昨日7/5は東京都知事選の投開票日だった。事前に予想されていた通り、小池都知事が再選を果たした。7/4の投稿で、関東大震災で虐殺された朝鮮人を、被災者と同質と見なして虐殺の事実を矮小化し、またコロナ危機対応の責任逃れ、自分への支持拡大の為に、ナイトビジネス界隈を「夜の街」と称して責任転嫁するなど、偏見や嫌悪・分断を煽るような発言を、自分の都合で繰り返す者を再び知事に選ぶのかは有権者にかかっている、としたが、都民はその知事を再び選んだ。
小池氏の得票は圧倒的だったようで、2番手以下との差の大きさに愕然とする。小池氏が当選するにしても、こんなにも差がつくとは思っていなかった。
開票速報|2020都知事選(東京都知事選挙):朝日新聞デジタル
更に驚いたのは、小池氏以上に差別的で、特に中韓への民族差別を鮮明にしている桜井 誠に投票した者が約18万人もいたことだ。今回の都知事選には20人以上が立候補したが、5番手以下の得票は1%に満たないが、桜井が差別を厭わない、厭わないどころか積極的であることは、少し調べれば分かる疑いようのない事実であるにも関わらず、約3%も票を得ている。都の有権者の中に少なくとも約18万人もの差別主義者、もしくは差別に無頓着な者が存在することが、今回の選挙で明らかになった。
桜井は前回・2016年の都知事選にも立候補しており、11万票を獲得していたが、今回はおよそ6万も得票を増やしている。その辺の事情に関しては、自称保守・所謂ネトウヨ界隈の分析に長けた古谷 経衡さんが、さっそく解説記事を書いている。
日本第一党・桜井誠氏18万票の衝撃~2020東京都知事選、右派界隈に何が起こったのか~(古谷経衡) - 個人 - Yahoo!ニュース
今朝こんなツイートがタイムラインに流れてきた。
いまさらですが、「『7つのゼロ』のうち1つしかゼロにできなかったから小池はダメだ」という論もまあまあ乱暴だと思います。— 宮原ジェフリーいちろう🍠 (@ichiro_jeffrey) July 5, 2020
「ゼロにする」という約束をしながらそれを守れなかった結果責任を追及されるのは当然ですが、だからといって任期中本当に何もしなかったかと言えばそんな訳はなくて、
じゃあそれらがゼロに近付いたのか、近づかないまでも減ったのか、減らすこともできなかったのか、丁寧な検証が必要だと思います。— 宮原ジェフリーいちろう🍠 (@ichiro_jeffrey) July 5, 2020
この間それをやってきたのがinfactです。https://t.co/3QgZjbma4o
任期中に何もしなかったかわけではなく、ゼロ達成はできずともゼロに近づけられた公約もあったのだから、「『7つのゼロ』のうち1つしかゼロにできなかったから小池はダメだ」という論は乱暴だそうだが、 自分にしてみれば、そんな論の方がよっぽど乱暴だ。
まず、前回・2016年都知事選で小池氏が掲げた公約「7つのゼロ」を確認する。
- 待機児童ゼロ
- 介護離職ゼロ
- 残業ゼロ
- 都道電柱ゼロ
- 満員電車ゼロ
- 多摩格差ゼロ
- ペット殺処分ゼロ
都は2019年4月に「動物の殺処分ゼロを達成した」と広報し、
小池氏4年前公約「7つのゼロ」大半未達成 都知事選あと2カ月:東京新聞 TOKYO Web
など、大手メディアも軒並み7つのゼロの内、殺処分ゼロに関して達成と判定しているものの、殺処分ゼロ達成の為に、保健所、動物愛護センターの犬猫の引き取りを拒否するなど、見せかけの数字を作る為に決して順当とは言えない手法が用いられているという指摘もあるし、都は独自基準での殺処分ゼロを発表しているという指摘もある。
そんなことを根拠に、小池氏は前回都知事選の公約をただの1つも果たしていないと評価している人もいる。何もしていないわけではなさそうだが、一方で姑息な手段で羊頭狗肉を掲げることもやっている。それを果たして高評価できるだろうか。
「7つのゼロを実現する」と公約を掲げて都知事選に立候補したのだから、票を投じた人の大半はその実現を信じて投票したはずだ。勿論、当該ツイートが言うように、小池は何もしなかった、というのは適切とは言えない。だが、ゼロにすると大風呂敷を広げて得票を得たのに、それを1つも達成していなければ、それは明らかな羊頭狗肉である。もし2期目を念頭に置いたゼロ公約ならば、そのように宣言しておくべきだ。つまり小池氏が「出来ないことをあたかも出来るかのように宣言し、優良誤認を煽って得票を得た」というのは事実であり、「『7つのゼロ』をゼロにできなかったから小池はダメだ」という評価されるのは当然だろう。
しかも小池の公約違反は7つのゼロだけに留まらず、築地市場の跡地利用や、五輪と選挙が重なるのを避ける為に任期満了の前に3年半で辞任するという話も反故にしている。
公約とは達成できなくても構わない社交辞令のようなもの、と宮原ジェフリーいちろう さんが考えているのなら、公約についての認識が不十分としか言いようがない。もしそのような認識が妥当であれば、政治家はデカい公約を掲げてやった振りさえしていれば務まる仕事ということになりかねない。
〇月〇日までに家を建てるという契約を結び、期限までに建築が終わらなければ、どんなに大工や工務店が努力していようが、アウトと評価されて当然だし、その責任を問われるものだ。公約とは、政府・政党・候補者などが、有権者に対して「実行する」と約束することだ。決して努力目標ではない。
しかも小池氏は今回の都知事選への立候補にあたり、「4年間の実績/これまでのお仕事」と称するページを公式サイト内に設けたが、そこに、前回都知事選で自分が掲げた公約の総括はない。つまり、都合の悪い事実から明らかに目を背けている、と言わざるを得ない。
前回公約を1つも達成せず、しかも差別的な言動が複数見られる知事へ、多数の都民が票を投じて再び信任した。小池氏のイメージカラーは緑なので、またこれから、最大4年間の緑の地獄が続くことを都民は選んだ。
厳しく言えば、差別に無頓着な都民が決して少なくない、ということが分かったのが今回の都知事選だった。個人的には、桜井に投票した18万人だけでなく、小池氏に投票した366万人も差別に疎い人達だと考える。都の有権者はおよそ1147万人であり、その割合の多さは恐怖でしかない。