見るのは止める。番組欄を見て興味のあるコメンテーターが出演する日は見るかもしれないが、同番組は毎日生放送の為、前日番組欄に書かれていたのとは違う人が出演することもよくある。番組Webページで確認すれば、正しい出演情報を得ることが出来るのかもしれないが、思いがけず胸糞の悪い思いをさせられるような番組を、そこまで気にかけてチェックする必要もないだろう。気になるコメンテーターのツイッターをフォローしたり、ブログをそれぞれチェックすれば済むことだ。


 同番組のツイッター公式アカウントでも標榜する「タブーなきニュース番組」などのコピーに胡坐をかいて、そのような視聴者ツイートを注釈も批判もなく画面に表示し続ける限り、今後定期的に同番組を視聴するつもりはない。さようなら、モーニングCROSS。今までありがとう。NHKのように視聴料を払っている訳でもないし、自分はモーニングCROSSを諦める。


 トップ画像は、MXテレビ・モーニングCROSSのWebサイト のスクリーンショットと、Maklay62によるPixabayからの画像 を組み合わせて加工した。

このブログの人気の投稿

マンガの中より酷い現実

 ヤングマガジンは、世界的にも人気が高く、2000年代以降確立したドリフト文化の形成に大きく寄与した頭文字Dや、湾岸ミッドナイト、シャコタンブギなど、自動車をテーマにしたマンガを多く輩出してきた。2017年からは、頭文字Dの続編とも言うべき作品・MFゴーストを連載している( MFゴースト - Wikipedia )。

話が違うじゃないか

 西麻布に Space Lab Yellow というナイトクラブがあった。 一昨日の投稿 でも触れたように、日本のダンスミュージックシーン、特にテクノやハウス界隈では、間違いなく最も重要なクラブの一つである。自分が初めて遊びに行ったクラブもこのイエローで、多分六本木/西麻布界隈に足を踏み入れたのもそれが初めてだったと思う。

読書と朗読を聞くことの違い

 「 本の内容を音声で聞かせてくれる「オーディオブック」は読書の代わりになり得るのか? 」という記事をGigazineが掲載した。Time(アメリカ版)の記事を翻訳・要約した記事で、ペンシルベニア・ブルームスバーグ大学のベス ロゴウスキさんの研究と、バージニア大学のダニエル ウィリンガムさんの研究に関する話である。記事の冒頭でも説明されているようにアメリカでは車移動が多く、運転中に本を読むことは出来ないので、書籍を朗読した音声・オーディオブックを利用する人が多くいる。これがこの話の前提になっているようだ。  記事ではそれらの研究を前提に、いくつかの側面からオーディオブックと読書の違いについて検証しているが、「 仕事や勉強のためではなく「単なる娯楽」としてオーディオブックを利用するのであれば、単に物語を楽しむだけであれば、 」という条件付きながら、「 オーディオブックと読書の間にはわずかな違いしかない 」としている。

あんたは市長になるよ

 うんざりすることがあまりにも多い時、面白い映画は気分転換のよいきっかけになる。先週はあまりにもがっかりさせられることばかりだったので、昨日は事前に食料を買い込んで家に籠って映画に浸ることにした。マンガを全巻一気読みするように バックトゥザフューチャー3作を続けて鑑賞 した。

敵より怖いバカな大将多くして船山を上る

 1912年に氷山に衝突して沈没したタイタニックはとても有名だ。これに因んだ映画だけでもかなり多くの本数が製作されている。ドキュメンタリー番組でもしばしば取り上げられる。中でも有名なのは、やはり1997年に公開された、ジェームズ キャメロン監督・レオナルド ディカプリオ主演の映画だろう。