今、日本史上最もトンチンカンな男が首相の座にある。しかも7年以上もその状態が続き、調査では未だに40%程度の支持があるそうだ。森友加計学園の問題、桜を見る会の問題などを通じて、日本の首相の頓珍漢は既に世界中に広まっている。そしてこの新型コロナウイルス危機への対応で、最早疑いようのないこととして認識されただろう。
このままではこの首相だけでなく、この男に首相を続けさせている党やその党を選んできた日本の有権者、つまり日本自体がトンチンカンな国と認識されてしまう。いやもう既にされているだろう。
このトンチンカンな男が昨日・5/14、再び記者会見を開いた。だがその前に1つ確認しておきたいことがある。それは5/6、つまり緊急事態宣言を延長した直後に出演したインターネット番組での、トンチンカンが示したこの見解だ。
“宣言解除”検討で 安倍総理が判断基準示すと表明
期間の満了を待たずに、その段階(14日)で緊急事態宣言を解除したい。当然、どういう基準で解除したのか、解除しなかったかについてお示しさせて頂きたいこれは前述の通り、緊急事態宣言の延長を決めた直後の発言であり、その時点で「14日までに、どういう基準で解除するのか/しないのか示したい」と言っているということは、
合理的根拠なく緊急事態を延長した
という告白にほかならない。厳しく言えば、合理的な根拠もなくいい加減にフワッと延期を決めました。という告白だった。だが、それには100万歩ほど譲ることにしてみる。その上で昨日の会見を振り返る。5/6の発言を考えれば、トンチンカンは遅くとも5/14までに緊急事態を続けるか否かの判断基準を示さなければならない状況だ。そしてその期限がまさに昨日だった。
トンチンカンは昨日の会見の中でこう述べた。
令和2年5月14日 新型コロナウイルス感染症に関する安倍内閣総理大臣記者会見 | 令和2年 | 総理の演説・記者会見など | ニュース | 首相官邸ホームページ
本日、関東の1都3県、関西の2府1県、そして北海道を除く39県について、緊急事態宣言を解除することといたしました。緊急事態を続けるか否かの判断基準を示すと言っていたのに、「総合的に判断する」と言っている。しかも、何を総合的に判断するのかについて、「○○など」という、とても曖昧な表現に留まっている。一応幾つかの数字は提示しているが、一方で日本での検査総数は相変わらず少ない。そして、5/11には政府の専門家会議の副座長が、
その判断については、今回、専門家の皆様の御協力を得て、感染の状況、医療提供体制、監視体制の3つについて、具体的な数値なども含め、解除の客観的な基準を策定いたしました。
2週間前と1週間前を比べ、新規の感染が減少傾向にあること。直近1週間の合計で10万人当たり0.5人以下に抑えられていること。さらには、感染経路が分からない感染者の発生状況など、総合的に判断することといたしました。
実際の感染者数、報告の何十倍かはわからず=尾身・専門家会議副座長 - ロイター
報告されているより(感染者の)数が多いのは間違いないが、それが10倍か20倍か30倍かは誰もわからないとも述べている。一体何が「総合的な判断」なのだろうか。相変わらず緊急事態の基準はブラックボックスなままだ。相変わらずフワッとしている。フワッと宣言され、フワッと延長され、フワッと解除に向かう。これでは日本へ行ってみたいという人は確実に減る。万が一来夏にオリンピックが開催できたとしても、動員は最低になるのではないだろうか。
昨日の会見では、現在懸案となり、#検察庁法改正案に抗議します などのハッシュタグを用いて、SNS上で多くの人が疑義を呈している事案についても、記者から「コロナ禍のさなかでの検察庁法の改正に、SNS上で著名人を巻き込んだ反発が広がり、与野党にもなぜ今なのか、コロナ対応を優先すべきだとの声があります。三権分立、恣意的人事の懸念がある中、政治の信頼を保つため成立を一旦見送る考えはないでしょうか」という質問もあった。
これに対してトンチンカンは、
今回の改正により、三権分立が侵害されることは、もちろんありませんし、恣意的な人事が起こるようなことは全くないということは断言したいと、このように思います。と返答した。
首相「三権分立侵害全くない」「黒川氏人事、全く決めていない」 検察庁法改正案 - 毎日新聞
5/12の投稿でも全く同じことを書いたが、検事長の定年延長を、一方的な解釈変更によって、しかも口頭で決済するということを既にやっているのに「懸念は全くあたらない」なんて、誰が信用できるだろうか。子どもが口の周りにクリームをべったりとつけながら、「僕ケーキなんて食べてないよ!」と言っても、信用できないのと同じだ。
また、朝日新聞はこうも伝えている。
検察庁法改正「恣意的な人事はないと断言」 首相が強調:朝日新聞デジタル
一本化して国会審議されている国家公務員法改正案などと切り離すかを問われ、「国会のことについては、国会においてスケジュールを決める」と述べた。今、日本で首相の座にあるのは、このように聞かれたことに対してまともな返答すらも出来ないトンチンカンである。
法案を切り離すか否かという「審議の形式」を問われたにもかかわらず、「審議日程」について答えた形だ。首相は「私も(自民党)幹事長の時はそうだったが、国会のスケジュールにおいては党で責任を持って進めている。もちろん政府と相談することもあるが」と重ねて語った。
共同通信は、今日の昼前にこんな速報を伝えている。
ネット意見へのコメント控えると首相 | 共同通信
安倍首相は、検察官の定年延長に抗議の声が広がっていることに関し「インターネット上のさまざまな意見に対して政府としてコメントするのは差し控える」と述べた。自分がほんの1ヶ月程前に、ネットで話題になっていた星野 源さんの動画に乗っかった動画をSNSへ投稿したことを忘れたのだろうか(4/12の投稿)。そしてそれに対する批判について、官房長官が「35万もの評価を得た」と誇らしげに語ったことも忘れたのだろうか。
首相ツイートは「35万を超える『いいね』。発信は有効」、菅官房長官会見詳報 - 毎日新聞
また、なぜ現在SNSを中心にこ抗議行動が行われているのかと言えば、政府が国民に外出の自粛を要請し、物理的なデモが出来ないからという側面が確実にある。そもそも、自分達に都合がいい時はネット意見を引き合いに出し、都合の悪い時は無視するようなこと自体が論外だが、現在物理的な抗議行動が出来ない状況であることも加味せずに、ネットでの有象無象だから無視、というのは全く説得力を欠いている。
何故今の首相・安倍は、こんなにもトンチンカンなことを平気で言えるのか。出来るのか。なぜ?ってそれは、このトンチンカンは恥の概念を持たないからだ。奇妙な答弁も、あからさまな嘘を繰り返すことも、台本棒読み記者会見も、「質問通告にないから答えられない」という言い訳も、それらができてしまうのは、恥の概念を持っていないからだろう。恥の概念があれば、どれも恥ずかしくてできないことばかりだ。率直に言って、