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新型コロナウイルスをめぐる、政府とTV報道への不信感 前編


 自分が育った横浜市には、日本最大にしてアジア最大とも言われている、世界でも有数の規模を誇る中華街がある。また、中華街の最寄り駅の1つである関内駅周辺には、新大久保や川崎のそれには及ばない規模ではあるが、韓国人街もある。横浜は近代日本において最初に開港した港の1つであり、関内の由来も、その際に設けられた外国人居留地が関内居留地と呼ばれていたことによる(関内 - Wikipedia)。

 その横浜港には現在、クルーズ船・ダイヤモンドプリンセス号が停泊しており、連日のように「新たに新型コロナウイルスの感染者が確認された」などの関連ニュースがテレビで放送されている。ダイヤモンドプリンセスと同じく、新型コロナウイルスの感染者が確認され、香港に停泊していたクルーズ船の乗客約1800人は既に検疫を終えて全員が下船したそうだ。ダイヤモンドプリンセス号の検疫は一向に進んでいないのに、テレビ各局は政府対応に疑問は殆ど呈さず、単に不安を煽るような報道をしているように思えてならない。


 昨年・2019年10月に消費税増税が行われ、景気の悪化が懸念されたが、政府は「影響はない、あっても少ない」と言い張っていた。それに呼応するかのように、NHKは
などと、増税から3ヶ月を経ても尚、新車販売が10月以降低調なのは台風の所為、という話を報じていた。台風では自動車の水没被害も多数出た。ならば台風以降の新車需要は前年より寧ろ増えるのではないか。そんな視点での指摘は一切せずに、
去年10月の消費税率引き上げについては「販売に影響した可能性はあるが、今月の初売りを前にした買い控えなど、複合的な要因が考えられ、引き続き分析する必要がある」と話しています。
という、自販連の見解をただただ報じるNHKは、「影響はない、あっても少ない」と言い張る政府の後押しを目論んでいるようにしか思えない。受信料を払うのが馬鹿馬鹿しくなってくる。


 そのNHKも、流石に「景気停滞は台風の所為」と言い張れなくなってきたのか、2/3にやっと「GDP 大幅マイナス予測 消費税率引き上げで 民間調査会社 / インターネットアーカイブ」と報じた。しかし同じく2/3に、新車販売に関しての続報「国内新車販売 消費増税後4か月連続で減少 / インターネットアーカイブ」も報じている。その記事の中では前述の記事同様に、自販連の示した見解について、
去年10月に消費税率が引き上げられて以降、4か月連続で販売が減少していることについて業界団体は「引き続き影響を注視していきたい」と話しています。
とし、自販連が、新車販売の要因について台風の影響には積極的に言及してきたのに、年が明けても新車販売台数に回復は見られないこと、とうとう自販連も台風の所為とは言えなくなったこと、いつまで経っても消費税増税の影響については「注視していきたい」と消極的であること、などは一切指摘していない。
 また、政府が示した景気に関する報道も2/7にしており(去年10~12月GDP「台風や暖冬でマイナス可能性」経済再生相 / インターネットアーカイブ)、
台風や暖冬の影響などから個人消費が落ち込んだ
とする西村経済再生担当大臣の見解を紹介したが、前述の、台風の所為だとされてきた新車販売台数が年が明けても回復していないこと、消費税増税の影響を指摘する民間調査があることなどには触れていない。これでは

 NHKは政府広報機関、朝鮮中央テレビならぬ大日本中央テレビ

などと揶揄されても仕方がないのではないか。

 NHKは2/9に「新型ウイルス 感染拡大長期化で日本のGDP押し下げ不可避か / インターネットアーカイブ」とも報じた。


勿論どう受け止めるかは人それぞれ違うだろうが、自分の目には、政府広報機関であるNHKは、「やった!消費税増税の影響以外の景気停滞の理由が新たに出来た!」と考えているようにしか見えなかった


 このような経緯を考えると、政府がクルーズ船に対して充分とは言い難い対応をしているのは、景気停滞の理由創出の為に最大限新型コロナウイルスへの不安を煽りたいという思惑があるからで、NHK以外の民放テレビにも似たような傾向がある為、その思惑に忖度したテレビ各局が、連日のように不安を煽るような報道に勤しんでいる、というのが今の現状ではないか?とすら思えてしまう。


 明日の投稿へ続く。


トップ画像は、Photo by Yu Kato on Unsplash を使用した。

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