スキップしてメイン コンテンツに移動
 

日本の新元号「令和」が2019年世界の話題2位?


 ガラパゴス諸島は、南米大陸からおよそ900km西にある東太平洋上の群島だ。1535年にスペイン人司教らによって発見されたとされているが現在はエクアドル領だ(ガラパゴス諸島 - Wikipedia)。因みに諸島と群島という表現に明確な差はなく、殆ど同義とされている(「諸島」と「群島」、どう違う? 島の集まり具合…だけじゃない事情 - withnews(ウィズニュース))。
 ガラパゴス諸島は大陸と陸続きになった歴史がないそうで、その影響で独自に進化を遂げた固有種の宝庫になっている。これに由来する日本語表現に「ガラパゴス化」がある(ガラパゴス化 - Wikipedia)。個人的には、オーストラリアにも固有種は多いので「豪州化」でもいいのに、と思ったりもする。この表現で最も有名なのは、世界で標準的だった規格とは別の規格を採用し、日本独自の進化・普及を遂げた前世代の携帯電話で、”ガラ”パゴス化した日本の””帯電話を略して「ガラケー」と呼ぶ。


 また、韓国のキョンチャ(軽車)やフランスなどのクアドリシクルなど、軽自動車は決して日本独自ではないが、660ccという世界的に見てもかなり小排気量の自動車が新車販売の約4割を占めている点(軽自動車が新車の4割近く売れてしまう理由 | 軽自動車 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準 、ちなみにフランスのクアドリシクルは400ccだが日本の軽程には売れていない)、韓国のキョンチャは1000ccで、マイクロカーとしてほぼそのまま他地域でも販売されているのに対して、日本の軽は一部輸出されてはいるが、殆ど日本でしか売られていない/売れていない事を考えれば、「ガラパゴス化した日本の自動車市場」と言えるのではないか。


 昨日・12/10にハフポストは「橋本環奈さん、「世界のTwitterで最も話題になった俳優」で8位に。日本で唯一トップ10入り | ハフポスト」という記事を掲載した。


見出しの通り、ツイッター社が発表した、2019年に世界のツイッター上で話題になった人や出来事の俳優部門で、橋本 環奈さんが8位となり日本人で唯一トップ10にランクインした、という内容だ。


 また、この記事は、
世界で話題になった出来事 「#令和」が2位にランクイン
世界的にも日本が新しい時代となったことが話題に挙がったことが分かる
とも伝えている。


 果たしてハフポストの「世界的にも日本が新しい時代となったことが話題に挙がった」という話は正しいだろうか。自分にはそうは思えない。何故ならツイッターで「Reiwa」で検索しても出てくる投稿の殆どは日本語によるものだからだ。


 なぜ殆ど日本でしか話題になっていない新元号「令和」が、2019年に世界のツイッター上で話題になった出来事ランキングの2位になるのか。それは世界的に見たツイッターの利用状況と関係しているだろう。「Twitterの月間アクティブユーザー数は日本で4500万超 全世界では3億2600万 | ハフポスト」 にも
(ツイッターの)アクティブユーザーは、全世界で3億2600万、日本で4500万超である(2018年10月時点)
とあり、世界的に見て日本語話者ツイッター利用者の割合が多い。世界の人口はおよそ70億人で、日本の人口が約1.2億人であることと比べると、ツイッター界隈では日本語話者の比率が高く、日本で話題になったことがツイッターのランキング上位になりやすい環境であることが分かる。

 「世界のSNSユーザー数ランキング | 海外ソーシャルメディアの特徴と普及率 | 海外 | 海外進出ノウハウ | Digima〜出島〜」によると、
2019年4月、世界の月間アクティブユーザー数は3億3,000万人。2018年から月間アクティブユーザー数が下がったのは気になるところですが、日本での人気は未だ高く、日本語のツイート量は常にトップクラス
ユーザー数はアメリカが1位で4,900万人、2位日本3,700万人、3位イギリス1,400万人、サウジアラビア1,000万人、トルコ900万人と続き、他のSNSとは異なるランキングです
とされており、前段の話の裏付けは更に進む。
 また、「【2019年最新版】SNS利用者数と各媒体の特徴まとめ | Growth Seed」を見れば、世界的なSNS利用傾向と日本のそれに大きな乖離があることも分かる。つまり、日本のSNS利用傾向はガラパゴス化しており、他地域よりも確実にLINEとTwitterの比重が大きい。だから、日本でしか話題になっていない日本の新元号「令和」が、2019年に世界のツイッター上で話題になった出来事ランキングの2位になる、ということが起きるのだ。


