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日本に蔓延る無理解、視野狭窄、短絡的思考、偏見、人種・民族差別

 無理解、視野狭窄、短絡的思考、偏見、人種・民族差別。SNSを使っていると、そんなものが日本の社会には今も根強く渦巻いている、と殆ど毎日のように思い知らされる。勿論誰にでも少なからず偏見はある。感情こそ人間の人間たる要素の一つで、人間に感情がある限り偏見を根絶するなんて不可能だ。但し、だからどんな偏見も許されるという話では断じてない。誰もが「自分にも偏見はある」ことを認識して、それと向き合い上手く付き合うことが重要だ。


 昨日もまた無理解、視野狭窄、短絡的思考、偏見、人種・民族差別が目に付いた。少し前から北関東などで家畜や農産物の大量盗難が相次いでいたが、それに関連してこんな報道があった。

家畜盗難、ベトナム人らが関与か 群馬・太田在住の19人 | 共同通信

 この件がツイッターのトレンドに上がっており、それをクリックしてみるとベトナム人・外国人を一括りにして泥棒・犯罪者扱いする類のツイートがズラーっと並んでいた。さながら人間性の低さ自慢大会のような状況だった。

 10/18の投稿で、特定の地域や民族に対する差別や経済的な悪影響を防止する観点から、感染症の病名に地名を使わないのが適切ならば、イスラム教徒全般への偏見と差別を誘発する恐れの強い「イスラム過激派」という表現も同様なのではないか、絶対的に不適切な表現ではなくても積極的に用いるのは控えるべきではないのか、と書いた。この記事のような「ベトナム人がらが関与か」とか、「○○人を逮捕」という表現も同様で、記事本文での説明に用いる場合は仕方がないとしても、見出しで大々的に取り上げるのは果たして妥当だろうか
 その表現が偏見や差別を誘発しないなら問題はないが、そうでなくても日本では、BBCにこんな風に取り上げれたイラストをSNSへ投稿する、差別や偏見に満ちたインフルエンサーも存在しており、

シリア難民少女の写真を日本人が挑発的なイラストに……人種差別か - BBCニュース

未だに外国人への偏見や差別は根強く、前述のように間違いなく偏見を誘発しているのが現状である。

 日本における外国人の扱いに関して、外国人技能実習生が働く事業所の7割以上に、違法な時間外労働や残業代の未払いなどがあったとも報じられた。

外国人技能実習生が働く事業所 7割超で違反 厚労省まとめ | 外国人材 | NHKニュース

外国人技能実習生が働く企業等に限らず、日本全体の7割かそれ以上の企業に労基法違反がありそうな気もするが、新型コロナウイルスの感染が続く中、行き場を失っている技能実習生たちが増えている、という話も報じられている。

WEB特集 彼は駅に捨てられた… | 新型コロナウイルス | NHKニュース

外国人技能実習制度とは名ばかりで、外国人を安い労働力として都合よく買いたたく半ば奴隷制のような状況がある、という話はもうかなり前からあるし、入国管理局で収容者に対する非人道的な扱いが慢性化しているという話などもかなり前からある。入管の問題については、国連人権委員会から「国際人権法に違反している」と指摘されている(入管の長期収容は「国際人権法違反」 国連部会が意見書:朝日新聞デジタル)。

 日本に来た外国人労働者が犯罪に手を染めるのには、劣悪な労働環境を強いられ、そこから逃れようとした過程で不法滞在に陥る場合があり、入管に収容されたらそこでも非人道的な扱いをされる恐れがある、という背景もある。勿論ケースバイケースで、悪事を働くことを目的として来日する不良外国人もいるだろうが、そんな背景から、来日後に日本社会に対する恨みを募らせるケースだってあるだろう。そんな背景に配慮もせずに、不良外国人が悪事を働いたかのようなイメージばかりを強調する報道に問題はないのか。
 そもそも容疑者が日本人であれば、氏名と共に現住所の一部を添えることはあっても、「家畜盗難、○○県出身者らが関与か」なんて見出しもつけなければ、そのような報じ方もしないだろう。つまり、そのような報じ方自体も外国人への偏見が背景にあると言えるのではないか。

 一般市民だけでなく、大手メディアも平然と偏見に満ちた記事、偏見と差別を煽る記事を書くし、外国人への偏見や差別に限らず、自分達の政党に所属する政治家が差別や偏見に満ちた主張をしても、党執行部もその党の総裁である首相もそれを咎める発信を積極的に、というか消極的な発信も殆どしないような状況で、その社会が健全な状況になるだろうか。
 日本と同じ様な島国であるニュージーランドでは10月の選挙の結果、女性や非白人系、LGBTQなどの議員が新たに選出され、「これまでで最も多様性に富む議会」として話題を呼んでいる(「これまでで最も多様性に富む」と話題のニュージーランド議会。知っておきたいその構成は? | ハフポスト)。一方日本の衆議院は女性の割合すら10%であり、G20中最下位である。同じような規模の島国でも、こんなにも状況が違うのはどういうことだろうか。それは単に、有権者の政治的な成熟度、社会問題への関心度合いの差だ。政治や社会の状況・レベルというのは、その国の国民の全体的な状況・レベルそのものである。

 

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