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2010年代がバブル越え好景気だったら、25年以上前の設備は既に刷新されるのでは?


 最初のファミリーコンピュータをリアルタイムで経験している世代にとって、ファミリーベーシックというファミコンをパソコン化するアイテムは、とても懐かしいのではないだろうか。ファミコンに専用カートリッジとキーボードを繋ぐことで、ベーシックによるプログラミングができるようになるという機器だった。打ち込んだプログラミングを、フロッピーディスクですらなくカセットテープを使って記録する、専用レコーダーもオプションとして売られていた。

 カセットテープによる記録/読み込みにはかなり時間がかかる。発売当時は家庭用パソコンでもカセットテープでの記録は一般的だったようだが、決して実用的とは言い難かった。本を見ながら友達とプログラムを打ち込み、全て打ち込んだ後でミスを訂正、何時間かをかけてやっと簡単なゲームが出来るようになる。しかし、数時間で打ち込むゲームはあまりにも簡易的で、カセットテープで記録する手間や読み込む手間をかける程の内容でもなく、打ち込んだプログラムは一通り遊んだら電源切ってハイ終わり、なんてことを小学校の頃にしていた。
 その友達の親はとある大手お菓子メーカーに勤務していて、丁度その頃バブル期だったこともあって羽振りがよかった。ある日その友達の家に行くと、フロッピードライブ付きのMSX2があった。誕生日でも何でもないのにそんなものを買ってもらえる友達がちょっと羨ましかった。フロッピーディスクの書き込み/読み込みも、現在のフラッシュメモリーやHDDに比べればかなり時間がかかるが、カセットテープのそれとは雲泥の差だし、記録ミス/読み込み不良も少なく、到底小学生が半日程度で打ち込めるような量ではないプログラミングも、これで何日かに分けて作業できるようになった。
 その頃になると、英語すらよく分かっていない小学生にとっては謎の呪文でしかなかったベーシックも、ある程度は理解できるようになっており、その友達2人で収録問題数100問くらいのクイズゲームや、当時流行っていたゲームブック(Wikipedia)のようなプログラムを独自に組んで、別の友達にやらせるという遊びもしていた。

 そんな遊びをしていた自分達を見て、親が不動産会社を経営する更に金持ちの同級生が、NECのPC-88を買ってもらったと自慢してきた。ダブルラジカセのようにフロッピーディスクドライブが2つあって、バックアップを取ることができるPC-88に驚いたものだ。その後中学生になると、PC-98が家にあるとか、マック LCIIがあるとか、そんな奴も出てきた。


 朝日新聞が昨日こんな記事を掲載している。

名機PC-98いまだ現役 在庫1000台専門店に迫る:朝日新聞デジタル


 PC-9800シリーズ(Wikipedia)はNECが1982年に販売を開始したパソコンで、世界的にはIBM-PC/互換機が標準的だったが、日本で圧倒的なシェアを誇っていたのはPC-98だ。そのPC-98が今でも工場の生産ラインやインフラ管理の現場では、いまだ現役で稼働し続けている、という内容の記事で、お台場等を走るゆりかもめの公式SNSアカウントが、長らく業務に用いていたノート型のPC-98の引退を7/2に報告し、その長寿ぶりにフォロワーから多くの反響が寄せられたという話も紹介している。1995年の開業から25年間、設備メンテナンスで使い続けていたのだそうだ。
 この記事にはこんな記述もある。
バブル経済期に設備投資された工場では、設計時点でPC-98をシステムに組み込むことが多く、設備を丸ごと入れ替えない限りPC-98を使い続けざるを得ない。長年ノートラブルだったシステムが突然動かなくなり、「分かる人間がもう社内にいない」と、お手上げ状態で相談してくる現場責任者も増えているという。
つまり、バブル期から設備の更新がされていない工場/企業/現場がざらにある、ということだ。

 勿論、小規模ビジネスの現場や、長年楽曲制作に愛用しているミュージシャンなど、人の側が新しい機器に対応することを躊躇して古い機器を使い続けている、というケースもあるだろう。だが、ゆりかもめという交通インフラですら1995年に導入した機器をまだ使っているということは、人側の問題でなく資金的な問題で設備刷新が遅れているケースだってあるはずだ。
 2012年末に民主党政権から現安倍自民党政権へ政権の交代が行われ、その後アベノミクスとやらの成果として株価上昇を首相らが誇り、昨年初頭まで、首相や政府、そして一部のメディアが盛んに「バブル越え」を喧伝していた。なのになぜ、未だに日本の経済活動の現場で、25年以上も前の設備が更新されずに使い続けられているケースが少なくないのだろうか。


 前述した人側の問題以外にも、古いシステムの方が成熟していてトラブルが少ないという側面もあるだろうが、既に生産もサポートも終わっているシステムを使い続けるメリットは高いと言えず、仕方なく使い続けているケースだって決して少なくない筈だ。記事にもあるように、現在は中古部品等でメンテナンスを続けるしかなく、将来的には必ずPC-98を利用したシステムの運用は立ち行かなくなる。もし2010年代、日本の景気がバブル期越えであったなら、多くの企業はその余裕のあるタイミングで将来を見据えてシステムの刷新をしただろう。しかしそれを行わなかった企業が多いというのは、つまり

 アベノミクスは幻想、もしくは虚栄でしかなかった

ということの確たる証拠だろう。


 好景気・景気回復は羊頭狗肉でしかなかったことは、国民の多くが実感していただろうし、経済政策以外でも、女性活躍という羊頭狗肉、保育無償化という羊頭狗肉、新しい判断という公約破り、拉致問題/北方領土問題解決を謳いつつ状況は後退するばかり、そしてコロナ危機下における杜撰な対応、一体現政権を支持・容認する理由は一体どこにあるのか。
 DV被害者の中には共依存になってしまう者もいると言われているが、今の日本の有権者の半分かそれ以上が、国民を搾取し蔑ろにする政府と共依存なのではないだろうか。

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