今日のトップ画像は横浜大洋ホエールズ/ベイスターズの歴代メインマスコットキャラクターである。左上が大洋ホエールズ時代のマリンくん、真ん中がベイスターズ時代のホッシーくん、右がDeNAが親会社になって以降のDB.スターマンだ。
横浜市生まれの自分が物心ついた頃は、ベイスターズではなくまだホエールズだったので、マリンくんが描かれた濃いめの青のメガホンを持っていた。ベイスターズにチーム名が変わってから5年後の、1998年に38年ぶりのリーグ優勝を果たしたこともあって、ホッシーくんにも馴染みがある。しかし近年は野球への興味が低迷しており、DB.スターマンにはどうも親近感が湧かない。
「マスコット」と聞いて真っ先に頭に浮かんだのは、このようなスポーツチームのキャラクターだった。自分は、シンボリックな存在=マスコット のように認識していたのだが、マスコット - Wikipedia には、
マスコット(フランス語:Mascotte、英語:mascot)とは、「人々に幸運をもたらすと考えられている人・動物・もの」のこととある。 但し「身辺に置いて大切にする人形や、何らか団体(グループ)のシンボルとする動物など」ともあるので、自分の認識が大きく間違っていたということではなさそうだ。
なぜマスコットの話をしたのか、と言えば、世間一般的には概ね昨日までが正月休みであり、今日は東京証券取引所恒例の大発会、つまり2020年の取引初めでもあり、それに関するニュース「東証大発会、波乱の幕開け TBS NEWS」を見たからだ。
一見マスコットの要素などなさそうなニュースだが、この映像からは、地上波の昼のニュースで使われていたカットの一部が省かれている。自分がマスコットという言葉を連想したカットは、テレ朝ニュースの
東証大発会 400円超の大幅値下げ 新年の取引開始
東証一時500円超下落 “湾岸ショック”の直撃で
でも使われている。そのカットがこれらだ。
振袖姿の女性を大発会のマスコット的に扱っている
ように見えた。「F1グリッドガール廃止に感じる、短絡的なフェミニズム感」でも書いたように、女性をマスコットキャラクター化すること全般を否定するつもりはない。女性がそれを担うことは特性を活かしているとも言えるので、「振袖姿の女性を大発会のマスコットにするなんて言語道断」とは思っておらず、全否定するつもりはない。登壇している女性が無理矢理やらされていないのであれば別に構わない、とも思う。
しかし、この状況を見てどう感じたか、というのはまた別の話であり、この映像にある種の嫌悪感を覚えたのもまた事実である。嫌悪感を覚えた理由は2つある。1つ目は、大発会・証券取引はショービジネスではないことだ。つまり、見た目の美しさ重視するような場面ではなく、振袖姿の女性を並べる必要性・説得力が全く感じられない。2つ目は、大発会の檀上にいた人達がこんな感じだったことだ。
檀上にいるのは、振袖姿の若い女性以外は年配の男性ばかりだ。この状況にはいびつさを感じざるを得ない。この絵面に「年配男性が若い女性に振袖を着させてマスコット的に扱っている」という印象を抱くことは決して不自然なことではないだろう。しかも中心にいるのは、「セクハラ罪という罪はない」など、これまでに何度も男女平等に無頓着な発言を繰り返してきた麻生という男だ。
これらのカットを見て、
日本を代表する証券取引所は、まるでキャバクラみたいだ
と強く感じた。この場に若い男性や年配の女性が殆どいないこと、振袖姿の女性に求められているであろう役割を想像すると、この国のジェンダーギャップ指数が、121位とG7の中で最低で、女性の社会進出が遅れていることが多いイスラム教国である、UAEよりも悪い結果であること、つまり男尊女卑が深刻であることが如実に現れているように思う。因みに、一部に世界経済フォーラム(WEF)が発表した2019年のジェンダーギャップ指数について、妥当性がないかのようなことを言う人もいる。「ジェンダーギャップ指数2019で集計ミス? 日本は本当は何位だったのか - ねとらぼ」という記事なども出回っているが、実はこの記事、「妥当とは言えない部分を修正しても、120位のUAEと同率になる程度」という内容だ。
テレ朝ニュースは「東京オリ・パラまで200日 澤さん晴れ着で成功祈願」という記事も掲載している。大発会が行われた東京証券取引所に、世界各国をイメージした着物を着た女性アスリートたちが集まり、東京オリンピック・パラリンピックの成功を祈願するというアピールを行った、という内容だ。
これに関しても、個人的には「袴姿の男性アスリートも呼べばいいのに」と感じるが、しかし一方で、オリンピックは一応非商業主義ということになってはいるが、そんな建前は形骸化しているとしか言えないし、オリンピックやスポーツには間違いなくショービジネス・エンターテイメントの側面があり、そんな風に考えれば、女性アスリートをマスコット化して注目を集めようというのは、それ程嫌悪することでもないだろう。
別の場面で男性アスリートだけがクローズアップされることもあるだろうし、それはそれでいいのかも…とも思えた。
但し、証券取引所の取引初めの会が、キャバクラかガールズバーにしか見えない状況なのは、「それはそれでいいのかも」とはやはり思えない。
若い女性をマスコット化すること自体に問題があるとは思わない。しかし証券取引所の大発会がそれをするのに適した場であるとか、必然性があるとは感じられない。全否定はしないが、賛同出来るかと言えば全くできない。