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現自民政権下では男女平等も実現しないし、差別偏見もなくならない

 自民党 杉田 水脈が、女性への暴力や性犯罪に関して、被害の虚偽申告があるという意味で「女性はいくらでもうそをつけますから」と発言した。本人は「そんなことは言っていない」と発言を否定しているようだが、複数の関係者から、杉田がそう述べたことが確認されている。


杉田議員、女性はいくらでもうそ 自民党の合同会議で蔑視発言 | 共同通信

 5/27の投稿でも触れたように、杉田は、山口 敬之氏による伊藤 詩織さんへの昏睡レイプ事案について、はすみとしこや同じく自民党の長尾 敬と共に、伊藤さんのでっち上げである、という姿勢を示してきた。この杉田らの行為について、伊藤さんは以前から「法的措置をとる」としてきた。そしてその方針は8/20に実行に移された。

 杉田はその後自身のブログでも、冒頭の件について「そんなことは言っていない」と強弁しているが、小川 たまかさんが「「女性はいくらでもうそ」は言ってない? 杉田水脈議員の弁解ブログが輪をかけてひどい理由(小川たまか) - 個人 - Yahoo!ニュース」という記事で指摘しているように、小川さんの指摘が全て妥当とは言えず部分的には少し強引なところもあるものの、それでも杉田がそもそも性暴力の被害者支援現に関して無知と言っても過言ではないことは明白であり、これまでの杉田の言動や姿勢、複数関係者の証言と併せて考えても、女性蔑視、というか伊藤さんの件を念頭に置いた当該発言があったとしか思えない。

 この件に対する抗議が盛り上がり、すでに9万筆近い議員辞職を求めるオンライン署名が集まっているそうだ

杉田水脈氏の議員辞職求める署名に9万筆近く 「激しく性差別的」と自民党にも対処求め | ハフポスト

 この記事には「自民党内からも、橋本聖子・男女共同参画相が9月29日の会見で厳しい指摘をした」という記述もある。橋本氏は9/29の会見の中で、杉田の発言について、

杉田水脈氏の発言、橋本聖子氏「残念」 9万件の署名も:朝日新聞デジタル

努力されている方を踏みにじるような発言であり、非常に残念

と述べたそうだ。また個人的な考えとしつつも「党として適切な措置をするべき」という見解も示したらしい。この件だけを見ると、橋本氏は男女共同参画大臣として、特に自民党政権の大臣としては珍しくまともなように見える。しかし果たしてそうだろうか。

 昨日ハフポストはこんな記事も掲載している。

女性総理は「早くて20年後」 自民党は変わるのか?三浦まり教授に聞いた | ハフポスト

 今月発足した菅政権の女性閣僚が20人中たった2人だけだったことに落胆しつつも、9/3に自民党選対が示した提案書の中に、自民党の女性議員が2030年に3割となるよう、候補者クオータ制の導入を目指すと数値目標の設定と方策が盛り込まれたこと、2030年までに自民党の衆院議員の女性比率を現在の7%強から30%に増やすためのロードマップも示されたことを、素晴らしいと評価する内容である。
 記事はあたかも「自民党は自ら高いハードルを掲げた」かのようなニュアンスだが、諸外国と比べればあまりにも低いハードルであり、しかも2030年という期限設定にもやる気が感じられない。しかも実際に示された文言は、

わが国の女性議員比率が国際的にも低い水準にとどまっていることも鑑み、わが党の各級女性議員が2030年に3割となるよう、候補者クオータ制の導入を目指す。 まず、わが党の女性議員がゼロとなる都道府県議会(現在14府県)を次回の選挙で無くす。その上で、それを市区町村議会にも拡げていく。 そして国会議員も、早期に各都道府県で1人は女性議員を輩出できるよう努める。

と、「実現する」ではなく「できるように務める」、つまり努力目標でしかない
 候補者男女均等法を成立後初回国政選挙から無視した党が、物価上昇2%という目標を何年も延期して有耶無耶にした党が、こんなにも消極的な目標を掲げただけで「素晴らしい」と評し、信用するのはお人好しを通り越して最早ズボラとしか言いようがない。

 このような党方針について、橋本氏が異論を呈しているという話は一切聞こえてこない。果たしてそれで「橋本氏は男女共同参画大臣として、特に自民党政権の大臣としては珍しくまとも」と言えるだろうか。杉田の発言を非難し、処分の必要性に触れたことは間違いなくまともだが、「不良が一つまともなことをすると、日頃から常にまともな生徒よりも過剰に褒められる」という説の典型的な例ではないのか。付け加えれば、前述のハフポストの記事で、自民党の消極的極まりない方針を「素晴らしい」としている三浦氏も、これまでがあまりにも酷すぎたので消極的な目標が素晴らしく感じられるという、その種の感覚に陥っているのだろう。更に言えば、その感覚に一切疑問も示さない記事を書く記者も。

 橋本氏は昨年オリンピック担当大臣として、オリンピック会場に旭日旗を持ち込むことに問題はない、という見解を示した人物でもある(2019年9/13の投稿)。戦前からの軍旗である旭日旗の性質、旧日本軍が周辺地域でどのようなことをしたのか、拒否反応がなぜ生じているのか、を正しく理解しそれを勘案すれば「旭日旗が政治的な宣伝になるかということに関しては、決してそういうものではない」とは言えないだろう。しかし彼女は平然とそのように言ってのけた。
 杉田が人権感覚に欠けているのは当然のこと、杉田を批判したからと言っても橋本氏に人権感覚が備わっているとも言い難い。男女平等に限らず、ことごとく人権感覚に著しく欠けるのが今の自民党だとしか言いようがない。例えば石破氏のように、一見まともと言える範疇の人権感覚を持ち合わせている者もいるにはいるが、それでも積極的に党方針を批判しているとは言えない。それは果たして妥当な人権感覚を持ち合わせていると言えるだろうか。

 昨日の投稿などでも書いたが、今の自民党と自民党政権を支持するということは、差別や偏見を容認すること、場合によっては肯定することと同義である。

 トップ画像は、Please Don't sell My Artwork AS ISによるPixabayからの画像 を加工して使用した。

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