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杉田を放置した結果、自民党議員が同じことを繰り返す

 自民党の国会議員 杉田 水脈がまたしても蔑視発言をしたことを、9/30の投稿で取り上げた。そこでも書いたが、自民党は杉田の蔑視や中傷発言について、これまで処分らしい処分をしてこなかった。今回の性的暴行を受けた女性全般、というか女性全般への蔑視についても、自民党の参院幹事長世耕は、「今回が最後だ。何回も繰り返している、次は絶対に認めない」と述べた。つまりまたしても処分しないということだ。


 そもそも蔑視発言以前に、他から複数発言の確認がされていたにもかかわらず、杉田は当初発言自体を否定していた。しかし批判が高まると一転して発言を認め、発言はしたが蔑視の意図はないと釈明する方針に代わった。つまり杉田は嘘を吐いていた。蔑視発言だけでなく嘘までついていたのに、自民党は口頭注意だけで実質的な処分をしていない。自民党という党がどんな組織かは、これだけでも明白だ。

 杉田は2018年に新潮45 2018年8月号へ「「LGBT」支援の度が過ぎる」という見出しのコラムを寄稿し、その中で

子供を作らないLGBTカップルは『生産性』がないので税金を使って支援する必要はない

と主張し、強い批判を浴びた(2018年7/23の投稿)。当時官房長官だった現首相の菅はこの件に関して、自分の所属政党の議員による発言にも関わらず、

国会議員の一つひとつ(の発言)に、政府の立場でコメントすることは控えたい

とコメント。また現在の官房長官で当時厚労大臣だった加藤も、

個々の発言についてコメントすることは差し控える

とした(2018年7/25の投稿)。つまり、現在の首相と官房長官は、差別や蔑視に対して毅然とした態度を取れない人達である、ということだ。因みに、当時杉田はこの件について、

などとツイートしている(2018年8/3の投稿)。
 蔑視や中傷をその後も杉田が繰り返していることを勘案すれば、杉田に反省がないことも、そして口頭注意のみの自民党の処分も、そして今後に及んで幹事長が「これが最後」なんて言っているのも、どう考えても妥当な判断とは言えない。

 杉田が同性愛蔑視を主張して、2年前に相当な批判を浴びたにもかかわらず、数日前にまた自民党の足立区議会議員が、

足立区議「同性愛者、法律で守られたら区滅ぶ」批判続出:朝日新聞デジタル

LやGが足立区に完全に広まってしまったら、子どもは1人も生まれない
LもGも法律で守られているという話になっては足立区は滅んでしまう
少数派を特別に擁護する必要はない。性の多様化ばかりを教育で伝えるのは間違いで、子どもを産み育てる大切さを伝えるべきだ

などと、杉田とほとんど同じ内容の主張を繰り返した。
 この区議・白石 正輝は、朝日新聞の取材に対しても「LGBT(の権利)を法律で保護するのも反対だ」と述べている。杉田のような者を処分しないから何度もこんなことが起きる、と指摘されたら自民党はどうするつもりだろう。お得意の「批判は当たらない」で強引にかわすつもりだろうか。

 当該区議は東京新聞の取材に対して「差別する意図はない」と釈明した(同性愛広がれば「足立区滅びる」 白石正輝・自民区議が議会で発言:東京新聞 TOKYO Web)。そんなのは、商品を会計する前にカバンに入れ、そのまま店を出ようとして止められた者が「万引きする意図はなかった」と言うようなものである。

 TBSの週末の世論調査では内閣支持率は70%を超えたそうだが、TBSは支持理由に触れていない。他の調査項目を見ても支持率が70%に達する要素が見当たらない。

JNN世論調査、菅内閣の支持率70.7%|TBS NEWS 

この70%という支持率は、ただ何となく、発足直後のご祝儀相場のような数字なのだろう。それにしたって、杉田や足立区議会の振舞いだけを勘案しても、差別や偏見を容認する党、処分しない党による内閣を支持するというのはかなり異様だ。

 今の自民党が与党である限り、有権者が見たいものだけを見て、若しくはよく考えもせずに自民党を支持する限り、日本からは差別も偏見もなくならない。

 消極的にでも自民党を支持する人達は、このロイターのツイ―トに出てくるトランプ支持者たちと同種である。

 

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