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cover up a fact:事実を覆い隠す・隠蔽する


 最近めっきり見なくなった風呂敷。なぜ荷物を包む鞄のような物が”風呂”+”敷”という名称なのかについては諸説あるようだ。また、風呂敷と言えば殆どの人が連想するのは唐草文だろうが、唐草文が風呂敷の代名詞的な存在になったのは、その柄が近代に流行して多く出回った為で、多くの家庭に唐草文の風呂敷があったかららしい(風呂敷#歴史と由来 - Wikipedia)。
 逆に、この緑の唐草文の風呂敷の所為で、唐草文とはこの緑の風呂敷柄のことと思っている人もいるだろうが、この緑の唐草文はあくまでも唐草文の1種である(唐草模様 - Wikipedia)。


 なぜ風呂敷の話を冒頭でしたのか。それはトップ画像のデザインにもあるように、「事実を隠す」ことを英語で suppress a fact. / cover up a fact. と表現するからだ。後者の cover up には「包む/くるむ」というニュアンスもあるし、「隠蔽する」という意味もある。

 昨日のTBS・報道特集で、マルチ商法を展開し経営破綻したジャパンライフが元会長宛ての桜を見る会招待状を使って客を勧誘していた問題を取り上げており、同番組に出演している金平 茂紀記者が、衛藤 晟一消費者担当大臣の記者会見で質問する様子があった。


この問題は、現在懸案になっている桜を見る会にまつわる問題の1つで、ジャパンライフの元会長を招待者として推薦していたのは首相だということも分かっている(東京新聞:15年桜を見る会 ジャパンライフ元会長招待 首相ら推薦、認める:政治(TOKYO Web))。


 報道特集ではまず、桜を見る会に反社会勢力やマルチ商法を展開していた人物が参加していたことの概要(11/29の投稿)を説明し、


「首相の招待状」を信用、戻らない2千万円 桜を見る会:朝日新聞デジタル」も報じているように、桜を見る会の招待状などが用いられたビラによって勧誘されたマルチ商法被害者への取材映像を紹介、そして前述の衛藤大臣の会見で締め括るという構成だった。
 会見の中で衛藤大臣は「誰々の知り合いというようなことを強調してくる人物を怪しむのが当然(だから騙される方が悪い)」かのような発言をしている。桜を見る会の招待状等がマルチ商法の勧誘に用いられたことについては「事実であれば遺憾」と言っているし、「騙される方が悪い」とは明言はしていないものの、彼の発言からはそんなニュアンスが強く感じられる。なぜそう感じられるか。それは、金平さんが続けて「桜を見る会の招待状が悪用されたことなどについて調査する気はあるか」と質問したところ、彼はきっぱりと「そのつもりはない」ということを言っているからでもある。
 彼は消費者担当大臣という、消費者保護・消費者問題を管轄する消費者庁のトップであるにもかからわず、消費者保護を蔑ろにする気満々の発言を、記者会見の場でしているとしか言いようがない。果たしてそんな大臣の任命のどこが適材適所だろうか。彼を任命した首相にとっては、自分に都合の悪い「事実を隠す」ことを優先するという意味で適材なのかもしれない。


  安倍氏は2018年3/28に、参院本会議で2018年度予算が成立したことを受けた会見で、財務省の公文書改竄問題について
しっかりと調査を徹底し、全容を明らかにし、膿を出し切り、その上で二度とこうしたことが起こらないように組織を立て直していきたい
 と述べている(安倍晋三首相の発言全文「改竄問題は膿を出し切る」「内閣支持率は一喜一憂しないが、真摯に国民の声を受け止める」 - 産経ニュース)。


桜を見る会にまつわる問題について、彼や官邸・与党関係者らは、当初「問題ない」の一点張りだったが、彼は自ら来年の桜を見る会の中止を決めたと公表し、彼も官房長官も見直しや反省すべき点があることを認めており、同会の参加者選定等に少なからず問題性があったことは既に明らかだ。この問題について、当初「自分は参加者選定に関与してない」としていたのに、その後関与を認めた彼が、それでも自分の潔白を自負するのなら、然るべき場所で、2018年3月の会見と同様に、
桜を見る会の問題について、しっかりと調査を徹底し全容を明らかにし、膿を出し切りたい
と表明するのが筋ではないのか。なぜ彼は今そう言えないのか。自分には、彼自身が政府が化膿している元凶に他ならない、つまり彼自身が膿だから、としか思えない。そう指摘されることを懸念しているから、「しっかりと調査を徹底」することも、そう宣言することも出来ないのだろう。

  彼が「膿を出し切りたい」と言ってから既に1年半以上が経っているが、大臣の不適切な言動や政治資金の問題など、膿が次から次へと噴出してくる。また、ここのところは桜を見る会の問題に注目が集まっている所為でそれらへの注目度は低いが、この間に他にも複数の「政府・与党の膿」事案が報じられている。
これのどこが「膿を出し切った」の結果なのだろうか。確かに彼が前述の会見で「膿を出し切りたい」としたのは改竄問題についてだが、改竄問題だってその後財務大臣が「なぜ改竄が起きたか分かれば苦労しない」という、全く責任放棄としか言いようがないことを言っている(麻生氏、改ざん動機「分かりゃ苦労しない」 辞任は否定:朝日新聞デジタル)。つまり、

 首相をはじめ、今の官邸・与党は口だけ

と言っても過言ではないだろう。


 2018年3月の会見の中で安倍氏が言及している景気、ロシア外交は改善するどころか寧ろ後退している状況だし、拉致問題についても全く進展はなく時間だけが過ぎ去っている。また保育無償化に関しても、「幼保無償化なのに「12万円負担増」 制度の落とし穴:朝日新聞デジタル」など、自民党が無償化を選挙公約にした2017年当時からあった指摘が現実となっているのが実状である。
 首相をはじめ官邸・与党関係者、そして積極支持者も、そんな都合の悪い「事実を隠す」ことに躍起になっている、ということに、日本の有権者、特に政治への関心が薄い人達、無党派層と呼ばれるような人達が気付かなかければ、どんどん自分達のクビが絞まる。無関心であることのツケを払わなければならなくなる時は必ずやってくる


 トップ画像は、唐草模様イラスト - No: 1112075/無料イラストなら「イラストAC」を加工して使用した。

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