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自民党が差別容認政党であることの根拠


 ハフポストの記事「人に「生産性がない」というのは「政治ではなくヘイト」。自民党・武井俊輔議員に聞いた」によると、自民党の武井俊輔衆院議員は、7/23の投稿で取り上げた杉田議員の差別発言に対して、強い批判の意思をツイッターで示したようだ。記事では武井氏に対して行った直接取材についても書かれており、武井氏は明確に問題の発言を批判している。自民党にも一応まともな見解も持つ議員がいるということは、好意的に受け止めるべきことだろう。
 ハフポストは「LGBTをめぐる議論、自民・稲田朋美氏がTwitter初期アカで急きょ参戦」という記事で、稲田 前防衛大臣も、杉田氏の主張に対して違和感を表明していることを紹介している。本来ならば好意的に受け止めたいところだが、この人の防衛大臣当時の様々な妄言・認識不足発言を勘案すると、この件についてもよく理解しないまま、点数稼ぎの為のアピールしているような気がしてならず、「ふーん…」程度にしか受け止めることが出来ない。しかし、別の視点で考えれば、杉田氏と団栗の背比べだった稲田氏から見ても、杉田氏の発言は度が過ぎているようにしか見えない、という事なのかもしれないとも思う。


 朝日新聞は「杉田氏寄稿、自民内からも批判 元閣僚「馬鹿な発言」」という記事を掲載している。記事では、


自民党内からも厳しい意見が続く。閣僚経験者は「論外」「なぜ、あんな馬鹿な発言をするのか」と憤り、吉田博美参院幹事長は24日の記者会見で「(性的少数者の)皆さんの人権も、しっかりと大事にした発言をすることが必要じゃないか」と苦言を呈した。

という話が紹介されている。朝日新聞の記者が、なぜ吉田参院幹事長以外の閣僚経験者の名を伏せているのかは定かではないが、関係者のような表現が用いられるのは、名前を伏せることを条件にコメントを紹介することの承諾を取り付けた場合、若しくは、承諾が得られず、やむを得ず匿名のコメントとして紹介している場合が殆どだろう。要するに、名前を出して杉田氏の主張を明確に批判することに対して、閣僚経験者らが及び腰だということだ。記事の見出しでは、自民党内でも非難轟轟のように感じられるかもしれないが、決してそんなことはなさそうだ。
 その傾向は記事で紹介されている菅官房長官や、加藤厚労大臣のコメントにも現れている。菅氏は「国会議員の一つひとつ(の発言)に、政府の立場でコメントすることは控えたい」としているし、加藤氏は「個々の発言についてコメントすることは差し控える」としている。両名とも一応この発言の後に、自分は杉田氏の主張と異なる考えを持っているという旨の説明を加えてはいるが、明確に杉田氏を批判・非難することを避けている、とも言える。彼らは一体何に気を使っているのだろうか。自分には、杉田氏の主張に同調する差別的な思考を持っている党支持者に配慮しているように思えてならない。
 これでは自民党は、消極的にかもしれないが差別黙認・容認政党で、中には杉田氏のような積極的な差別主義者もおり、それは杉田氏だけではない恐れが強い、と言わざるを得ない。


 それを更に裏付けるのは二階幹事長の発言だ。前段で紹介した記事でも触れられていたが、二階氏は「杉田水脈氏の寄稿、二階幹事長「人それぞれ人生観ある」」という朝日新聞の記事によると、一応「当事者が社会、職場、学校の場でつらい思いや不利益を被ることがないよう、多様性を受け入れていく社会の実現を図ることが大事だ。今後も努力していきたい」と多様性の尊重は重要だという姿勢を示してはいるものの、杉田氏について

 人それぞれ政治的立場、いろんな人生観、考えがある。
右から左まで各方面の人が集まって自民党は成り立っている。そういう発言だと理解したい。

と述べたそうだ。要するに、二階氏は杉田氏の主張は思想信条の自由とか、表現の自由で認められる範疇だと言っているのだろう。確かに杉田氏が「LGBTは生産性が低い」と考えることは誰にも制限できない。しかし、それを表現する際に、誰かの基本的人権を侵害する場合、言論・表現の自由の範疇に入ると言えるだろうか。
 言論・表現の自由も基本的人権の尊重も憲法で保障されている。しかしそれらが対立する場合、どちらが優先されるべきかを二階氏は全く理解していないようだ。言い換えれば、二階氏は、他人を差別する表現も表現の自由の範疇だ、若しくは、多様性を否定することも多様性の1つとして認めるべき、などと考えているのだろう。二階氏は差別を容認・黙認をしているのだろうし、また、憲法の趣旨、しかも日本国憲法の柱の1つである基本的人権の尊重をよく理解していないのだろう。

 幹事長が憲法で、何人も基本的人権の尊重が保障されている、ということを理解出来ていないような政党が、憲法改正を推し進めようとしていることにも強い懸念を感じるし、自分の所属政党の国会議員が差別的な主張をしているのに、党の有力者たちが明確にそれを批判・非難できない・しないことにも強い懸念を感じる。ハッキリ言って、安倍首相は自民党総裁でもあるのだから、率先して杉田氏に苦言を呈するべきだが、これまで一切、彼が苦言を呈したと聞いたことはないし、苦言どころか違和感すら表明していないようだ。

 このような状況から見ると、7/23の投稿でも触れたが、杉田氏がツイートしていた、

 自民党に入って良かったなぁと思うこと。 「ネットで叩かれてるけど、大丈夫?」とか「間違ったこと言ってないんだから、胸張ってればいいよ」とか「杉田さんはそのままでいいからね」とか、大臣クラスの方を始め、先輩方が声をかけてくださること。 今回も他党の議員が私が雑誌に書いた記事を切り取り
  ネットに出したことで色々言われています。LGBTの理解促進を担当している先輩議員が「雑誌の記事を全部読んだら、きちんと理解しているし、党の立場も配慮して言葉も選んで書いている。言葉足らずで誤解される所はあるかもしれないけど問題ないから」と、仰ってくれました。自民党の懐の深さを感じます

という話は、概ね事実に即しているということで間違いなさそうだ。要するに、自民党は差別容認政党ということで十中八九間違いないだろう。

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