 このような点から考えれば、ハフポストの記事にある「世界的にも日本が新しい時代となったことが話題に挙がり、世界で話題になった出来事 「#令和」が2位にランクインした」というニュアンスの表現は、明確な間違いとまでは言えないかもしれないが、不正確と言っても差し支えないだろう。
 数日前に書いた「「エヴァ制作会社の社長が準強制わいせつで逮捕」は不正確」と同じことで、このような不正確な記事を書き、掲載していると、同じ看板で掲載する他の記事の信憑性も下げることになりかねない。また、フェイクニュースやトレンドブログのいい加減さを指摘する際の説得力も下がるし、企業や政治家、そして政府などのいい加減で強引な言い逃れを指摘する場合にも影響が出る。
  ハフポストがTVのワイドショーのようなポジションを目指しているのならそれでもいいだろうが、真剣なメディアを目指しているのなら、内容の正確さにはもっと慎重になったほうがよいのではないか。

このブログの人気の投稿

話が違うじゃないか

 西麻布に Space Lab Yellow というナイトクラブがあった。 一昨日の投稿 でも触れたように、日本のダンスミュージックシーン、特にテクノやハウス界隈では、間違いなく最も重要なクラブの一つである。自分が初めて遊びに行ったクラブもこのイエローで、多分六本木/西麻布界隈に足を踏み入れたのもそれが初めてだったと思う。

マンガの中より酷い現実

 ヤングマガジンは、世界的にも人気が高く、2000年代以降確立したドリフト文化の形成に大きく寄与した頭文字Dや、湾岸ミッドナイト、シャコタンブギなど、自動車をテーマにしたマンガを多く輩出してきた。2017年からは、頭文字Dの続編とも言うべき作品・MFゴーストを連載している( MFゴースト - Wikipedia )。

読書と朗読を聞くことの違い

 「 本の内容を音声で聞かせてくれる「オーディオブック」は読書の代わりになり得るのか? 」という記事をGigazineが掲載した。Time(アメリカ版)の記事を翻訳・要約した記事で、ペンシルベニア・ブルームスバーグ大学のベス ロゴウスキさんの研究と、バージニア大学のダニエル ウィリンガムさんの研究に関する話である。記事の冒頭でも説明されているようにアメリカでは車移動が多く、運転中に本を読むことは出来ないので、書籍を朗読した音声・オーディオブックを利用する人が多くいる。これがこの話の前提になっているようだ。  記事ではそれらの研究を前提に、いくつかの側面からオーディオブックと読書の違いについて検証しているが、「 仕事や勉強のためではなく「単なる娯楽」としてオーディオブックを利用するのであれば、単に物語を楽しむだけであれば、 」という条件付きながら、「 オーディオブックと読書の間にはわずかな違いしかない 」としている。

あんたは市長になるよ

 うんざりすることがあまりにも多い時、面白い映画は気分転換のよいきっかけになる。先週はあまりにもがっかりさせられることばかりだったので、昨日は事前に食料を買い込んで家に籠って映画に浸ることにした。マンガを全巻一気読みするように バックトゥザフューチャー3作を続けて鑑賞 した。

敵より怖いバカな大将多くして船山を上る

 1912年に氷山に衝突して沈没したタイタニックはとても有名だ。これに因んだ映画だけでもかなり多くの本数が製作されている。ドキュメンタリー番組でもしばしば取り上げられる。中でも有名なのは、やはり1997年に公開された、ジェームズ キャメロン監督・レオナルド ディカプリオ主演の映画だろう。