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馬鹿の考え休む似たり 妥当な対応が全くできない日本政府


 「今日の「支離滅裂」案件」というタイトルで、この約1ヶ月の間ほぼ毎日、その日の投稿内容を端的に示す表現として、支離滅裂という表現がまず頭に思い浮かぶという内容の投稿を、つい一昨日に書いたばかりなのに、指摘が追い付かない程次から次へと、政府によって「支離滅裂」案件がどんどん生産される。なのに調査では、新型コロナウイルスに関する政府対応を「評価する」との回答が50%超、というのだから驚きだ(内閣支持41・3% 東京五輪「延期」70% 産経・FNN合同世論調査 - 産経ニュース)。
 産経新聞とフジテレビ系列の局らが調査の数値を改竄していないのだとしたら、日本人のおよそ半分は政府の動向に対して全く無頓着であるか、もしくはカルト宗教を妄信する者のような状態だと言わざるを得ない。

 政府は2/16に、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐ為に、「不要不急の外出は控えるように」という見解を示した。

「不要不急の外出は控えて」 政府、感染拡大防ぐため [新型肺炎・コロナウイルス]:朝日新聞デジタル


 当時と現在を比べると、現在の方が確実に感染経路の追えない感染者が増えている。どう考えても、「当時と比べて日本の感染者は減っており、ピークは過ぎた」とは決して言えない。寧ろ当時よりも感染が拡大しているとも言える状況である。Web検索すると、経済活動停滞への懸念、外出しなくてはならない人達への対策のなさを批判されたからか、最近政府はあまり「不要不急の外出を控えろ」とは言っていないが、「不要不急の外出を控えなくてもよい状況になった」とも言っていない。つまり現在もまだ「不要不急の外出を控えろ」という政府の要請は続いている、と言える。

 この「不要不急の外出を控えろ」という話は、2/28に文科大臣や北海道知事なども言及している。文科大臣の萩生田氏は、臨時休校の実効性を担保するためとして、児童生徒に対して
基本的に自宅で過ごすよう指導するとともに、子供たちが不要不急の外出をしないよう関係省庁に協力を求める
と会見で述べた。

萩生田文科相「子どもは自宅で過ごして」 休校要請に [新型肺炎・コロナウイルス]:朝日新聞デジタル


 また北海道では、知事が2/28に緊急事態宣言をして、「自身と大切な人の命と健康を守るため」として外出を控えるよう呼び掛けた。

北海道に緊急事態宣言 不要不急の外出控えて  | HTBニュース


 この緊急事態宣言は3/19に終了したが、その後も外出自粛要請は続いている。

北海道、緊急事態宣言を19日で終了へ 外出自粛は継続 [新型肺炎・コロナウイルス]:朝日新聞デジタル


 感染拡大が収まらない米国や欧州各国も、外出禁止措置や移動制限措置が主要な都市や観光地などを中心に行われている。

“外出禁止”でパリは、欧米で移動制限の動き加速 TBS NEWS

新型コロナ、英も必要最小限以外の外出禁止 TBS NEWS


米、1日の死者100人突破 1.5億人超に外出規制―新型コロナ:時事ドットコム


 個人的には、控えなくてはならないのは、外出ではなく人が密集することだと思っているので、このような要請や措置は必ずしも適当とは言えないと考えているが、徒歩・自転車・自動車等パーソナルな移動手段のみを利用する外出以外や、外出の目的地が人の密集する場所であるケースの多さなどを考えると、些か乱暴ではあるが、感染拡大を抑える為には、外出自粛要請・禁止措置もやむを得ない、とも感じる。


 しかしこの状況で日本政府と与党は、何を思ったのか、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急経済対策として、

 外食や旅行代金の一部を国が助成することを検討

と言い出した。

東京新聞:<新型コロナ>30兆円規模 緊急経済対策へ 財政支出 リーマン超え:政治(TOKYO Web)


 勿論こんな矛盾に満ちた、そして支離滅裂な話には、即座に各方面から「不要不急の外出を控えろと言い、そして急激な感染拡大(オーバーシュート)が懸念されているとしているのに、なぜ旅行を推進するのか理解に苦しむ」という旨の批判の声が上がった。J-Castニュースは既にそれを記事にまとめている。

「旅行助成」検討報道にツッコミ相次ぐ 感染拡大で移動制限しているのに...なぜ? : J-CASTニュース


端的に言えば、現政権は感染拡大防止の為に不要不急の外出自粛要請というブレーキを踏みつつ、旅行代金の助成というアクセルも踏もうとしている。一体どんな狙いがあるのか全く理解出来ない。


 今日のトップ画像は、新型コロナウイルスの感染拡大が起きる前の浅草・仲見世の様子だ。浅草に限らず全国の観光地や観光業に携わる人達から悲鳴の声が上がっているのは事実だ。「東京新聞:「すでに客いないのに…」浅草など嘆きの声 突然の「中韓入国規制」政府方針に:社会(TOKYO Web)」は3/6の記事で、約3週間が過ぎた今も当然観光地に客足は戻っていない。世界的に各国が渡航自粛や制限を行っている為、国外からの観光客は激減、日本人観光客だって、政府が不要不急の外出を控えろと言っているのだから確実に減っている。
 そんな状況に鑑みて、観光業に対する何らかの措置が必要である、という判断に至ることは納得がいく。というか寧ろそうしてもらわなければ困る。しかし何故今「旅行の助成」を検討する必要があるのか。検討すべきは観光業関連企業などへの損失補填であって、それが感染拡大に繋がりかねない旅行代金の助成である必要性は微塵も感じられない。検討すべき方向性がかなりおかしい。
 しかも共同通信は、

