今年・2020年初頭に拡大が始まったコロナ危機。その勢いは未だ収まる様子がない。米国の感染者数は現在感染が始まってから最も多くなっており、7/2の時点で1日の新たな感染者数は5万人を超えている。ニュージーランドなど既に新規感染者を劇的に減らす国がある一方で、アメリカやブラジルのように感染拡大が止まらない国もある。
日本でも、東京での1日の新たな感染者が、7/2に再び100人を超えた。新型コロナウイルスには約2週間程度の潜伏期間があるようで、現時点で発覚しているのは凡そ2週間前に感染した人だ。2週間前と現在の社会状況を比べてみれば、今後2週間は100人程度の新規感染者が続く、若しくは更に増えることが予想される。
小池都知事は東京都の1日の感染者が再び100人を超えたことを受けて記者会見をおこなった。その中で小池は再び「夜の街」への警戒を強調した。
「感染拡大要警戒」小池知事“夜の街”注意呼びかけ
小池氏がこの会見を行った7/2の朝、NHKは朝のニュース番組で、前日の感染状況を示すこんなグラフを用いた。
まず、項目設定がおかしい。夜の街と小池氏やNHKなどのメディアが言っているのは、ホストクラブやキャバクラ等の水商売や性風俗店のことである。ホストクラブやキャバクラ客が感染したなら会食に含むべきだし、従業員の間で感染があったなら職場に含むべきだ。こんな分類からは”夜の街”をスケープゴートにしようという意図しか感じられない。
更に、グレーの部分は伏せられているが、明らかに感染経路不明である。全体が67人で、他の項目の数字の合計は27+6+4+6で43、つまり感染経路不明者は24人である。感染経路不明が24人もいるのに、何故か”夜の街”に注意しろ、と知事もテレビも呼びかけている。この人達はバカなのだろうか。どう考えても夜の街よりも感染経路不明に対する注意の方が多くの人にとって重要で、その対策を講じるべきだし、そう指摘するべきだ。
「夜の街は感染経路が分かっているので注意を呼び掛けている。感染経路不明は不明なので注意しようがない」と言う人もいるかもしれない。だがしかしそれは妥当な見解とは言い難い。政府が4月に発した緊急事態宣言では、感染経路が分からない状況で感染拡大を防ぐ目的で広く休業が要請された。つまり、感染経路が分からなくても相応の注意のしようがあるし、できることだってある。
政府のコロナ危機担当大臣の西村がこんなバカげた発言をしている。
西村大臣「緊急事態 誰もやりたくない」に賛否の声
誰だって収入を断たれるなら休業なんてしたくない。だが、他国では感染拡大を抑える為に収入の補償をした上で強制的に休業させる措置を講じた。しかし日本では充分な補償もなく、政府が打ち出した国民1人当たり10万円給付もまだまだ行き届かず、事業者を対象にした持続化給付では電通に中抜きだけさせて処理が滞っている。そんな体たらくでこの男は一体何にキレているのだろう。こんな者が担当大臣だと、コロナ危機が日本社会に与えるダメージは更に大きくなってしまいそうだ。
因みに、西村は4/27の会見で、休業要請・指示に応じない店舗などが相次いだ場合、罰則を伴うより強い指示を可能とする法改正を検討する考えを示しており、実際に剣等が進んでいるようだ。また、自民党議員の一部がコロナ危機を口実とした増税を叫び始めた。充分な収入の補償をせずに休業を強制したり、収入減少に苦しむ人が多い中で増税を叫ぶのが今の政府と与党・自民党だ。
- 罰則付き法改正も検討 休業要請応じなければ―西村経済再生相:時事ドットコム
- コロナ関連法、一括改正検討 休業・検疫拒否に罰則―政府:時事ドットコム
- コロナ対策 税収増やす施策検討を首相に要望 自民 石原氏ら | NHKニュース
時事ネタ芸人・プチ鹿島さんと、同じく政治/社会問題に強いラッパー・ダースベイダーさんが定期的にYoutubeで配信している時事ネタトーク「#ヒルカラナンデス(仮)」の、第12回が7/2に配信されたが、その中で「夜の街は感染経路が分かっているので…」という話に関して、
感染の発生が”夜の街”と場所も業種も特定できているなら、補償をして休業してもらえばいいしかし、何故か都知事は”夜の街”に注意というばかりでそのような対策をしない、と言っていた。テレビなどメディアでもそのような指摘は殆どされていない。これが日本という他国を絶句させる程に民度が高く美しい国の実状だ。
ダースレイダーxプチ鹿島 “#ヒルカラナンデス (仮)“ 第12回
つまり都知事は対策を怠っているだけでなく、自己都合で”夜の街”をスケープゴートにする為の犬笛を吹いている、という恐れが著しく高い。個人的にはそう断定しても差し支えないと考えている。
森の中の峠道のような、全長20km以上にも及ぶドイツのサーキット・ニュルブルクリンクは、その攻略の難しさ、コースサイドの大半が森林であることに由来して Green Hell / 緑の地獄 とも呼ばれている(ニュルブルクリンク - Wikipedia)。だが、コロナ危機において対応を怠るだけに留まらず、偏見や嫌悪を煽るような発言を自分の都合で繰り返す者が都知事である現在の東京は、ニュルブルクリンク以上に「緑の地獄」ではないだろうか。小池は緑をイメージカラーに使っている。
昨日の投稿でも触れたように、明日・7/5は都知事選の投票日だ。緑の地獄がこれからも続くか、それともこの都知事選で脱するかは、有権者に委ねられている。
トップ画像は、Photo by Anastasiia Chepinska on Unsplash を使用した。