記者クラブの記者が言うには、大阪市長で維新代表の松井は「街角で取材するとすごく人気がある」のだそうだ。この話は、大阪市廃止/特別区設置(維新曰く大阪都構想)の是非を問う住民投票を目前にした、弁護士の南 和行さんのツイートによる。南さんが勘違いされないように、南さんのその直前のツイートも掲載しておく。
今朝の大阪市の空。僕は生まれてからずっと44年、大阪市民。
— 南和行(大阪弁護士会・松竹芸能) (@minami_kazuyuki) October 30, 2020
市の財政局の人が市長と面談後に謝罪会見って、、、
数字を正直に弾いたら、その結果が気に入らん市長から「捏造」と言われるって、おかしくないですか?
コロナ第一波のときの市長と知事の無責任発言のほうが非科学的でしたが。 pic.twitter.com/WNuhVKL0bM
「あの人はいろいろ言われているけど、実際に会ってみるといい人」なんて話をよく耳にする。傲慢だとかパワハラ気質だなどと言われる政治家や有名人が、そんな世間的な評判に反して、実際に会ってみると気さくないい人だった、とか、何か犯罪の容疑者についてメディアは周辺に取材すると、「そんなことをするとは思えない物腰柔らかな人」などという話ばかりが聞こえる、ということがしばしばある。
勿論、世間的な評判の方がレッテル貼りされたもので実体とは異なっている場合だってあるだろうが、傲慢な人やパワハラ気質の人だって、大抵常に誰にでもそのような性質を発揮しているわけではないし、暴力を振るう人や人を騙すような人も、常に誰にでも暴力を振るうわけでもなければ、誰彼構わず騙し続けているわけでもなく、いい人に見えるのは決して珍しいことではないだろう。
例えば所謂やくざ者だって、不良上がりのチンピラなら誰彼構わず威嚇し暴力を振るいまくるような者もいるかもしれない。だがそんなことをしていたら誰も近づいてこないし、すぐに警察を呼ばれてしまい彼らの仕事は成り立たないだろう。賢いやくざ者程普段は物腰柔らかく振舞って人を信用させて、ここぞと言う時にだけその本性を発揮するはずだ。
詐欺師だって同じで、最初から「お前を騙すぞ!」という臭いをプンプン漂わせていたら、相当な馬鹿以外は騙せない。いい人を装って対象に近づき信用させておいて、足場を固めてからでないと目的を達成できない。だから「そんなことをするとは思えない物腰柔らかな人」という話になるのは当然だ。ナンパした女の子に無理矢理性的な行為をさせる男や、騙してAVや風俗で働かせようとする輩だって、最初から「犯すぞ!」と近づいては来ないし、「AVか風俗で働けやコラ!」という雰囲気を漂わせて接してはこない。
ホストやキャバクラ嬢だって客を金づるだと思っていても、賢い者ほどいい人として振舞うだろう。いい人として振舞わなかったとしても、お前は金づるだ!という空気を出す者は殆どいない。水商売のキャストや芸能人などの場合、無愛想な振舞い、傲慢な振舞いが受ける場合もあるかもしれないが、そういうホストやキャバクラ嬢よりも、物腰柔らかく振舞った方が基本的に客ウケはいいはずだ。
つまり、「あの人はいろいろ言われているけど、実際に会ってみるといい人」というのは至極当然の話であって、実際にあった時の態度がその人の本質とは限らない。
トップ画像は「猫を被る」という慣用表現をイメージして作った。人間誰しもよそ行きの顔というものを持っているもので、自分が好意を抱く相手、客、利害関係者などに対しては、よく見られようとしてよそ行きの顔を見せるものだ。詐欺師などなら騙そうとしているカモには、間違いなく詐欺師と悟られないようにいい人ぶるし、政治家が票目当てで街宣時にいい人として振舞うのも当然だ。しかしそれは決してその人の本質とは限らないし、もし本質と言えたとしても、別の顔を持っていないとも限らない。
果たしてそのようなことも指す表現なのかは分からないが「能ある鷹は爪を隠す」とも言う。
維新や松井がどんな性質かは今更説明する必要もないかもしれないが、昨日の投稿でも触れた、大阪市を四つの自治体に分割すると行政コストが現状より年間218億円増加するとした局の試算を撤回させた件に関して、
大阪市4分割コスト試算「捏造」 市財政局 2日で一変、謝罪 市長面談後 - 毎日新聞
松井はこの件を報じた毎日新聞の記事を誤報・デマだとツイートしている。
更に、毎日新聞がデマを撒いたと主張するツイートも複数リツイートしている。
この松井の「毎日新聞が誤報した」「毎日新聞がデマを撒いた」という主張に対して、立民 原口氏がこんな見解を示している。
松井氏が言うように大阪市が間違った書類を出したのが仮に事実だとしたら、それを報道した毎日新聞を「誤報」と松井氏らが責めるのは、筋違いだ。
— 原口 一博 (@kharaguchi) October 30, 2020
先ずは、大阪市が間違った書類を出したお詫びを言うのが筋だろう。
何故なら松井氏は、大阪市長なのだから。 https://t.co/XTYULauRVT
毎日新聞は大阪市が実際に示した数値を報じたのだから、誤報ではないしデマを撒いてもいない。仮に発表した数値が間違っていたとして、寧ろデマを撒いたのは大阪市であり、松井はその市長なのだからデマを撒いた側の責任者だ。毎日新聞が誤報したと松井が責めるのは筋違いで、間違った数値を発表した自治体の責任者として、毎日新聞が誤った数値を報じた責任について松井は詫びる立場にある、という話である。
これだけを見ても、松井や維新関係者、とその支持者らの言っていることが如何にいい加減かが分かるだろう。更に松井は
大阪市:新聞報道についての大阪市の見解について https://t.co/zz4vp2GSvR
— 松井一郎(大阪市長) (@gogoichiro) October 27, 2020
こんなツイートもしているが、リンク先は既にリンク切れになっている。何か都合の悪いことでも書いてあったのだろうか。訂正をツイートしている様子もない。
こんな人物、こんな政治家でも、街頭に立って支持者や支持者になりそうな有権者に接する時はいい人を演じる。しかしそれは果たしてその政治家の本質だろうか。