復興五輪 という美辞麗句が大っ嫌いだ。予算のほぼ全てを福島に投入して開催し、オリンピック客を福島に集めよう、というのならまだ理解する余地もあるが、福島でなく東京で開催するのになぜ復興五輪を標榜するのか。復興の恣意的利用という感しかない(復興庁 | 復興五輪)。
2020年の東京オリンピックは 復興五輪 だと言っていたくせに、新型ウイルスが流行り始めたら、人類がウイルスに打ち勝った証として開催すると言いだし、復興五輪という話は全く強調されなくなった。さらに、人類がウイルスに打ち勝った証として開催 などと言う一方で、元オリンピック担当大臣が「一部が不参加でも構わない」、そしてIOCの副会長が「パンデミックに関係なく開催」などと言いだすのだからもうわけが分からない(9/8の投稿)。
そんな流れを見ていると、オリンピックをやること自体が目的で、復興五輪もウイルスに打ち勝った証も、結局は後付け、都合のよいつまみ食いでしかないことがよく分かる。酒飲みたちが、真昼間から公園で花見と称して宴会を開くが、ほとんど誰も花などみていないのと似ている。酒飲みが自分達の金で宴会を開く分には大したリスクはないが、オリンピックには、都のみならず国からも多額の予算が支出される。
前述の、「パンデミックに関係なく開催」などと言いだしたIOC副会長・ジョン コーツという男は、以前から馬鹿げた発言を繰り返しているが、会長のトーマス バッハ氏も、9/21に「(新型コロナウイルスの)ワクチンがなくてもスポーツ競技大会を開けることが最近分かってきた」と述べたそうだ。
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このバッハ氏の発言はコーツ氏の発言ほど支離滅裂ではないものの、日本では7月以降新規感染者は全く抑え込めていないし、欧州でも再び感染は増加傾向にあり、延期した来年の夏までに状況が劇的に好転するかは極めて不透明であり、なぜそこまでして多くの人の移動が生じる国際的なイベントをやりたがるのかが全然理解できない。何度かこのブログにも書いているように、中止を決めなければそれまでは開催に向けた準備が必要になるので、中止を決めるのなら少しでも早い方が好ましいことは間違いない。
オリンピックの全般的な商業主義化が著しく、オリンピックそのものに懐疑的だが、東京オリンピックに限っていえば、新型ウイルス云々以前の問題があるのに、果たして延期までしてやる必要性があるのか。自分には全くそうは思えない。
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このようなことから考えても、復興五輪 なんてスローガンは美辞麗句でしかないことがよく分かる。東京オリンピックは震災からの復興の証だから、新型ウイルスが流行っても、延期してでも開催しなくてはならない、中止はあり得ない、とすら誰も言わないのだから。
安倍が病を理由に辞任し、新たに発足した菅内閣は、9/16の初閣議で基本方針を決定したそうだが、前内閣では常にあった東日本大震災からの復興や原発事故に関する記述がなくなったそうだ。これについて復興担当相である平沢 勝栄氏は、9/23の会見で
たまたまそういうことになった
その時の(基本方針の)字数とか、いろいろなあれの中であれしたけれども、軽視しているわけでは全くない
と釈明したそうだ。「あれの中であれしてたまたま震災復興や原発事故に触れなかった。だけど軽視はしてない」。なんて薄い言葉だろう。軽視しておらず重視しているなら、たまたま触れなかったなんてことがあるはずない。いの一番で言及しているはずだ。
震災後に34万の人口が流出し、一部地域はまだまだ避難指示解除がなされず、事故原発の処理も全く予定通りに進んでいないのが現状である。
しかし、今の自民政権にとっては、もう震災復興など終わった話にも等しいのだろう。そんな感じが滲んでいる。復興五輪と言っていたオリンピックすらまだ開催もしていないし、中止も決まっていない状況なのに。
勿論、被災者の中にもオリンピックを楽しみにしている人はいるだろう。それを否定するつもりは全くない。しかし朝日新聞の記事「復興五輪に被災者は… 「工事の人手や資材とられた」:朝日新聞デジタル」に掲載された調査結果によると、オリンピックに肯定的な意見の理由には情緒的なものが目立つの対して、否定的な意見の理由には現実的なものが多い。
また、3月に新型ウイルスの感染拡大が危惧される中で強行されそうになった聖火リレーについても(3/24の投稿)、「福島聖火リレー「きれいな地点切り取った」復興五輪の影 - 東京オリンピック:朝日新聞デジタル」という指摘もある。
次の動画は、TBSが2020年3/10に、東日本大震災から9年経過したことを機に公開したものだ。これを見ても、「あれがあれしてたまたま震災復興・原発事故には触れなかった」なんて、復興担当相がよく言えたもんだ。流石はPCを全く使ったことがない者をサイバーセキュリティ担当大臣に選び、北方四島を満足に言えない者を担当大臣に選び、法螺吹きを地方創生担当大臣に選ぶ自民党政権だ、としか言いようがない。