政府、コロナ対策30兆円規模に 消費減税見送り公算、旅行代助成 | 共同通信


と報じている。消費税減税ではなく旅行代金の助成を、新型コロナウイルス対策として重視し検討している、なんて正気の沙汰ではない。支離滅裂なだけでなく、政府関係者には現状が全く見えていないとしか言いようがない。

  感染拡大収束後のことを考えるなら、必要なのは旅行代金の助成ではなく、その前にまず出来る限り検査を行う環境を整えるべきだ。3/17の投稿でも指摘したように、現在日本は諸外国に比べて異様な程検査件数が少なく、しかも各所から検査拒否に関する話が上がっている。

新型コロナのPCR検査拒否 26都道府県で290件


 しかも、新型コロナウイルス騒動が始まる前から、日本では現政権下で改竄や捏造・隠蔽が頻発し、欺瞞に満ちていることは国外にも知れ渡っているし、新型コロナウイルス騒動以降は、その欺瞞に満ちた態度や方針は、ニューヨークタイムズやCNNなど海外メディアでも今まで以上に報じられている(【襲来!新型コロナウイルス】もう止まらない! 米メディアの安倍攻撃 NYタイムズ紙「政界の脱出王」よばわりの猛批判 : J-CAST会社ウォッチ)。
 このような状況なら、世界的には感染が収束しつつあっても、日本の公的機関の発表は信用してもらえず、国外からの観光客が以前の状態に戻るまでには相当の時間を要するのではないか。自ら透明性向上を計り、的確な現状把握に努め、誠実に情報が提供することこそが、まさに先を見越した対策だ。しかし今の日本政府はまさにその対局にある。
 旅行代金の助成なんてのは、業界と旅行をする余裕のある国内富裕層に向けた人気取りに過ぎず、そして実効性にも乏しい単なる付け焼き刃としか思えない。食うにも困るような人達への対応がまず先で、旅行代金の助成なんてのは今検討するようなことですらない。 「先手先手」を実行しているつもりなのかもしれないが、重視すべきことを確実見誤っている。


 新たに増えた支離滅裂案件はこの件だけでない。 一昨日の投稿で触れた「聖火リレー」に関する支離滅裂な案件がまた増えた。

【独自】延期の場合 リレー改めて実施で調整 TBS NEWS


 大会組織委員会が聖火ランナーによるリレーを見送り、聖火をランタンに入れて車で巡回する方針を固めた、という内容の記事なのだが、聖火リレーとは競技ではなくセレモニーの一種である。市民らが沿道で観覧することもセレモニーの一部であり、車でランタンに聖火を積んで選挙の街宣車のように街を走ることに一体何の意味があるのか分からないし、そもそも今は沿道に人が集まってしまうようなことをすべき時ではない。最早聖火リレーをすること自体が目的化し、その意義もリスクも重視されていないとしか言いようがない。
 それだけなら「やりたいなら勝手にどうぞ」なのだが、TBSの記事には
代わりに聖火の到着を祝う各市町村のセレブレーション会場などで、記念撮影などに参加できるよう調整を進めている
ともある。一昨日の投稿で、集客予想1万人、実際には6500人の集客だった民間の格闘技イベントには自粛を要請するのに、政府や自治体が絡む集客予想1万人、実際にはその5倍の人が集まったイベントには、政府からの自粛要請も、自治体や組織委が積極的に自粛に動くということもなかった、ということの異様さを指摘したが、この期に及んでまた集客が見込まれる聖火関連のイベントを開催すると言っているのだから、この国は最早何かが壊れている


 政府や自治体の姿勢や方針、オリンピックに関わる人達の様子が支離滅裂、矛盾に満ちていることを根拠に、「この国は最早何かが壊れている」としたが、壊れているのは政府などだけではない。
 冒頭で触れたように、政府の新型コロナウイルス対策を評価するという人が半数を超えている。その傾向は先週末に行われた産経・フジ系列の調査だけでなく、半数には届いていないし減少傾向ではあったものの、3/14-15に朝日新聞が行った調査でも41%という数字だったし、朝日の調査でも、安倍内閣を支持するという回答が、支持しないの38%を上回り41%だった(世論調査―質問と回答〈3月14、15日実施〉:朝日新聞デジタル)。各報道機関の調査が適切になされているなら、この国の有権者の凡そ半分も、政府と同様に壊れている恐れがある。
  有権者の半分が判断を誤れば、政府が壊れるのは当然だし、最終的には国そのものが壊れる。戦前ドイツで有権者の支持によってナチ党政権が成立し、その後ドイツがどうなったかに鑑みれば、そうなるのは間違いない。


 トップ画像は、Photo by Benjamin Wong on Unsplash を使用した。

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