ソーシャル ディストーションは、1980年にデビューしたカリフォルニア出身のパンクバンドだ。 オフスプリングやランシド、NOFX、オフスプリング、ペニーワイズなど、日本で90年代にメロコアと呼ばれた世代のパンクバンドにも、大きな影響を与えたバンドである(Social Distortion | Epitaph Records)。
トップ画像は、彼らがメジャーデビューした1990年頃から使用しているロゴだ。バンド名であり、メジャーデビューアルバムの名称でもある Social Distortion は、日本語にすると「社会の歪み」である。
「女性候補の割合に応じて政党交付金の配分を」 自民・野田聖子幹事長代行が提案 | ハフポスト
これは女性議員比率の低さに関する、自民党 野田氏へのインタビュー記事だ。
クオータ制 - Wikipedia とは、輸入品目の数量を割り当てて輸入を制限することを指す場合もあるが、ここでは、国民構成を反映した政治が行われるように、議員などの人数を制度として割り当てる仕組みのことを言っている。未だに根強く社会に残る、主に男女の性差別を解消していく為に、政策決定の場の男女の比率に偏りが無いように積極的に是正する仕組みを主に意味する。因みに1/4を意味する quarter ではなく、quota は割り当て・分担の意である。
クォーター制の発祥はノルウェーで、ノルウェーでは1978年にクォーター制を盛り込んだ男女平等法が制定された。2019年の時点で、OECD加盟37か国中、クォーター制を採用していない国は日本、アメリカ、ニュージーランド、トルコだけだ。但しニュージーランドは1893年に世界で初めて女性参政権を確立した国であり、クォーター制は導入していないが2019年の時点で40.8%の女性議員比率がある。現在の首相・アーダーン氏も女性で、首相が育休を取得したことで日本でも話題になった。
他3か国の女性議員比率は、
- アメリカ 23.70%/世界82位
- トルコ 17.3%/世界129位
- 日本 14.4%/世界147位
いずれも世界平均の24.9%よりも低い。日本はイラク・サウジアラビア・バーレーン・エジプト・ヨルダンなどの中東諸国よりも低い数値であり、ハフポストの記事にもあるように、二院制を採用する国で優位性を持つ、他国で言うところの下院に相当する衆議院に限れば、女性議員比率は更に低い9.9%で、世界190カ国中167位と更に順位は下がる。
インタビュー記事の中で、野田氏は候補者の一定割合を女性にする候補者クオータ制について、
クオータ制は手っ取り早いが、歪みが出る
と言っている。だからクォーター制よりも、女性の候補者を3-4割に高めた政党に対して政党助成金を多めに出す政党助成金の傾斜配分を推す、というのが野田氏の主張だ。フランスでは小選挙区制選挙候補者の男女割合の差が2%を超えた政党・政治団体への公的助成金が最大150%減額されるという制度があるようだし、韓国にも、女性候補者の比率に応じて補助金が支給される仕組みがあるそうだ。だが、フランスでは法律による強制的なクオータ制が違憲と判断されたという経緯があるようで、フランスの政党への助成金減額制度は実質的にはクォーター制を守らない党への罰則だ。
野田氏が推す政党助成金の傾斜配分が確定的に愚策とまでは言わない。しかしフランスの制度を手本とするなら、直接的に「候補者の男女割合の差が2%を超えてはならない」という規定を設けた方が分かりやすい。制度は出来るだけシンプルな方が間違いが少ない。
また、野田氏は「クオータ制は手っ取り早いが、歪みが出る」と言っているが、人口の男女比がおよそ50:50であるのに、議員の男女比が85:15、若しくは90:10である現在の状況がそもそも歪んでおり、クオーター制を導入すれば現在よりも歪みが大きくなる、なんてことは絶対にありえない。つまり野田氏の「クォーター制では歪みが生じる」という危惧は、取るに足らないことと言っても過言ではない。そんなことを勘案すると、野田氏は果たして本当に男女平等の実現を望んでいるのだろうか?という疑問も感じてしまう。
野田氏は果たして本当に男女平等の実現を望んでいるのだろうか?という疑問を感じる理由は他にもある。野田氏は自民党の議員の中ではまだマシな方である、と自分も思うし、彼女のツイッターを見ている限り、確かに男女平等の実現を望んでいるようにも見える。しかし、野田氏は、自民 杉田が性被害を受けた女性に対して「女性はいくらでも嘘をつける」と言った9/25からこの投稿を書いている時点まで、その件にも、自民所属の足立区議が同性愛者蔑視発言をした件についても、ツイッターで一切触れていない。ブログへも関連する投稿は見られない。所属政党の議員による差別的な主張、特に杉田に関しては女性蔑視発言にも関わらず、野田氏は批判も指摘もしていない。
また、ハフポストの記事には彼女が示したこんな見解に関する記述もある。
「自民党には“空いている議席がない“という与党のジレンマがある。現職議員の権利を剥奪することになれば、有権者の意思を蔑ろにすることになり、憲法違反の可能性もある」と懸念を示した。
自民党は、2018年に成立した政治分野における男女共同参画推進法(候補者男女均等法)を、成立後最初の国政選挙だった2019年衆院選で早々に、女性候補者擁立の数値目標設定を見送るとした(2019年3/10の投稿)。女性候補が少ないから男性議員が選ばれている側面が確実にある、ということを野田氏は果たして理解しているだろうか。もし理解しているのなら、憲法違反云々などというこんな見解は示さないのではないか。そこまで言うなら、自民党で定数の倍の候補を、男女比半々で擁立するくらいのことをしてみたらどうか。そうすれば野田氏の言う憲法違反の恐れは解消できる。
野田氏は確かに自民党の政治家の中ではマシに見える。しかしそれでもやはり彼女も自民党の政治家なのだ。ハフポストはこんな記事も掲載しているが、
「次期衆院選、女性候補者を増やして」署名2万筆を自民・野田聖子氏に提出 | ハフポスト
野田氏や自民党に訴えるよりも、別の政党に期待して政権交代を後押しした方が、状況を改善するには近道なのではないか。そもそも、自民党はおよそ8年も「女性活躍推進」などと言っているのに、女性議員は増えないし、その間日本の世界的なジェンダーギャップの順位は下がり続けているのだから。