ガイナックス社長が逮捕されたことについては12/6の投稿でも書いたが、エヴァンゲリオンの制作会社が以前はガイナックスだったことついて言及していて、エヴァンゲリオンが初めて世に出たのは1995年、つまり今からおよそ25年も前のことであることを再確認し、隔世の感を禁じえなかった。
この「隔世の感」というのは、ただ単に時間が過ぎたという意味でなく、時代がすっかり変わってしまった、のようなニュアンスだ。なので「エヴァンゲリオンはまだ新作(というか新約版/リメイク)が作られているのだから時代が変わったという程ではない」と言われてしまいそうだが、自分にとって、正しい意味で「覚醒の感」があったことに間違いはない。
今からおよそ15年くらい前に、クラブで知り合った10歳くらい年下の女の子と話していて、
Talsaさんの世代にとってのガンダムが、私らの世代にとってはエヴァなんですよと言われたことがある。
今でこそアニソン・コスプレ系のクラブイベントも珍しくはないが、15年前にはその手のイベントは殆どなく、当時のクラブイベントと言えば、現在のパリピ系お祭りパーティーの源流であるパラパラ系、今とあまり大きくは変わらないヒップホップ系、その時々で流行り廃りが激しいテクノ/ハウスなどの所謂ダンスミュージック系、そしてかなり小さなコミュニティだったロック系の大別して4系統だった。勿論オールジャンルイベントとか、あれとこれの中間みたいなイベントもあったので、あくまでも大まかに分けて、という話である。
クラブに行かない人にとってクラブイベントは、現在のアニメ系・オタク文化系イベント以外は、所謂リア充的な人の集まりという印象があるだろうが、前述の4系統の内、ダンスミュージック系にはオタク系の趣味に傾倒している人も多かった。特にテクノ界隈にはゲームやアニメ好きが多く、ゲームの話題で盛り上がるのはいつものことだったし、アニメも、流石に萌え系が話題に上ることはあまりなかったが、当時で言えば攻殻機動隊やカウボーイビバップなどは普通に共通の話題だった。
自分達の世代にとって影響が大きかったアニメの1つがガンダムで、自分達より10-15歳くらい年下の世代に対するそれがエヴァンゲリオンだとしたら、更にそれよりも下の世代にとってのそれは一体何が該当するのだろう?という疑問が、ガイナックス社長逮捕からの連想ゲームで湧いてきたのだ。
自分は、厳密には最初のガンダムのリアルタイム世代ではない。ガンプラブームは知っていたが当時はまだ並んで買いに行けるような歳ではなかったし、ガンダムを見た記憶も夕方5時頃の再放送が最初だったように思う。しかしガンダムの2つ目の作品「Zガンダム」はリアルタイムで見ていた。そんな世代である。
最初のガンダムが放送されたのは1979年だ(機動戦士ガンダム - Wikipedia)。そしてエヴァンゲリオンが最初に放送されたのは1995年である(新世紀エヴァンゲリオン#TVシリーズ - Wikipedia)。そこには15年の間隔がある。ということは、自分達にとってのガンダム、次の世代にとってのエヴァ、そして更に次の世代にとってのそれが何かを考える一つの目安になるのは、1995年から15年後、つまり2010年前後に登場し、ガンダムやエヴァのように所謂社会現象になった作品だ。そんな目安で考えてみたのだが、2010年前後に世に出た作品で、ガンダムやエヴァのように若者がロボットなどの巨大な何かに乗り込んで戦う作品で、社会現象と言えるまでに盛り上がったものはどうにもこうにも思い浮かばなかった。
しかし昨日AbemaTVの進撃の巨人の再放送を見ていて、「これ、ロボットじゃないけど巨大な何かの中に若者が入って何かと戦う、しかも戦う相手も巨大な何かに入って応戦する作品だ」という風に感じた。進撃の巨人はマンガがオリジナルで連載開始は2009年(進撃の巨人 - Wikipedia)、アニメ版のシーズン1は2013年に放送された(進撃の巨人 (アニメ) - Wikipedia)。ガンダムの約15年後にエヴァ、エヴァの約15年後は何か?という点でも条件に見合う。
「隔世の感」を感じた理由は、ガンダム・エヴァと、宇宙との関連性/人型巨大兵器という流れが続いていたのに、進撃の巨人は宇宙との関連性はなく、巨人は人型巨大兵器とも言えるものの、ガンダムやエヴァのロボット系とは明らかに異なっているからだ。新作が作られているのはエヴァンゲリオンだけでなくガンダムもで、しかもガンダムの方が新展開は明らかに多く、巨大ロボット系の設定ではそれら以上に盛り上がる作品は難しいのかもしれない。だからエヴァの15年後に新たに社会現象になったのは、ロボット系ではないものの、ガンダムやエヴァと共通点もある進撃の巨人なのかもしれない。ただ、進撃の巨人がガンダム・エヴァの流れを汲む作品というのは、あくまで自分の仮説、というか仮説などと言える程大層なものですらなく単なる憶測かもしれない。
進撃の巨人も連載開始から約10年経ち、作者もそろそろ完結させる旨を示唆している(諫山創と宇多丸『進撃の巨人展FINAL』を語る - miyearnZZ Labo)。但し、ドラゴンボールの作者が、ピッコロ大魔王を倒した時点(17巻)でキャラクターに「最終回じゃないぞよ。もうちっとだけ続くんじゃ」と言わせてから、その倍以上の42巻まで連載が続いたケースもあるし、例えばガンダムのようにZ/ZZ/逆襲のシャア/UCと話が拡張したり、0080/0083/08小隊などのようなサイドストーリーが作られたりする展開もあり得る。ガンダムのThe Origineやエヴァの新劇場版のような新約版が作られるケースもあるかもしれない。
進撃の巨人が、今後もし一旦完結したとしても、どのように展開していくのか、そして進撃の巨人から15年後、つまり2025年前後にどのような作品が新たに社会現象化するのかを注視することで、この投稿で示した自分の推測が妥当だったかどうかを考えてみたい。
トップ画像は、FranckinJapanによるPixabayからの画像、Vinson Tan ( 楊 祖 武 )によるPixabayからの画像、File:Wongwt 上野之森美術館 (16663999073).jpg - Wikimedia Commons を組み合わせて加工した。