ペルシア戦争からペロポネソス戦争頃、つまり紀元前400年代に、ギリシア・アテネで活動していた、金銭を受け取って徳を教える弁論家のことをソフィストという。ソフィスト自体は決してネガティブな存在ではないが、中には金銭と引き換えに「徳のようなもの」として自身の思想等を強弁するだけの者もいたそうで、sophistから派生したsophismは「詭弁」という意味になっている(ソフィスト - Wikipedia)。
詭弁とは、
- 故意に行われる虚偽の議論
- 道理に合わないことを強引に正当化しようとする弁論、こじつけ
- 自己主張、瞞着、論破・論難などの目的で行われる、一見正しそうで実は成立しない議論
- 間違っていることを、正しいと思わせるようにしむけた議論
8/2の投稿でも触れたが、野党4党などは7/31に、憲法53条に基づき臨時国会の召集を内閣に求める要求書を衆院に提出した。日本国憲法53条にはこうある。
内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。しかし政府と与党は臨時国会の召集に応じる姿勢を見せていない。憲法の規定を無視し蔑ろにするこの政府と与党の姿勢を理由に、8/2の投稿では政府と与党は反社会的な集団で、つまり日本を代表するヤクザだ、とした。
拒むなら「コロナ対策放棄と認定」 野党、国会召集要求:朝日新聞デジタル
政府・与党、臨時国会は10月以降 早期召集要求応ぜず:朝日新聞デジタル
1つ目の記事によると、立憲の安住淳国会対策委員長は
説明責任を果たさないとなれば、コロナ対策を安倍内閣は放棄したと断ぜざるを得ないと語ったそうだが、首相・政府が憲法の規定を無視することは、コロナ対策の是非以前の酷い異常事態である。法治国家において首相や政府が憲法を無視するということはあってはならない。
首相や政府、そして与党、またその支持者らは、53条の規定に「○○日以内に」のような条件がないのだから、要求がなされてすぐに招集する必要はない、という詭弁を弄する。もしその論が妥当であれば、要求から100年後に招集すると宣言することも妥当ということになってしまう。それは誰がどう見ても憲法53条の精神に反する。つまり、招集の要求から出来る限り速やかに招集しなければならないと解釈するのが妥当である。では、朝日新聞が報じたように10月以降に国会が召集されるとして、果たして「出来る限り速やかな招集」に該当するだろうか。決してそうとは言えないことは明白である。
しかも同記事によると、政府を形成する与党・自民の幹部は
いますぐ審議する法案がないとして、国会の召集に応じない考えを示しているそうだ。これも全くの詭弁である。何故なら、6月下旬以降新型コロナウイルスの感染が再拡大していることは誰の目にも明白で、それについて何らかの抜本的な対策を講じなければならないのは明白だ。つまり、現在コロナウイルス対策の根拠になっている新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正、若しくは別に新たな対応法案を議論する必要が間違いなくある。
そもそも首相自身が、通常国会の閉会に際して行った会見にて、
今、目の前にある課題を決して先送りすることなく解決していく。これは私たち政治家の責任です。と述べているのに、この状況において臨時国会の召集要求に応じる姿勢を見せないのは明らかな矛盾だ。
安倍は8/3午後、 れまで着用してきた小ぶりの布マスク、所謂アベノマスクを別のものに変えたことについて
現在、お店でもいろんなマスクが手に入るようになりましたのでと、官邸で記者団に対して語ったそうだ。
アベノマスク卒業? 首相「いろんなマスクが手に入る」 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル
いろんなマスクが手に入るようになったのに、なぜ自分も出来ればしたくないようなマスクを、数日前に再び配布しようとしたのか。明らかな矛盾と詭弁がそこにある(布マスク追加配布、延期を検討 厚労省、計画は8千万枚 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル)。
また、なぜ官邸記者クラブの面々は、「では何故、殆ど誰も着用しておらず、カビや虫の混入でも多くの批判を浴びた布マスクを再び配布しようとしたのか」と問わないのか。官邸記者クラブと政府の関係は、最早裸の王様とその太鼓持ちとしか言いようがないレベルに成り下がってしまった。
政府のプロパガンダ請負担当に成り下がってしまった記者らはまともに指摘をせず、野党から指摘・批判を受ける国会は開かない。更にはその状況を維持する為に、最早詭弁とも言えないようなレベルの稚拙な詭弁を、首相や政府、そして与党が平然と弄する。
こんな国の未来は果たして明るいだろうか。早急にこの状況を変えないと、もし運よくコロナ危機を脱したとしても、明るい未来などありはしない。